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不撓不屈?

 そもそも結界の中だったしねー。

 無理矢理奪おうとしたら、そりゃ弾き出されますわ。


『飛んでったねー』


「こえがほちかったみたい。にゃんこまっちぐや」


『ネコが好きな匂いなの?』


 前世では好きなネコ多かったと思うよ。

 まさかこの世界でも食いつくとは思わなんだ。


『ふぅん? それなら匂いも遮断しようか』


 えっ!? そんな事もできるの!?


『もちろん! イメージ次第だよ』


 へぇぇぇ! 便利極まれり!


 という事で、匂いも遮断された。

 わたしは近付かなければ分からなかったが、魔物は嗅覚が発達してるのも多いかもだしねー。

 とりあえず一安心!






 ◇◇◇


 それから3日後、またもや白いケットシーが結界のそばでよだれを垂らしていた。匂いもしないはずなのに。


「こんいちは? ぶじえよたったねー!」


「にゃー! 無事じゃにゃいわ! 飛ばされた先にサイクロプスが居て危うくエサににゃる所だったわ!」


「でもみたとこよけがはなたしょうよね?」


「必死で逃げたにゃーー! ……お詫びにあの枝くれにゃ」


 え? 何のお詫び?

 首を傾げてみる。こてん。


『あっ! また来たな?』


「グラシャ! お詫びしろにゃ!」


『え? 何のお詫び?』


 アストロも同じく首を傾げる。こてん。


「飛ばされたにゃ!」


『そりゃそうだよ。この結界の中でラナから物を奪おうとしたんだから飛ばされても自業自得だよね?』


「うっ! 奪おうとしてにゃい、ちょっと貰おうと思っただけにゃ!」


『無理矢理は奪うと同じだよ? お願いして了承を貰ってからなら飛ばされなかったよ』


「お願い? この! 高貴にゃオレ様がお願い? バカも休み休み言えにゃ!」


 高貴? こてん。


「あっ、信じてにゃいにゃ? オレ様は猫界、引いてはケットシー界の時期王にゃ!」


「しゅごーい!」

 パチパチパチ


「ふふん! いずれこうやって軽々しく口も聞けなくなるにゃ! だから寄越s」あぁぁぁぁ


 びゅんっ!


 あーらら。また飛んでった。

 ……やば、おもしろっ!


『何なの? アイツ。ラナに手を出そうとするなんて。死にたいのかな?』


 学習能力がないのかな? ちょっと面白かった!

 だけど何度も来るのはねー。

 今度来たら枝、分けてあげようかな。


『そんな事したら味をしめて何度も来るよ?』


 あー、それは困るねぇ。

 もう一本鰹節の木をお願いしてみようかな。


『えー。そんなのほっとけばいいのに。それにラナのモノじゃない、ヤツのお願い事を石碑にするのは違う気がする』


 あ、確かに。

 それなら願いの祠を自分で探して、お願いしてみればいいんだよね?

 でも光の玉ちゃんがここに誘導しちゃうかな。

 

『その枝を土にぶっ刺したら増えないかな』


 えっ!? 挿し木! アストロ賢い!


『えっ? えっ?』


 アストロが言った方法は挿し木って言って、木を増やす手法でもあるの!

 盲点だったわー! アストロ凄いよ! 試しにやってみよう!


『そうなんだ!』

 むふふん!


 ちょっと荒ぶってたけど、得意げな顔になっちゃって! あー可愛い。




 とりあえずお試しなので、同じ場所にひと枝挿してみる。

 根付いて増えたらケットシーに木ごと1本あげてもいいもんね。

 時期王様? だしね! ぷぷっ!






 ◇◇◇


 鰹節の木をひと枝切って、土に埋めて魔法で水やり。

 ジョン・ドゥで出てきた時よりは遅めだけど、翌日にはわたしと同じ背丈になった。

 相変わらず所々ささくれた枯れ木を思わせる見た目だけど、問題なし!

 結果的に挿し木ができる事が分かったので、わたしとしても大収穫だ。


「よち! こえでけっとちーにもわけてあげあえうね!」





 そしてその翌日には、既に現存している鰹節の木と同じ大きさになってしまった。


「……こんなにおおちくなったや、いっぽんはむいだねぇ」


『枝をあげて、土に植えたら木になるって教えてあげたら? そうしたら自分の根城に植えるんじゃない?』


 あっ! そうだね。

 その方が好きな時に好きなだけ齧れるもんね。

 じゃあもし次に来る事があったら枝を分けてあげよ「たのもーー!」うね、あ。


『きた!』


 何度飛ばされても来る勇気は凄いわ!






 果樹園の結界から出て、ケットシーに枝を差し出す。


「!!!!  こ、これは!?」


『この木でしょ?』


 ぶんぶんと首を縦に振るケットシー。


『この枝を土に挿したら、2日後には木になる。そうしたら、いつでも好きな時に齧れるよ。自分の根城か、いつも行く場所に植えたらいいって、ラナがくれたんだよ。ラナにお礼言いなよね?』


「……か、齧らにゃい! 気になっただけにゃ! ……オレに根城にゃんてにゃいし、根無し草だし……」


 おや? 時期王様ならコロニーがあるんじゃないの?


『そもそもケットシーは群れで行動しないからね』


「……」


『こんな森の奥にケットシーが居ること自体無謀なんだけど、どうして君はここに居るの?』


「……そんな事、どうでもいいにゃ。それよりそれ!」


『ラナにお礼言ってからだよ』


 「!  あ、ありがとにゃ」


「どういたちまちて! くえぐえも、こえをたべないようにね!」


「ぇぇええ!!」


『言ったでしょ? これを土に挿して増やすの』


「分かったにゃ。じゃあにゃ!」


『「ばいばーい!」』






 ◇◇◇


 何か訳ありだったのかなぁ?


『そうだねー。でもケットシーの世界の事はぼくらには分からないしね。サイクロプスに遭遇しても生き残れる強さもあるし大丈夫じゃない?』


 うん。所でサイクロプスって何?


『1つ目の巨人だよー。飛ばされた先に居たって言うなら、近々狩らないとかな? ここから遠くないはずだし』


 ひぇ!?

 ケットシーも戦ったのかな!?


『どうだろー? サイクロプスよりケットシーの方がすばしっこいから逃げ果せたのかも?』


 だよねー! そう言えば必死で逃げたって言ってたっけ。


『ラナならサイクロプスに勝てるよ。3つ目のサラァサは厄介だけど。ふふっ』


 ……いえ、遭遇したくありませんし、戦いたくもありません。




齧らにゃい! と言ったそばから齧るのを止められて驚くケットシー。(*´艸`)

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