燻製再び。
さてと、今回の燻製はブルとロックバードだ。
お魚はオマケ。
そもそも、「チーズも卵もエビせんも、燻製すりゃー何でも美味い」と豪語した先輩に倣っているだけ。
なんだけど、人生何があるか分からないから聞いてて良かったよねー。
まさか異世界でベーコン作るだなんて思ってもいなかったもの。
それも魔物肉でね。
今回は、ちゃんと塩抜きできたのか確かめる為に、少し切って焼いて食べてみた。
うん、ロックバードはいい塩梅なので、このまま燻製してみよう。
ブルはどうかなー?
と、味見にしている所に
『いい匂いするー! 何焼いてるの?』
と、うちの大型扇風機、もとい、アストロがやって来た。
燻製するお肉が塩抜きできてるか確かめたんだよ。
アストロも食べてみる?
『食べてみる! あ、ネージュにも』
はいよー。
と、ブルのお肉を2切れ焼いて、お皿に乗せた。
既にしっぽは大回転。
ちゃんとネージュの分も、と言う優しい子なのだ。
……独り占めしないよね?
『ネージュにあげてくるね!』
いらん心配だった。
さて、ブルの方もいい塩梅だったので、このまま燻製できるね。
よーし! 燻製開始!
◇◇◇
外に出ると、アストロとネージュが揃ってお座りしていた。
「ラナっ! あの肉凄いにゃ!」
『ベーコンと同じようにやるの? いつ食べられる?』
キラッキラの目で見られても時短されませんよ?
前回みたいに夜ごはんかなー。
「夜ごはん!? 遅いにゃー!」
美味しく食べる為に必要な時間なんですー。
待ったら待っただけ美味しいと思うよ〜?
『うんうん! この間もそうだった! 楽しみに待ってようね?』
「んにゃ〜ん。分かったにゃー」
インベントリから前回使った鍋を出す。
赤い魔石の熱は消しておいたが、さくらんぼのチップはまだ燻っている。
枠を立ててお肉を吊るし、大鍋を置いて、魔法で熱を誘導した魔石を鍋に入れる。
「けったい!」
結界で覆ったら、後は待つだけ。
時間差で塩漬けしたお魚の切り身を吊るして、一緒に燻せばいいと思うの。
ブルの燻製は、後で薄切りにしてジャーキーにするのもいいなー。
まぁ燻製の熱の入り具合にもよるかな。
ローストビーフ位の熱の入りようならジャーキーには向かないだろうし。
そうしたらジャーキーは別に作ればいいもんね。
そういえば、コンビーフもできそうな気がする。
むふ♡
お昼はそうだなー。
色々野菜のお肉巻きにしようかな!
◇◇◇
インベントリに大量にある薄切りお肉。
薄切りと言っても、しゃぶしゃぶ用よりも厚いので、野菜のお肉巻きにぴったりだ。
野菜に一旦火を通すので、お湯を沸かして順番に茹でていく。
人参でしょ、じゃがいもでしょ、かぼちゃでしょ、ごぼうでしょ、後は……うん、ニンニクも茹でちゃえ。
アスパラガスと、ほうれん草。
レタスも茹でて水を切ったら水っぽくならないよね。
生で巻いて焼いてもいいけど、さっさと食べないと水が出そうだもんね。
細切りにしてあるから、どんどん茹でて、どんどん冷却からの水切り。
もちろん、魔法が活躍してますよー。
そして、塩胡椒して小麦粉振ったお肉で巻き巻き。
野菜に火が通っているので、お肉が焼ければ完成だ!
あ、半分は甘辛タレにするか。
と、全種類並べて半分にカット。
タレは絡めるだけだし、簡単簡単。
ごはんは、おにぎりにして、スープはあっさりと、かき玉汁。
アストロもネージュも燻製の前から動かない。
楽しみなのは分かるけどね。ふふっ
「おひうごあん、でちまちたよ?」
『「食べます!」』
外に設置してあるテーブルと椅子を、アストロがウォッシュで綺麗にして、同じく外に置いてある戸棚からネージュがカトラリーを準備する。
ネージュはカトラリーを使うんだけど、その肉球どうなってんの?
追求すると嫌がるから、今度肉球もみもみさせてもらおう。そうしよう。
『「いただきます!」』
「いたーちまちゅ!」
最近は、おかわりコールがない。
そのぶん、ふたりのお皿には、おかずもご飯もマウンテン。
あの「おかわりくださいな!」が聞けないのは少し寂しいが、「おかわりでラナのご飯が止まっちゃう」と言い出したのはアストロだ。
優しくていい子だなぁ。
わたしは全然構わないんだけど。
『美味しいね! ラナのご飯美味しいね!』
「この三角なのがごはん?」
「おにぎにだよー」
「おにぎに! おにぎにと、このお肉が合うにゃ〜!」
おにぎり、です。
「……ラナの言葉解析は難しいにゃ」
『もう少し大きくなればちゃんと話せるようになるよ。だからたくさん食べてね!』
……たくさん食べても言葉は使わないと上手にならないんだ……。
でも、頑張るね!
「だ、大丈夫にゃ! 念話もあるしにゃー!」
お気遣いありがとう。
千里の道も一歩から!
『「せんりのみち?」』
長い道のりも1歩ずつ、とか何とか言う感じの格言的なやつだったはず?
「……ラナって、ホントに生まれて3年にゃの?」
えっ!?
あー、えーっと、多分……?
『ごちそうさまでした!』
「あ、ごちそうさまでしたにゃー」
「あい! ごちとーまたでちた!」
いやさ、別にバレてもいいんだけど……。
何となく誤魔化してしまった。
ま、そのうちそのうち……。
◇◇◇
時間差で燻製予定のお魚を準備する。
2切れの端を紐で括ってあるので、枠に引っ掛けるだけだ。
それが5組。
残りの塩漬けお魚は、このまま塩鮭になってもらおう。
おにぎりの具になるしね!
1度結界を解いて、枠にお魚を引っ掛け、再度結界を張る。
もわん! と煙が逃げるが、短時間なので食材に影響は少ないはず。
「おいちくなーえ!」
キラン☆
あっ。
しまった。魔法発動した気がする。
どんな影響が出るか分からんが、美味しくなるならいっか!
『ぼくも! 美味しくなーれ!』
キラン☆
「オレもにゃー! 美味しくなれー!」
キラン☆
ちょ! あっ!
あぁ……ま、まぁいっか!
きっと不味くはならないはず……。
……多分。
◇◇◇
お日様の光が森の中まで届かなくなる頃合。
そろそろかな? と、結界を解く。
『どう? できてる?』
「ちょっと煙いにゃ……」
『ネージュもこの間食べた、はんばーぐに巻いてあったお肉がベーコンなんだよ? 美味しかったでしょ?』
「にゃんと!? あれはこんなに煙くなかったにゃ!」
『ね! 煙で美味しくなるなんて、魔法より魔法だよね!』
「凄いにゃー! で? できたのかにゃ!?」
それをこれから確かめるのよー。
よし、確認しますよ!




