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お邪魔します。

「おじゃまちまちゅ……」


 ドアを開けて中に入ると、すぐにリビング?

 何やら可愛らしいソファーがある。

 ふわふわなラグまで敷いてあって、至れり尽くせり、なんだけど……。

 家具、ちっちゃくね?

 わたしが座って違和感無いくらい、ちっちゃくね?

 あ、靴のまま入っていいのかな。

 いや、せっかく魔法があるなら、綺麗にしてから靴を脱いで入りたい。


 えーと、全身綺麗に、ウォッシュ!


 しゅわん! とサッパリ!


「でちた!」


『うんうん! 上手! ぼくにもやってみて』


 アストロもウォッシュ!


「どお? ちもちい?」


『うんうん! 上手上手!』


 むっふ〜ん!

 どーよ! やればできる子!


『魔法使ってみて身体がダルくなったりしてない?』


 うん、大丈夫だね。

 ダルくなったりするの?


『魔力が枯渇すると動けなくなるから気をつけてね。まぁダダ漏れする位だから、よっぽどじゃなければ大丈夫なはずだよ』


 ほうほう。

 わかった、気をつける。

 では中を見てみよう。


 リビングを抜けるとキッチン。

 ……キッチンも子どもサイズ?

 あ、良かった、竈じゃなくコンロだ。

 蛇口もあるのねー。

 水汲んで来ないとダメかと思ったから安心した!


 つーか、3歳サイズで使えるキッチンって、おままごと用なのか?

 この家はでっかいおままごとハウス?

 まさか、火もつかなければ水も出ないとか!?


 じゃーーーーー

 ぴかっ!!


 あ、使えるわ。水も出るし、コンロは炎の出ないIHタイプ。

 ……まぁサイズは3歳だけど、中身は大人だしね。

 料理も多分出来るだろう。多分……。


 包丁や鍋、キッチングッズも揃ってる。

 包丁、小さいけど、ちゃんと切れそうな感じだな。


 でもな?

 腕が短くて、炎が出ないとはいえコンロは怖いぞ?

 ……まぁ後で考えるわ。うむ。


 キッチンを出てリビングを抜けるとベッドルーム。

 こりゃまた高さは3歳サイズ。

 広さは大人サイズ。

 アストロと一緒に寝られそうだ。


 クローゼットには、靴と着替えが数枚入ってた。

 全部同じ靴と服。全部、今と、同じ靴と服。

 大事な事だから2度言った。

 どこのジョ〇ズだよ……。

 若草色のスモック的なのとかぼちゃパンツ仕立てのオーバーパンツ。

 ……これを自分が着てると言う理不尽。

 くっ!


 まぁウォッシュあるから洗濯必要なさそうだし、楽ではある。


 また別のドアを開けたら、あったよ! お風呂!

 ああああああああぁぁぁ! 神様ありがとう!


 平屋なので2階はない。

 充分だ! 衣食住の食以外があるなら大丈夫!

 食は……とりあえずフルーツか……。

 しょぼん


『果実だけじゃなく、色々食材採れるよ?』


 色々って?


『塩とか、パンとか』


 パン!?


『うん、パン。肉はぼくが狩って来るし』


 いやいや! 捌けないし!


『あぁそっか』


 と言うか、アストロさっきフルーツ食べなかったよね?

 アストロは何食べるの?

 生肉?


『ぼくは食べても食べなくても大丈夫。生肉は流石に食べないかなー』


 え!?


『そういう種族なの』


 神獣的な……?


『よく分からないけど………どこかの国では旗にシルエットが模されてるよ』


 何ですと!?

 従魔契約なんてして良かったの!?


『いいんじゃない? ワールドインビテーションも聞こえたし』


 それ! それ何なの!?


『ワールドインビテーション? これはこの世界が認めた時に、その人だけに聞こえるんだよ』


 世界が? 認める?


『そう。もし認められなかったら聞こえないはずだから、大丈夫だよ』


 へぇ……。

 不思議だねぇ。


『滅多に聞けないらしいからねー』


 ほぇー……。

 そんな貴重な体験しちゃったのか。凄いな。






 ◇◇◇


 コップにお水を入れて、ソファーに座り暫しインベントリを探ってみた。

 

 このインベントリっつーヤツ、どこかで見た事あるような絵柄がある。

 ゴミ箱、動物? 後は倉庫1~10まで。

 なんじゃこりゃ。


 1には家が入ってた。

 後は家具とか。

 そういえばリビングにはソファーとラグだけだったな。

 キッチンに付随するダイニングにもテーブルと椅子が4脚のみ。


 2を意識すると、おお!? 食材!?

 とりあえず目に付いたパンを出してみた。


「ほわぁ! あったたいぱん!」


 焼きたてのふわふわパンが出てきた!

 もう1つ出してアストロにあげると、


『えっ!? これが入ってたの!?』


 うんうん! 食べてみよ!


 かぷりと齧り付くと、小麦の香り。

 自分の顔くらいありそうな大きさの、ふわふわしてる白パンだ。


「おいちぃぃぃぃぃ!!」


 はむはむと一心不乱に齧る!


 アストロは怪訝そうに見てたけど、1口食べたら一瞬で食べきった。


『美味しかった! 凄いねー!』


 まだ食べてるわたしを凝視するのヤメテ。

 仕方ないから、もう1つ出してあげた。

 それも一瞬で消えた。


 もう終わりですー!


 そう言うと、ラグの上で丸くなった。


 わたしは残りのパンを食べきって、お腹ぽんぽんだ!

 あぁ、バターがあったら良かったのに……。

 って、あったわ。

 失敗した!!!!


 まぁ次回のお楽しみって事で。


 よく見ると、見た事ない実も入ってる。

 塩の実、ソイの実、砂糖の実やら。

 意識すると説明文も出るとか、これが異世界チート!?

 魂削って辿り着いた甲斐があった。のか?

 身体は3歳サイズだし、かぼちゃパンツだけどな!


 雨風凌げる場所があるのは有難い。

 天井を見ると、どうやら明かりもあるみたいだし。

 安心して、お腹いっぱいになったら眠たくなってきt……


 すぴー……





 ◇◇◇


【アストロ】


『あれ? ラナ寝ちゃった? ”ウィンド”』


 ぼくのお腹の所に連れてきて、ラナを寝かせる。

 この子は不思議な子。


 空から落ちてきたと思ったら、中身は大人だと言うし。

 大泣きしたかとおもったら、果実目の前にして笑ったり。

 空間倉庫から家を出すし。


 案外逞しいよね。


 これからラナと一緒に何をしようかな?

 まだぼくも独り立ちしたばかりだし、ラナとアチコチ行くのも楽しそう!

 子どもの頃は人の街のそばに行くと叱られたけど、今なら、ラナと一緒なら大丈夫かな?

 でも暫くは、この森を案内してあげよう。

 まだまだ素敵な場所もあるからね!


 ラナ、おやすみ。





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