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我に力をー!

 むくっ……。


『おはよう。ラナ、痛い所はない?』


「いたい?」


 ん? 身体を動かしてみるが痛みは無い。


 ないよ、大丈夫。


『そっか、良かった。ごめんねラナ。ぼくの結界が不十分だったよね。ちゃんと張り直したから、もう魔物は入って来ないよ』


 あぁ……大豆、食べられちゃったんだった。

 もう1回石碑にお願いしないと。


 と言うか、あれ?

 あんなに必死になって止めてたけど、またお願いしたら良かったんじゃない?

 しかも大豆に結界張ったら良かったんじゃない?


 うわっ!! それなのに、あんなに大泣きしたの!?

 やだっ!! 恥ずかしいっっ!!


『ふふっ! それだけ大事に思ってたって事だよ。ラナに怪我がなくて良かったよ』


 吹っ飛ばされておしりから落ちたけど、頭から落ちてたら危なかったかもねー。


『は? 吹っ飛ばされた?』


 そーなの! 食べちゃダメ! って顔にくっついて邪魔してたら吹っ飛ばされちゃった。

 へへっ


『何してんのーー!! そんな危ない事して! 何の為の魔法なの!』


 びっくーん!

 ごごごめんなさいいい!!


『今回は無事だったけど、下手したら死んでたかもしれないんだよ!? そんな幼子が魔物に素手で突っかかるなんて!』


 はぃ……ごめんなさい……。


『あぁぁぁぁ……ごめん、ぼくが悪いんだよ。ぼくの認識不足だったから……ごめんね、ラナ。でもそれとこれは別。ラナ、特訓しよう』


 へ? 特訓?


『そう。身を守る特訓!』






 ◇◇◇


 斯くして、アストロ・ブートキャンプ開幕になった。


 それまで生活魔法と言われるモノしか使ってなかったので、攻撃魔法を習ったんだが


『うーん、先に身体強化だね』


 と言われ、四苦八苦している。

 何せ放出する方が楽なのだ。

 どーん! ばーん! で済むし。

 魔力を身体に巡らせて、筋力アップとか訳分からん。

 

『身体強化を覚えたら、逃げ足も早くなるし、万が一蔦なんかで捕らえられた時に、引き千切る事だってできるよ』


 ……何それ。

 そんなシチュエーション考えたくないんですけど。


『だから万が一だってば。色んな事を想定しておかないと、特訓にならないでしょ』


 ごもっとも。


『近づかれたら身体強化で反撃すれば相手も怯むだろうし、これは必要な魔法なの』


 はぃ……頑張ります。


 今までみたいに想像力だけでは放出系しか使えない。

 魔力操作を習得しなければ、自身の内側にかける魔法なんて使えないそうだ。


 胡座のかけない短い足で座禅を組む。

 まぁ腕組みもできないんだから胡座なんぞ無理な話である。

 なので、つもり座禅だ。


 以前、魔力を感じる為に目を閉じてモヤモヤを探し当てた時の様に……。


 うん、モヤモヤは分かる。

 これを? 身体に巡らせる?

 どうやって?

 むむむむむ……。


 くっはーー! 我に力をーーーー!!!


 ………………

 …………

 ……








『ラナ! ラナ! 草が元に戻ってたよ!』


「えっ!?」

 大豆(おまめ)ちゃんが!?


 しゅばっ! と立ち上がり、ばびゅん! と走り出す。


「ぉぉぉぉぉぉ! おまめたーーーん!!!」


 やったーー! 神樹の森ばんざーーーい!!



『あれ? ラナ、身体強化できたね?』


 え?


『そうか、ラナは食い気がキモなのか』


「ちちゅえいなっ!!」

 ぷんすこ!


『もう1回やってみて!』


 え、っと、あれ?

 いや待って? 今どうやったっけ?


 ちょっと! そんな呆れ顔で見ないでよ!

 Y(やれば)D(できる)K()のはずなんだってば!







 ◇◇◇


 その日は色々なことがあり過ぎて、夜ごはんは夜ごパンになった。

 ここで生活を始めた時のような質素な食卓。

 それでもアストロは嫌な顔せず『美味しいね!』と食べてくれる。

 ええ子やなぁ……おばちゃん感動すら覚えるわ。

 ヨヨヨノヨ。

 って、もともとアストロの方が年上だったわ。

 

 そう言えば、着の身着のままで生活をしている。

 当然ウォッシュしているので、汚れてはいないがパジャマが欲しい。

 クローゼットにはスモックとかぼちゃパンツのみ。

 これは早急に着替えのリクエストをした方がいいんじゃないかしら。


 それに


「あなあいてう」


 今日、吹っ飛ばされた時だろう。

 おしりに穴が空いていた。


 着替えはあるから、良いんだけどー……。

 違う洋服だって着たいじゃない?

 女の子ですもの!

 まぁ森の中なのでヒラヒラしたのは無理だけどさ。


 若草色なのは、きっと森だから擬態仕様なのかもしれない。

 バンビやウリ坊の斑点みたいにね。

 なので、色はそれでいい。

 よし、デザインを考えておこう。


 柔らかく肌触りのいい布で、すっぽり頭から被れるパジャマ3着とー、って、それはネグリジェだな。

 まぁいい、それとー、洋服は……うん?

 幼児が簡単に着られる形って、どんなんだ?

 頭からすっぽりのスモックは確かに簡単だ。

 かぼちゃパンツも裾が短いから履くのが簡単。

 それに動きやすい。

 足元のショートブーツも、すっぽり履くだけだし。


 ぉぉ! この形は理にかなってる!

 じゃあ色を、って、若草色一択なのに色変えは無理じゃん。

 ……暫くはコレでいいか。

 その代わりネグリジェは可愛くしよう。そうしよう。


 今日は余裕を持って、おやすみなさい。


 ……既にアストロはヘソ天。






 ◇◇◇


 翌日、気になってた大豆(草)を見に行くと、見事に復活!

 尚且つ、たわわわーんに実っていた。

 確かに想像した通りの枝豆が生っていたが、これ、大きくないか?

 わたしが幼児だからか?

 さやを1つ採ってみると、わたしの手からはみ出るサイズ感。

 そう言えば何でも大きいんだったな。

 うん、これが普通サイズ。

 気にしたらダメ、絶対。


 収穫はどうしようと思ったが、羊が食べちゃっても復活したんだから、根っこより上をガッツリ刈ってしまおう。

 1回限りの実りだと困るので、おまめちゃんは少し残しておけばいいよね。


 覚えたての「うぃんのたったー! (ウィンドカッター)」って、言わなくてもいいんだけど、様式美っつーの?

 一応ね!


 収穫した大豆はインベントリに。

 ほくほくだ!



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