表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/91

かつおぶしの木と夜間飛行。

「おはようにゃ!」


 がっくり……

「なにかわしゅれもの?」


 朝のルーティンをこなそうと思ったら居たよ。


「かつおぶいの木がにゃくにゃった! だからもう一本ちょうだい!」


「……たべちゃったんじゃ?」


「たたたたたた食べる訳にゃい!」


 目がきょときょとしてますけど!?

 それに


「かちゅおぶいななくて、かちゅおぶち!」


「カチュオブチノチは違うって言ったにゃーー!」


 ぐほー! 幼児語め!!

 はぁ……乗り掛かった船だ。


「あげゆけど、たべたやもうないよ! ちゃんとうえゆの!」


「そんなの知ってる! 気が付いたらにゃかったの!」


 そんな訳あるかーーーい!!

 ったく!




 ケットシーを引き連れて果樹園に行ったらアストロが水撒きをしてくれていた。


『あっ! やっぱりー! 知った魔力を感じたから居ると思ってたんだー。で? 食べちゃったんでしょ』


「ちっがーーう! 気付いたらにゃかったの!」


『そんな訳ないでしょ! もー! ラナ、甘やかしたらつけあがるよ!?』


 おぉ、アストロが辛辣。


「えっ!? お嬢様はそんにゃ事思ってもにゃいですよね!?」


 じとー……

 ぷにぷにの肉球をスリスリ揉み手しながら地面に埋まりそうな位の下出に出るのは気持ち悪いぞ。


『あぁ、こういう時に使うんだな。キモっ!』


 アストロくん!! 覚えたからって使っちゃダメですよ!

 って、わたしが悪いんだけど。


(きも)?」


 と、自分の腹を見るケットシー。

 何コレ漫才?


「あー、あしゅとよ、こえがさいごっていってあゆかやだいじぶ!」


「えっ!?」

 がーーーん!


 何驚いてんのよ。

「さっちいったえしょ! ちゃんとうえゆよよ!」


「……分かったにゃ。だからちょーだい」


 仕方ないなー。

 今日食べる分と植える分、2本あげるか。

 でも


「いほんあゆかやって、たべたややめやかやね!」


 凝視してる。

 どれ……右上げて! 左上げないで右下げて!

 左上げたら右上げない!


 頭ぐるんぐるんしてるケットシー。


『「あはははは!!」』


「に゛ゃーーー!! 酷いのにゃ!!」


「ごめんね、あしょんだった! しょのかーり、もいっぽんちゅけちゃう!」


 と、合計3本の鰹節の枝を進呈した。


「んにゃぁぁぁん♡ ありがとー!」


 あら素直♪ 可愛いとこあるじゃない。


『ちゃんと植えるんだよ! 土に挿してからまる2日掛かるからね!』


「分かってるにゃ! じゃあにゃ!」

 にゃにゃ〜ん♪にゃにゃにゃ〜ん♪


 と、踊りながら去って行った。




『今度は大丈夫かな……?』


 理性が持てば……大丈夫、かな?

 しかし騒々しい子だったな! ふふっ






 ◇◇◇


 午後は念願の夜間飛行の為に少しお昼寝をした。


『季節が変わると魔蟲が多くなるから今のうちに』


 って事らしい。

 

 魔蟲……って、空に?


『うん。アイツらこそ本能だけで生きてるから、突っかかって来るんだよねー。うっとおしいから弾き飛ばしちゃうんだけど、ドームがあってもラナは気持ち悪いかなと思って』


 なるほど。

 アストロ”も”気持ち悪いのね?


『あ、バレちゃった。ひゃはは! だって何考えてるのか分からないんだもん』


 そりゃそーだ。

 相手は虫だからねー。

 ……アリンコがあの大きさ、でしょ?

 って事は、他のもでっかい、のかな?


『普通の大きさだよ?』


 いやいやいや!

 元の世界のアリンコは、今のわたしの足の小指の爪サイズだったよ!


『えぇぇっ!? そんな事ある!? そんなに小さかったら何もできないじゃん!』


 いやいやいや!

 自分の体重の40倍だとか70倍だとか持てるんだよ!?

 数の暴力で、でっかい動物だって骨しか残らない事だってあったんだから!


『うわ……そんなちっちゃいのが(たか)ってるなんてキモい』


 ……キモいの使い方が上手になった事。

 確かにうぞうぞと居るとキモかった。

 かと言って、でっかい虫が集ってるのも嫌だけど。


 と、ふたりしてぞぞぞぞ……となった所でお昼寝。

 悪い夢見なきゃいいけど。






 ◇◇◇


 と、まぁ寝付きのいい事で悪夢なども見ずに、すっきりお目覚め。

 空はすっかり夕方。

 寝すぎた……。


 とは言え明日何かがある訳じゃなし、しっかり夜ごはんを食べたら出発だ!




『行くよー!』


「あーーい!」


 アストロの背中に乗って、空へ!




 まだ紅が残る空。

 群青とオレンジのコントラストが綺麗。

 空を飛ぶ魔物達は昼間よりも少ないんだって。

 鳥目なのかなぁ?


 そして期待通りの満天の星。

 知ってる星座がひとつもない夜空は、何となく不思議。

 そりゃ地球だって北半球と南半球では星座も違うけどさ。



『あの大きな光るのはルヴランって言うんだよ』


 へぇ! ルヴランって言うのか。

 大きいね!


 恐らく月の事を言うんだろう。

 場所が違えば呼び名も違うよねー。


『季節が変わると、レヴォネと一緒になる時もあるよ』


 レヴォネ?


『そう。あの大きさのが2つ出るんだ。その間の夜は今より明るいよー』


 え? ふたつ?


『うん、ふたつ』


 は? 月が2つもあるの!?


『え? つき?』


 前世では、月って言ってたの。

 満ちたり欠けたりしてたんだよ。


『えっ!? 欠けちゃっても大丈夫だったの!?』


 あ、いや、えっとー星の影に入るから欠けて見えるだけで実際に欠ける訳じゃなくて……説明が難しい。


『へぇ! 美味しそうだから、誰かが齧るのかと思った!』


 おぉ! 童話にありそう! ふふふっ


『ここではいつでもまん丸だよ。キラキラして見えるやつは、天界で赤ちゃん達が産まれてくるための順番待ちをしてて、楽しみに待ってるからだって聞いたんだー』


 うひゃ! なんちゅー可愛い事を!


『違うの?』


 ……ううん、きっとそうだよ。

 楽しみだからキラキラしてるんだね。


『ぼくもラナも彼処に居たんだ。って、ラナは違う世界から来たから違うのかな? それとも空は繋がってるのかな?』


 ふふふっ

 きっと繋がってたよ。

 アストロの横に居たのかもしれないよね?


『うん! そうだったなら嬉しいね! また会えたって事だもんね!』



 あぁアストロが可愛い♡




今日は七夕ですね!


星という概念がないのか、キラキラしたのって表現してます。

 ラナは説明する(できない)より、アストロに同意( ´-` )


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ