冒険者さん達。
えーっとー……。
アストロももじもじしてるし、冒険者さん達は突然の念話で思考が追い付いていないようだ。
それじゃあわたしが! と思ったが、身形は3歳児。
3歳児がこの場を仕切ったらダメだろう。
さて……。
『あ、ジャイアントの素材要るよね? ”ウォッシュ” どうぞ持って行って』
「「「「えっ!」」」あ、はい。ありがとうございます……?」
疑問形。
そりゃそうだ。倒したのはこの人達だもん。
当然の権利だろう。
って、ありんこでも素材になるのか。
『ジャイアントの触覚は魔道具を動かす魔道線に、胸の所は防具の1部になるんだよ』
「あ、はい。その通り、です。では素材頂きます。……ロビン! いつまで惚けてる!」
「はっ! 掃除ありがとうございます! ”開け我が内包インベントリ”」
銀髪ロン毛のお兄さん? お姉さん? が手を翳してありんこの素材を取り込んでいく。
アストロのウォッシュで飛び散った体液などはキレイさっぱりなくなっているので、そのままシュポシュポと消えていく。
ってか、何か唱えてたよね?
「……あの、お嬢ちゃん、そこの白スグリも採っていいか?」
「え? あい、どーじょ」
「ありがとう。クエストで必要だったんだ。アチコチ見たけど、何処にもなくて……」
クエスト! 冒険者っぽい! って冒険者だった。
白スグリはアチコチにはないみたいだし、ジャイアントの好物だから毎日生るとは言え、ジャイアントに食べられる前に採らないと手に入らないだろうしね。
「お嬢ちゃんの結界で囲っていてくれたから手に入れる事ができた、ありがとうな」
たまたまですけどね。
一応にっこりしておく。
スっとアストロが間に入る。
警戒し過ぎじゃない?
「何もしませんっ!」
『……。』
アストロ、大丈夫。
この人達から危ない感じはしないから。
『……うん』
「おにいたんたち、もうかえうの?」
「いや、もう1つクエストがあって、聖水の泉で水を汲んでから帰るよ」
聖水! そんなのがあるのか! 凄いな異世界!
『白の泉だよ』
えっ!? 彼処聖水なの!?
毎日顔洗ってたけど!
『ふふっ! 大丈夫だよ』
「グラシャ様が微笑んだ……!」
ズサっ! と土下座するモフ耳の人。
手は胸の辺りで組んでいる。
なるほど、この人はガイズナ出身者か……。
『あー、その、普通にしてていいから……。拝まれても何も出ないよ?』
「畏れ多い……。お言葉を賜っただけで子々孫々語り継ぎいたします!」
うわー……。ドン引くわ。
って、信仰にアレコレ口出しは無用だよね。
うん、アストロ頑張れ。
『……このチームのリーダーは誰だ?』
「あ、オレ、私です。ジャスパー・シャリオンと申します」
『ラナを助けてくれてありがとう。その、勘違いしてごめんね』
「いえ! とんでもない! 双方無事で何よりです」
『お詫びと言っては何だけど、泉まで先導するよ』
「えっ!? 良いんですか!? 場所が分からなかったので、とても有難いです!」
と、冒険者さん達を連れて行く事になった。
マジか。
3歳児を演じられるだろうか……。
『マジだけど、連れて行くだけだし、お家の方へは入れないから大丈夫だと思う』
そっか。うん、なら大丈夫だね。
……もしかしたら街に入る手助けもしてもらえるかなぁ。
『もう少し様子みて見よう』
うん。あ、ネージュにも教えておかないと!
『分かった。念話飛ばしておく』
念話って飛ぶんだ……。
『ラナにもできるよー。魔力次第だね。後は妨害がなければ、かな』
ほうほう。
ココロのメモに記しておこう。
◇◇◇
白の泉までの道程で、アストロが冒険者さん達に色々聞いてた。
この人達はA+ランクで、4人組。
所属国はレイズサイズ国。
ジャスパーさんがリーダーで人族。
わたし的に馴染みのある黒髪。だけど青い瞳。
ロビンさんはエルフ。めっちゃ美人。
お兄さんかお姉さんか不明。
ダラスさんは土下座してた人でモフ耳さん。
丸い耳が可愛いけど、でっかくて威圧感凄い。
ミーシュさんは小人族なんだって。
小人族とは言えジャスパーさんの胸くらいまでの身長はある。
木の上から見てたのはミーシュさん。
ハイポーションの素材のクエストを受けて神樹の森に来たそうな。
何度か白スグリを探したが、なかなか見つけらずにいたんだって。
聖水の泉も、大体の方向しか分からず、探しながら森の探索をする予定だったと。
わたしはアストロの背中でうとうと……。
チラチラと見られていたが、それより眠気の方が強くて……すぴー……
『ここだよ。……ここでの戦闘はダメだよ。結界があるから害意があると弾かれる。どんな魔物でもそうだから、魔物が入って来ても恐れなくていい。襲われることはないからね。……今からだと野営するなら此処が安全だと思う。それから、ぼく達の後を追わない事。いいね?』
「畏まりました! ……その子は……?」
『ぼくの守護対象。人の子だから君達と話をしたいみたい。明日連れて来るよ』
「何か訳ありなんですね。分かりました。ここまで連れて来てくれてありがとうございます」
『気にしないでー。じゃあね』
「「「ありがとうございました!」」」
◇◇◇
【冒険者】
立ち去るグラシャ=ラボラスを見送る。
「「「っ……はぁ……」」」
「グラシャ様と出会えた……!」
「おま、それ所じゃねぇだろ!」
「普段無口なのにねー」
「それより、あの子ども……。グラシャ=ラボラスが保護してるのか?」
「……あぁ、人の子っつってたよな」
「すっごく見目が可愛い子だったねー! 肌なんて真っ白だし、大きな目はクリクリしてたし!」
「でもグラシャ=ラボラスに説教かましてたぞ」
「凄い剣幕だったけど、幼児語だから可愛かった」
「大人しく従うグラシャ=ラボラス。それに、何だろう、違和感が……」
「流石は神獣であられる」
「……」
「まぁ、何だ。とりあえず聖水を忘れずに汲んでおこう。それから野営準備だ」
「「「応」」」
この泉が聖水の湧く泉。
確かに真っ白な石には苔すら生えていない。
厳かな雰囲気漂う静謐な場所だ。
手で掬い飲んでみると、身体の中から浄化されたような気持ちになる。
手拭いを浸し、顔を拭く。
ウォッシュだけでは拭えなかったジャイアントの体液が全て取り払われた気がする。
グラシャ=ラボラスが一掃したジャイアントの体液の浄化、あれに近い。
自前のウォッシュなんか足元にも及ばない。
流石神獣。
「真っ暗になる前に野営準備終わらせるぞー」
「倒したのがジャイアントだけだし、今日は保存食だね」
「まぁ襲われる心配しないで眠れるんだから贅沢言ってらんないけどな!」
「「確かに」」
ダラスは相変わらず恍惚とした顔してんし、明日気合い入れさせないとな!
「おやすみー」
「「おやすみ」」
ぐがー……。
誰だよ! って、ダラスだった。




