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名前と漆黒のわんこ?

こちらは2回目です。

1つ前からお読み下さい。


『汚れたらウォッシュは基本でしょ!』


 知らないよ! まだこっちに来て数十分だよ!?

 魔法なんて使った事ないの!


『赤ちゃんだから?』


 言っときますけどね、3歳は赤ちゃんじゃなくて幼児!

 赤ちゃんはオムツしてんの!

 おっぱい飲むの!

 わたしは赤子じゃない!


『えー、さっき自分で赤子って言ってたよ?』


 ぐっ……そりゃアラサーから見たら赤子だけど!

 赤ちゃんじゃありません!


『あらさーってなぁに?』


 え、30歳前の人をアラサーって言うんだよ。


『どこで見てるの? 親?』


 そりゃここで…え、あれ?

 わたし3歳!?


『うん。どこに居るの?』


 わたしの中身はアラサーなんだよぉぉぉ!


『どこから見ても赤ちゃんなのに?』


 赤ちゃんじゃなくて幼児!

 ああぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉ!!


『何だか良く分からないけど、幼児は分かったよ。赤ちゃんて言わないことにするね』


 くっ! 大人の対応された!?

 それよりも、ちょっと状況整理しよう。

 えーっと…ここは森の中で、目の前には漆黒の被毛のでっかいわんこ。


『わんこじゃないよ』


 違うの? って、こんなでっかいわんこは居ないか。

 自分が小さくなったとしても、このでかさは異常。


『失礼な! ほくはこれでも”まだ”小さい方なんだよ? 確かまだ50年程だし』


 は?

 

『ぼくの種族では成体なりたてなの』


 え、あなたよりでっかいわんこが居るの?

 はぁ!?

 て言うか、何故ここに?


『赤g、幼児がふわふわ落ちてきたから、びっくりして守ってたの。森の中は危ないからね』


 赤子って言おうとしたな……。

 そうなんだ。

 ありがとうございます。ぺこり

 って、落ちてきたの!?


『そうだよー。でっかい葉っぱが空から落ちてきたから、ユグドラシルの葉っぱかな? と思ったら幼児だったんだー。びっくりしたよ』


 葉っぱ……確かに若草色の服だった。

 あぁ、神様が言ってたっけ……落とした。って。

 あれって比喩じゃなかったのか……。


『ねぇねぇ、幼児は神様の御使い様なの?』


 何それ。

 そんな御大層なモンじゃないよ。

 それに、幼児じゃなくて、あれ?

 名前……なんだっけ。

 あれ、やだ、記憶残してくれるって言ってたよね!?

 えっとーえっとー、あっ! ラナです!

 危なっ!!


『らな? って?』


 名前! 幼児は名前じゃないの! ラナです!


『名前って、個体名って事?』


 個体名……うん、まぁそういう事。


『へぇ! 個体名があるなんていいね!』


 あなたも名前位あるでしょ?


『ないよ? ぼく達は魔力で識別するの』


 そりゃ凄い!

 でも、わたしは魔力なんて読めないから、あなたを呼ぶのはどうしたらいいの?

 って言うか、帰らなくていいの?


『成体になったら独り立ちするんだよ。だから、ぼくに帰る場所はないんだ…』

 しょぼん


 そ、そうなのね……。

 なんか、ごめんね。


『どうしてラナが謝るの? これはぼくの成長の証なのに。変なの』


 あ! じゃあさ、暫くわたしと一緒に居ない?

 わたしも独りで心細いし……。


『いいの!?』

 ぱぁっ!


 その代わり! 魔法を教えて?

 この世界の事、何も知らないの。


『お易い御用だよ!』


 良かった! じゃあ何て呼べばいい?


『個体名付けてよ!』


 へぁ? あ、あぁ、そう? じゃあ何か希望はある?


『ラナに任せる!』


 えっ! うぅぅぅん…

 漆黒の被毛…

 さっきのキラキラ…

 満天の星…

 お月様のような瞳…


 アストロ…

 アストロはどう?


『アストロ! ぼくはアストロ!』


 リンゴ~ン♪

 ”個体名ラナと個体名アストロの絆が生まれ従魔契約が結ばれました。

 これより、個体名アストロは個体名ラナの影に隠遁する事が可能になりました。”


 は?

 はぁ!?


『え!?』


『ラナ! 絆だって! 凄い凄い! ワールドインビテーションだ!』


 ちょっと待って! そのワールドインビテーションって何!?

 それよりも! 従魔契約って! ダメでしょ!


『え、ラナは嬉しくないの?』

 しょぼん


 嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しいけども! 多分!


『多分なんだ……』

 しょぼぼん


 違くて!

 アストロ的には大丈夫なの?

 この世界を知らないわたしでも従魔契約は知ってるよ?

 読んだ事ないけどラノベ蔓延していた日本人舐めるなよ!?

 従魔契約って、あれでしょ?

 わたしに付いて回るって事でしょ!?

 いいの!?


『ぼくは嬉しい! ひとりぼっちは寂しいじゃない。でもラナが居てくれるんでしょ?』


 わたしが悪人だったらどうするの!


『幼児なのに?』


 くっ!!

 見た目は幼児でも、中身はアラサーだっつーの!


『悪い人は自分で悪人なんて言わずに騙すでしょ? だから大丈夫! それにラナは空から落ちてきた神様の御使い様だもん!』


 くぉぉぉ!

 御使い様じゃないってば!

 ……はぁ……

 うん、分かった。

 よく分からないけど、きっとアレコレ考えても答えは出ない。

 だから分かったフリしとく!

 アストロ、よろしくね!


『うん! ラナよろしくね!』

 わおーーーーーーーーーーーーん!


 ひっ!!

 いきなり遠吠えはびっくりするじゃない!!


『あ、ごめん、嬉しみの雄叫びだった! ひゃはは!』


 嬉しみ……ぶはは!





 はー、笑ったら喉乾いちゃったな。

 どこかにお水はないかな?


『それなら、ぼくの寝床のそばに泉があるよ。そこに行こうか? 背中に乗って!』


 背中? 乗るの?

 うわ、ワクワクしてきた!


 うんとこしょ…どっこいしょ…

 ……ねぇ、乗れないんだけど……


『あ、そっか、”ウィンド”』

 ふわふわん……

 すとん


『行くよー!』


 わぁぁぁぁ! 高ーーーい!


『まだまだ!』

 バサッ!


 うぇ!? 翼っ!!

 うわわわわわわ!!


『落ちないけど、掴まっててね!』


 ゆっくり! ゆっくりで!

 ふぉぉぉぉ! 凄ーーーい!

 高ーーーい! きゃーーーー! 凄い凄い!!




 森の木々のてっぺんを掠め、空に舞い上がる。

 どこまでも広がる森。

 遠くに見える山々。

 あの天を衝いて聳える影は何だろう?


『すぐ着くからねー。怖くない?』


 うん! 楽しい!

 ワクワクが止まらない!



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