特訓の成果。
「あしゅとよおおおおおおお!!! ぶえええええん!」
やだーー! やだーーー!
『ラナ! 身体強化!!』
はっ!!
身体強化っ!!
全身に込められるだけの魔力を注いで長に抵抗する。
「ウキッ!?」
「どっしぇぇぇぇぇい!!!」
無理矢理長の腕を外すと、当然すっ飛ぶよね!
知ってた!
だけど
「あしゅとよっ!!!」
ちゃんとアストロが来てるの知ってるもんね!
風魔法で、ふわりと受け止めて、背中にぽすんと収めてくれる。
ドームと魔法紐は忘れずに!
「ウキッウーキー!!」
『違う! この子はウーキーの子どもじゃない! 人の子だ! ぼくの主だ!!』
は?
「ウキウキッ! ウキッー!」
『挨拶しただけだ!!』
え?
「ウーキーウキッキー」
『この子を拐ってみろ、森中のウーキーに明日は来ないぞ!!』
「ウキッ!? ウーキー……」
えーっと……?
『はぁ……ラナ。ウーキーの言葉でうちの子か? って聞かれたら、ラナがそうだって返事したみたいだよ』
はぁ!?
そんな返事してないよ!?
『……ウキッて、言ったよね』
あ?
あああああぁぁぁ!!! あれかあぁぁぁぁ!!
まさかそんな返事だとは思わなかったよ!!
『ぼくに拐われたと勘違いして連れ帰ろうとしたみたい』
あわわわ!
「ごめんなたい!! うーきーのこちなうの!」
『これじゃぼくも怒れないよねぇ……』
「ウキッ?」
え?これは?
『またうちの子か? って聞いてる』
「ちなうっ!! ちないまちゅっ!!」
ぶんぶんぶんぶんっ!!
「ウキッウキッキー」
『うちの子たちにそっくりなのに、だって』
は? はぁぁぁ!?
そんなに毛深くないんですがっ!?
『ひゃはは!!!』
ちょ!! 笑い過ぎっっ!!!
んもおおおおおお!!
◇◇◇
とりあえず、ウーキーの誤解は解けたようだ。
もう二度とウーキー語は喋らないぞ。
ウーキーの子は、背丈はわたしと変わらない位だ。
これで生後数ヶ月ってんだから、どんだけデカいんですかと。
だからって、ウーキーの子と間違えるか!?
毛むくじゃらなのに! 全裸なのに!
こちとら服を着てるっちゅーの!
『そもそもウーキーはコロニーで生活してるから、どこの子も”うちの子”になるみたいだね』
そうは言いましても地味にショックよ!?
この子達も可愛いけど! でもやっぱり違うでしょ!?
『そりゃそうだ。ウーキーは全身毛が生えてるもんねー。ラナはツルツル』
ちょ、その言い方もちょっとセクハラ!
『せくはらってなぁに?』
……セクシュアルハラスメントつっても分からんか。
全身ツルツルなのは子どもだから、大人になってもツルツルだと……。
自主規制。
「きゅぴ」
「え?」
きゅぴって言った! 可愛いーい!
『遊ぼうだって、幼児語だ。ラナと一緒だね』
……。
お主もいずれはウッキウッキ言うようになるんだな。
おまえもがんばれおれもがんばる。
◇◇◇
果実の森で木登りしたり。
大きな葉っぱで仮面を作ってみたり。
果物の種を、ぷっ! て吹き出して距離を競ったり。
童心に返って遊んだ。
アラサーだけど。
見た目は推定3歳児ですけどね!
大人のウーキー達は、食べたり寝てたり。
ちゃんと生活があるんだなぁ。
果物もたくさん貰って帰る事にした。
「ウキッ?」
「ちないまちゅー!」
ぶんぶんぶんぶんっ!!
あれから、長以外にも何度か聞かれたぽい。
問われる様な言葉? と、仕草には全て否定しておいた。
もう二度と拐われるもんかっ!!
わたしはウーキーじゃないっ!!
◇◇◇
帰るアストロの背中で
それにしてもアストロさんや。
『なぁに?』
ウーキーの言葉が分かるの?
『うーん、分かるって言うより意思疎通? ぼくはウーキーの言葉を話せないし、ウーキーも人語は話せないから、意思が伝わるって言う感じかなー』
わたしとは言葉が通じてるよね?
アストロって凄い子なんだね!
『この世界で1番多いのが人族だから、それに合わせて言葉を操るようになったと聞いてるよ。ニーズやククルカンも同じだと思う』
へぇぇぇ!
バイリンガルやトリリンガル所じゃないね。
魔物とも意思疎通できるなんてカッコイイ!
『できない魔物の方が多いよ? ウーキーは頭がいいからできるんであって、この間のジャイアントは無理だもの』
なるほど。
前世でもサルは手話を覚える子も居たと聞くし、ここでもサルは頭がいいんだね。
『しゅわ?』
そう。大きさは違うけどウーキーに似てる動物が居たの。
それがサル。
手話は、手の動きで言葉を伝える手段だね。
『へぇ! でも手話は、ぼくの前足じゃできないかな』
ふふふっ
その代わり、こうして念話ができるじゃない。
前世に念話はなかったもの。
魔法もなかったしねー。
『えっ!? 魔法がなければ生きるの大変だよね!?』
その代わりになるモノがあったから不便じゃなかったし、この世界にはないモノがたくさんあったよ。
もう帰れないあの世界。
『……帰りたい……?』
え? ううん。
驚くほどこの世界が好きになってるから、帰りたいとは思わないかなー。
『良かった。帰りたいって言われたら泣いちゃう所だった』
アストロと一緒にこの世界を楽しむんだもん!
まだまだこれからだよー!
『うん! ……でも拐われるのは勘弁ね』
ウッキー! 好きで拐われた訳じゃありませんっ!
『それ! ウーキー語はダメだって!』
ふたりで大笑い。
ハプニングはあったけど、中々スリリングだった!
とりあえず、魔物の言葉のオウム返しはしないと心に決めた。
◇◇◇
お家に着く頃には、お日様もだいぶ隠れて、一番星が光ってた。
この時間に空にいる事はなかったので、新鮮だ。
今度アストロに夜の空を飛んで貰って夜間飛行を楽しんでみたい。
『うん。お昼寝ちゃんとして夜に飛んでみようね!』
またひとつ楽しみが増えたね♪




