亜空間倉庫確認。
ぱちっ
はっ! 寝ちゃった!
『おはよう! よく寝たねー! 起きないから心配したよ』
え、そんなに?
『パン食べたのって、まだ昼間だったよ? それから寝てるからねー』
という事は、今って翌朝!?
『うん』
ひぇ! 何時間寝てんの!
『まぁ空から落ちたり、初めて魔法使ったりしたから疲れてたんじゃない?』
それにしても3時間睡眠が当然だったのに……。
『それ、午睡だよね?』
ううん、普通に夜の睡眠時間。
『え? 野営でもしてたの?』
違いますー、仕事から帰って仕事に行くまでの睡眠ですー。
『へぇー、冒険者の野営並だね。何と戦ってたの?』
戦ってたのは、数字と? それとも会社?
それとも社畜を生み出した社会?
不寝の番なら分かるけども、一般事務員としてはオカシイ、よね?
うん、確かに。
『幼子は食べて寝て、一生懸命生きるのが仕事だから、沢山寝るのはいい事なんじゃない?』
そっか。
そうだよね。
神様が言ってた、魂を休めなさいって。
ここには事務仕事もないし、時間に追われなくていいんだ。
ぐぅ〜……
時間に追われなくても腹時計は進むので腹の虫は鳴く。
お腹すいたから何か食べよう。
テレレレッテレ〜!
ぱ〜ん〜!
とバター。
ジャムはなかった。
飲み物は水。とほほ……
でもまぁ何も無いと打ちのめされていた昨日より、遥かに良い状況だ。
寝る場所も食べる物もある!
清く正しく逞しく生きるのだ!
あれ? 何か違ってる。
「あい、あしゅとよにもばたーちゅけた」
『ありがとう!』
早速わたしも! はむっ!
うん! 美味しい! 昨日と同じようにホカホカだ。
バターがじゅわり。
……このバター、すんごく美味しい。
無塩バターなんだけど、味覚の端っこに微かに酸味?
もしかして発酵バターなのかな。
ちょっと塩を振ってみたい。
と、取り出した塩の実。
大人の拳サイズ。
どうやって使うのか解らん!
『割って中身を取り出して使うんだよ』
こんな硬いの割れないぃぃぃぃ!
『その上に置いて』
テーブルに置いたら、アストロが前足の爪でカツン!
パッキリ割れた実の中には、岩塩と思しき塊!
摘んでみると、あっさりと崩れる。
え?
『中は脆いんだ。出す時だけちょっとコツが必要なんだけどねー』
ほうほう。
とりあえず、パンにパラり。
「おいちぃぃぃぃぃ!! ちょっとおちおちゅけるのいい!」
じーーーーー……
アストロには2個パンをあげたけど、再度塩振りパンをあげたら瞬殺した。
あれ? わんこに塩分って良くないんじゃなかったっけ!?
『だから、わんこじゃないってば』
食べ物に制限はないの?
『ないよ。まぁ気が向かないと経口摂取はしないからね』
ほうほう。
まぁ何でも食べられるなら、わたしが食べる時に聞けばいいか。
そしてパンだけじゃなく、他にも何かないかとインベントリ物色。
ソイの実って……ソイってわたしが考えるに大豆なんだよね。
そんでもって、ソイソースってお醤油だよね?
この実は、まさかのお醤油の実って事?
1個取り出してみる。
色は違えど、大きさは塩の実と同じ位。
中身が液体ならば、このまま割るのは危険。
確かお皿があったはずなので、キッチンから出してソイの実を乗せ、
アストロ、これも割ってくれる?
『はいよー』
カツン! と割れたが液体は出てこない。
摘んでみると、これまた塩の実と同じように崩れる。
クンクンと嗅いでみると、香りはお醤油!
ペロリと舐めてもお醤油!
まさかの粉醤油! うーわー! 美味しい!
これを使って料理しろって事なのかな。
食材はパン(主食)と塩、醤油、砂糖のみだ。
醤油が異色を放っているが……。
お肉、食べたいな……。
野菜もないし。
うーーーん……。
『ちょっと待っててね』
うん? うん、お散歩?
『そんなトコ! すぐ戻るね! 後でラナも行こうね』
分かったー、行ってらっしゃい!
◇◇◇
【アストロ】
お肉は狩りで捕れる!
野菜は後でラナ連れて行こうっと!
放出してる魔力は抑えてっと……。
ラナはまだ小さいから、小さめの魔物がいいよねー。
レッドブルが居る! けど、ちょっと大きいな。
って! 気づかれた!!
ぶもぉぉぉぉ!!!
はわわわわわわ! こっち来ないでよー!
君じゃ大きすぎるんだよー!
もぉぉぉ! 風刃!
ぶも…… ドサッ
あーぁ、仕方ないからこれ持って帰ろう。
とりあえず血抜きしてっと。
腿の辺りだけ持って行けば……とはいえ、ここに放置しちゃダメだよね。
一旦全部持って行くか。
よしっ!!
◇◇◇
「ぎゃーーーーーーーー!! あしゅとよ! なにもってちたの!!」
『お肉!』
「わたちたばけないよ!?」
『うん、だから切って持ってこようとしたんだけど、コレを放置したらダメだから一旦持って来たー』
うぐぐぐ……
アストロの気持ちは嬉しい。
わたしが食べたいって思ったから狩って来てくれたんだよね?
でも!! こんなでっかいのは困るぅ!
アストロ、一旦わたしのインベントリにしまっておくよ。
流石に家の周りにコレがあるのはちょっと……。
『分かった。なら別の場所で出して、切り出して使えばいいよね』
わたし切れないよ!?
『ぼくの魔法で切るから大丈夫』
なるほど! 魔法!
うん、そうしよ!
『じゃあ昨日の実りの場所で何か摘んで来ようよ』
あ、フルーツのトコね!
結局持って来るの忘れたし、行こう行こう!
……この魔物は、インベントリの動物マークの所へ……入れ!
しゅんっ!
『おー! 使いこなしてる!』
出し入れは出来るようになったよ!
そしてアストロにウォッシュ!
『ん〜! 気持ちいい!』
ふふふっ じゃあ行こうか!
アストロの背中に乗って、いざ果物へ!
あ、果物の”場所”ね。