ケットシーの話。〜その2〜
【ケットシー】
※にゃにゃ語なしver.
最初の頃は別に何もなかったんだ。
……いや、大きいケットシーの視線は感じてた。
だけど、小さい子達で遊んでいる分には分からなかったんだ。
でも、身体も心も育ってくると、一緒に遊んでいた子等の態度が変わってきた。
色が変だって、気付いてきたんだよな。
あからさまに避けられたり、酷い言葉を投げられたり。
大きいケットシーは、みんな我関せず。
虐げられた記憶はないが、良くしてもらった記憶もない。
オレにだけ、ただただ、無関心。
他の子には声もかけるし、笑いもするけど、オレの姿は見えないみたいだったよ。
おかしいなって思って、目の前で転んでみたり、おどけてみたりしたけど、丸無視なんだぜ?
流石に気づくよなー。
あぁ、みんなと色が違うからなんだな、って。
オマケに、オレ、みんなが使えないようなスキルがあってさ、ある時、皆から知らん顔されて、あれ? 変だなって、思うようになった時、隠れんぼに誘われて、久しぶりに一緒に遊ぼうって言われて嬉しくなっちゃってさ、必死に隠れてた訳よ。
スキルも使ったりして、見つからないようにって。
そしたらさ、誰も見つけられなくて、得意になってたんだけど……。
暗くなっても探して貰えなくて、どう? 凄いでしょ! って得意気に出ていったら……誰も居なくてさ。
オレ、置いて行かれたんだなって気が付いた。
コロニーの拠点、変えたみたいなんだよね。
まぁ、その時は悲しかったけど、ほら、元々ケットシーって大人になったら群れたりしないからさ、ちょっと早めの独り立ち! って思って、行きたい所にフラフラ行ってたら森の奥に進んじゃったーって所なんだよねー。
◇◇◇
「で、今に至るにゃー」
ぅ……ぐすっ……
「ぶえええええええん」
『くぅぅぅぅぅぅぅん』
「なっ!? 何にゃ!! 何でオマエらが泣いてるにゃ!」
「じだうぼん! べだらあじぇだででうだでだぼん!」
『ぼぐぼ! べがらあぜがででるだげだぼん!』
『「うわああああああああん!」』
「おっ、おばえらばがだにゃ! にゃぁぁぁん!」
「ぶえええええええん!」
『くぅぅぅぅぅぅぅん!』
「にゃぁぁぁぁぁぁん!」
と、まぁ、号泣の大合唱。
3人揃って目が腫れて、見事にブサイクトリオの出来上がりだ。
『はぁ……目から汗が出るって、大変なんだね……』
「それが汗なら異常だにゃ」
だよねー。
『生い立ちにアレコレあったからひねくれちゃったんだね』
えっ!? アストロ!?
「おいおい……おいおいおい……! そんにゃ言い方はにゃいんじゃにゃいの!?」
『ぼくだって、ラナだって、アレコレあるけど、だからこうして出会えて、寄り添って暮らしてるんだから、ケットシーも好きなだけ居たらいいよ。ふらりと旅に出るも良し、ここを拠点にして行動するも良し、まぁ強目の魔物が居るから気をつけるに越したことはないよ。無理に聞いて悪かったね。話しにくい事だったよね、ごめんね』
「……別にいいにゃ。安全と引き換えにゃら、こんな事くらい屁でもにゃいにゃ」
ぷいっ
「で、すちるってなぁに?」
『あ、ぼくもそれ気になる』
「ふふふん! オレ様の顔をよく見るにゃ!」
顔?
じーーーー……じろじろじーーーー……
”ケットシー(特殊個体)
ケットシーの平均より遥かに魔力が多い。
気配探知に優れている。
特殊個体固有スキルとして、カモフラージュ が使える”
「かもふあーじゅ」
「んにゃっ!? 何で分かったにゃーー!!」
あら、当てちゃった。
と言うか見えちゃったんだけど。
「そっちじゃにゃくて! この立派なヒゲを見ろにゃ!」
『ヒゲ長いねー』
「このヒゲがあるからこそ、この森でも生き残れるにゃ!」
「かもふあーじゅできうかや?」
「……気配探知が得意にゃの! それは忘れていいの!」
『あぁ! 被毛が白いから変幻自在に色を乗せられるのか! へぇー!』
「……もう、何にゃの!? 当てたヤツなんて皆無にゃったのに!」
悲しい生い立ちには触れず、できるだけ笑えるように話をする。
それはアストロも、ケットシーも同じだったようだ。
そんな時にも訪れる睡魔。
あぁ……早く人間に、じゃなかった、大きくなりt……
すぴー
◇◇◇
【アストロ】
「あれ? もしかして寝てるにゃ?」
『あら。ラナはまだ幼いからねー。お昼寝も成長に大事な事なんだよ』
”ウィンド”
ぼくのお腹に寄せてっと。
「幼にゃい、ねぇ……? それにしては、だよにゃ?」
『まぁね。言ったでしょ? ラナにも色々あるんだよ』
「こんにゃ幼にゃ子が、こんにゃ森の奥に居る事自体が変にゃのにゃ。およそ人の持つ魔力じゃにゃいし。この子も大変にゃんだにゃー」
そう言って、憐れむような目でラナを見るケットシー。
あれ? ちょっと勘違いしてる、かも?
「精々優しくしてやるにゃ。流石に人族のようにはいかにゃいだろうけど、抱っこもしてあげるといいにゃ」
『ケットシーもここに住むなら、ラナに優しくしてあげてよね?』
「ラナ、この子はにゃん歳にゃの?」
『うーん……恐らく、3歳、位らしいよ』
「にゃっ!? 生まれてまだ3年って事にゃのか!? ……酷い事するにゃ……」
あ、やっぱり勘違いしてる。
けど、まぁいいや。
『多分、だけどねー。ニーズ曰く、もっと幼い体格らしいよ』
「ニーズ……ってニーズヘッグ……?」
『うん、黒龍のニーズヘッグ』
「にゃんだと!? よく食われなかったにゃ!」
『え? ニーズは優しいよ? 食べるわけないよ』
ふふっ
「ぉぉぉぉぉぉ……1度姿を見たけど、怖くてしっぽが股を通って首まで来たにゃ……」
『そうなの? 話してみると気のいいおいちゃんだよ!』
「ニーズヘッグをおいちゃんにゃんて言うやつは、グラシャ位なもんにゃ……」
『あ、それ! ぼくにはアストロって名前があるんだ。グラシャじゃなく、アストロって呼んでよね!』
「本当のにゃまえだったのか……個体名……にゃん」
『ふふふん! ラナが付けてくれたんだよ!』
「……」
『あ、ラナをベッドに運んでくる! またね!』
「あ、あぁ、またにゃ」
ちょっと自慢しちゃったなー。
だって名前、嬉しいんだもん! へへっ!




