ケットシーの名付け。
「念話だと普通に話せるのにゃ」
声に出すとまだ上手に話せないだけなんですー。だけど、声に出さないと上達しないから、なるべく声で喋らないとなんだけど。
「……3歳? って聞いたけど……」
たんたい。
指を3本立てる。
『ニーズはもっと小さいって言ってたよ』
……3歳位、だから、だいぶ曖昧だよね。
「こんな話し方の3歳児はいにゃい!」
あ、気づいちゃった? まぁ、そーゆー事なんで、慣れて。
「慣ゃれにゃい! にゃんにゃの!?」
にゃにゃ語すごー!
「混乱するにゃ!」
だよねー! だよねー! 慣れて?
『大丈夫、すぐ慣れる』
「にゃあああああああ!」
と、頭を抱えるケットシー。
え、そんなに変? って、変か。幼児の頭の中を覗いて見た事はないけど、こんな風に喋らないよねってのは想像できる。よし、ここは畳み掛けて煙にまこう……。
ケットシーは幼児と念話で話した事ある? ないよね? 意外と幼児も考えるし、頭の中では流暢に話すし、こんなもんなんだよ? ただ行動が伴わなくて突拍子もない事をするだけなんだって。これが普通。分かった?
「そ、うにゃの?」
『「うんうん」』
「街で見かけた幼児には、追いかけ回された記憶しかにゃい……それかしつこく撫で回されるか……でもラナは違ったから……ごめんにゃ」
いーよいーよ、これから仲良くしようね!
「仲良く……? 物心ついてからの仲良しにゃんて初めてにゃぁぁぁん♡」
『じゃあ、仲良し記念に1発!』
わぉぉーーーーーーーーん!
「に゛ゃっ!? びっくりするにゃ!」
3人で大笑い!
新たに仲良しさんができて嬉しい夏の始まり♪
◇◇◇
「所で……お願いがあるにゃ」
「おねだい? なぁに?」
「ラナとアストロで、オレに、その、個体名を、付けて欲しいにゃ」
もじもじしてるケットシー可愛い。
『え?』
「あっ! ダメだったらいいにゃ! 気にしにゃいで!」
『ぼくは得意じゃないから、ラナに任せる! いい名前考えてあげて!』
「うお! てきにんじゅうやい! ちょっとまってね」
じーっとケットシーを見る。
真っ白ふわふわ。
目の色は淡いブルー。
……雪。
……ネージュ!
「ねーじゅ!」
『「ネージュ?」』
「まっちよでゆちみたくふあふあできえい! やからねーじゅ!」
『いいね! ネージュ!』
「!!!」
「どちたの? ねーじゅはいや?」
「いや、ネージュ嬉しい、んだけど、これ……」
『「?」』
首こてん
「あぁ、いや、にゃんでもにゃい。ありがとう。名前嬉しいにゃ」
「どういたちまちて! ねーじゅこえかやよろちくね!」
『ネージュよろしくねー!』
「にゃん!」
◇◇◇
【ネージュ】
「ねーじゅ!」
「ネージュ?」
「まっちよでゆちみたくふあふあで……」
と、ラナが名付けの説明をしているが……
ピコっ
”個体名ネージュは個体名ラナの従魔になりますか?
はい いいえ 保留
はい、の場合は従魔固有スキルを獲得します。
いいえ、の場合は個体名のみ受け取ります。
保留、の場合は、いつでも はい いいえ を選ぶ事ができます。”
「いや、ネージュ嬉しい、んだけど、これ……」
頭の中に響く、声?
もしかしてこれは、噂のワールドインビテーション?
でも、ワールドインビテーションは世界に認められた時に聞こえるって聞いたぞ?
それなのに、選択肢があるって何なの!?
名前貰うとこうなるのが普通!?
って言うか、名前貰ったら従魔になるの!?
ラナはきっといい子、アストロも……
でも従魔になるなんて……。
にゃーー!わかんにゃい!
考える時間が欲しい!
とりあえず 保留 にします!
「あぁ、いや、にゃんでもにゃい。ありがとう。名前嬉しいにゃ」
”個体名ネージュは 保留 を選択しました。
はい いいえ を選ぶ時は念じれば叶います。
保留期間は次の秋の精霊が渡るまでです。”
次の秋の精霊が渡るまで……。
それまでに、ラナを観察しよう。
……また、置いて行かれたら、迷わず いいえ にする為に。
「にゃん!」
◇◇◇
んー……ネージュって微妙だったのかなぁ。
『なんで?』
何となく、こう……挙動不審だったと言うか……。
『初めての名前で戸惑ったんじゃない? あ、今回はワールドインビテーション聞かなかったの?』
え、あんなの何度も聞くもんじゃないんでしょ?
アストロの時は、きっと何かの波長がバッチリだったから聞こえたんだよ。
名前つける度に聞こえたらオカシイでしょ。
『まぁそれもそうだよねー。でも、ラナならありそうだなって思っちゃった』
ないない!
言ったでしょ? わたしは普通の子!
『普通の子は称号なんて貰わないけどねー』
うぐっ……
あれは、ほら、その、えと、成り行き!
そう! 成り行きだから!
『まぁ成り行きと言えば成り行きだね。で、ネージュは大丈夫だよ。いつでも呼んであげたら慣れると思うよ?』
うん。
こんな森の中で、意思疎通できる存在が増えたんだしね。
仲良くして行こうね!
『ぼくとしては、あの子次第って感じもするけど……』
まぁね。
辛い生い立ちがあるから、ゆっくり見守ってあげようよ。
と言うか、アストロがそんな風に思うのって珍しくない?
『うーん……ラナは見えない?』
何を?
『ネージュのに背中に時々ふわふわしてるモノ』
え? 虫!?
『違う違う! ひゃはは! ……虫よりもっと近寄りたくない感じの何か、なんだよねー』
何だろう……見た事ないかも。
『ぼくの考えすぎかな。ラナとふたりが楽しかったから……』
もじもじ
ひゃぁ! アストロ! もしかしてヤキモチ!?
そんな風に思わなくても大好きだよ!
ぎゅーしちゃう!
『ふふふっ! ぼくもラナが大好き!』
伏せの状態でいるアストロの背中に乗って、ぐりぐりと顔を擦り付ける。
はぁ♡ お日様の匂い♡
そんな心配、1ミリだってないのにね!




