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ケットシーの話。〜その1〜

「おまたてー! けっとちーくんもたべゆ?」


「オレはこれがあるにゃ」


 徐に鰹節の木を、ぽきんと折ってちゃむちゃむと噛みだした。


 インベントリからテーブルと椅子を出して、サンドイッチとシチューを置くと、アストロがテーブルに向かってお座りする。


 今日のしっぽ扇風機の被害者はケットシー。


「にゃっ! ちょっ! しっぽ止めるにゃ!」


『それは無理な相談〜♪ ラナのごパンは美味しいから〜♪』


 ふふっ

「めちあだえ! いたーちまちゅ!」


『いただきまーす!』



 たまごサンドにぱくっ! と噛み付くと、たまごフィリングが、ハミっとはみ出す。

 今度はそこを狙ってぱくっ!

 うん、大きめにクラッシュしてるから、ゆで卵の存在感凄い。

 そこに時々ピリリと粗挽き胡椒。

 いいねいいね! 美味しい!


『おかわりくださいな!』


「あーい!」


 カリカリベーコンと、レタスのしゃっきり感、そこにトマトの甘みと酸味。

 シンプルにフレンチドレッシングを、べっちゃりとならない程度に少しだけ掛けているが、それが全体を纏めていてこれも美味しい。


『おかわりくださいな!』


「あーい!」


 ロースハムの代わりの鶏ハムはパストラミ風。

 ハムはしっとり、ここでも黒胡椒がいい仕事している。

 一緒に挟んだレタスとマヨネーズがいい感じ!

 これには粒マスタードが合うだろうなー。


『おかわりくださいな!』


「オレにもくださいにゃ!」


「あーい! え『えっ!?』」


「ずるいにゃー! すんごく美味しそうな匂いさせて! オレも欲しいにゃ!」


『さっき、これがあるからいらにゃいにゃ、って言わなかったっけ?』


「これがあるって言ったけど! いらにゃいとは言ってにゃい!」


 わぁ! 強引!


 まぁ、わたしもイジワルじゃないので、用意はしてあったよ。

 インベントリから椅子を出して


「あい、ここにしゅわっていいお。でもうおっちゅちてからやないとたべたてないかやね」


「はーい! ”ウォッシュ”これでいい!?」


「どーじょ!」


『あっ!! いただきますしてからだよ!』


「それにゃに?」


『作ってくれたラナに、命を貰うたまごや野菜に、いただきますって感謝してから食べるの!』


「へー? めんどー」


『じゃあ食べちゃダメ』”ウィンド”


 ふわりとお皿が宙に浮く。


「あぁぁぁ!! 分かったにゃ! 感謝する! いただきます! 感謝してます!」


『分かればよろしい』


 テーブルにお皿を戻して監視の目を向けるアストロ。

 中々厳しい。

 が、ちゃんと分かっていただきますを言ってるのが嬉しい。


「い、いただきます?」


『そう』


「いただきます!」


『どうぞ!』


 ばくっ! むしゃ! はぐはぐ!


 おぉ、欠食児童か!?

 器用に肉球を使って、凄い勢いで貪るな。


「ゆっくいたべなたいね? あしゅとよはおかわい?」


『……ケットシー見てたらお腹いっぱいになったよ。ありがとう、ごちそうさまでした!』


「あい!」


 むしゃむしゃと食べるケットシー。

 この際お行儀なんてうるさい事は言わないけど、喉に詰めなきゃいいが……。


「んっ! んぐっ!」


「わわっ! ほや! おみじゅ!!」


 ほー! コップも持てるのか! 凄いなー。


 ぐびっぐびっ! ぷはっ!


 そしてまた無言で食べる。


「んっ!」


 と、お皿を出すけど……はて?


「もっとくれにゃ!」


『違う! くれ、じゃなくて、おかわりくださいなって言うの!』


「お、おかわりくださいにゃ!」


 ぷぷー!

「あい、どーじょ!」


 むしゃむしゃぱくぱくはぐはぐ……。


 こりゃよっぽとお腹すいてたのね。

 わたしと同じ位の背丈なのに、わたしの3倍は食べてるよ。




 ぐすっ……うぐっ……ずびずび……。


 あら。

 今度は嘘泣きじゃなくて、本気で泣き出した。

 やっぱり訳ありなのかな。


『あ……、ラナ……』


 うんうん、大丈夫。

 今は泣かせてあげよう。

 お腹がいっぱいになって、ちょっと気が緩んだのかもしれないからね。


『うん、分かった』


 アストロのしっぽが、ケットシーのしっぽをあやしてる。

 優しい子だなぁ。

 本当にいい子。


「ちょっとだけあったかいみうくよ」


 猫舌だろうし、少しだけ温めてあげた。

 そしたら


 うっく……

「にゃぁぁぁん! にゃぁぁぁん! にゃぁぁぁん!」


 今度はわんわん、違った、にゃーにゃーと大声で泣き出してしまった。



 …………

 ……

 …




「はー……、目から滝が出た」


『汗じゃないんだ』


「目から汗なんて出たら異常にゃ」


 ぐっ……!

 わたしは汗が出るけどね!

 滝だって立派に異常よ!


『食べ終わったら、ごちそうさまでした、だよ』


 さっきまで泣いてたケットシーにも容赦なしですか。

 優しいのか厳しいのか……。


「……ごちそうさまでした」


「あい、おちちゅいた?」


「うん。その、ありがとう」


「どういたちまちて!」


「…………あの」


『うん?』


「さっきの」


『うん』


「話さなきゃダメ?」


『ここに居たいならね』


「はぁぁぁ〜……。分かったにゃ。言っとくけど面白くにゃいからにゃ」







 そして、ぽつりぽつりと話し出した。








 ◇◇◇


【ケットシー】

 ※にゃにゃ語なしver.


 ケットシーは群れないけど、それは大人になってからの事。


 そもそも、生まれる時は暗闇から生まれるので、人で言うところの親は居ない。

 でも、暗闇から出たら、小さいケットシーと大きいケットシーが居るので、群れと言えば群れになる。


 みんな家族で、みんな他猫だ。


 子猫は子猫同士でじゃれて痛みと加減を知る。

 最初は、みんなそうやって学ぶんだ。

 オレもそうだった。

 みんな一緒に、学んでいたんだ。


 ケットシーの特徴は知ってるか?

 黒い被毛と、胸に白い模様なのがケットシーの特徴だ。


 オレは……見ての通り、真っ白で……。


 これだけでも分かるだろ?

 オレは……異分子だったんだ。




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