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採取に行こう。

『まだかなー♪ まだかなー♪』


 ……さっきから、ずーっとこの調子。

 朝ごパン、軽かったから少々早いけど、お昼にするか!


 インベントリに入れておくと時間経過がないので、あっつあつのシチューはすぐ食べられる。

 サラダは癖のない葉野菜をちぎった、いつものヤツ。

 レモン塩ドレッシングでね。

 パンにバターをぺたぺたと塗って

 

「あい! でちまちたよー! おかわいあうかやね!」


『やったーーー!! いただきまーす!』


「いたーちまちゅ!」



 スプーンですくって、ふーふーして、あぁ、これこれ!

 とろりとしたミルク感たっぷりのホワイトシチュー!

 じゃがいもはホクホク! 人参もしっとり!

 時々プチッと弾けるコーンもいい感じ♪

 パンをシチューに浸して食べるのもいいね!


 お肉を食べたら衝撃的に美味しい!

 ぷつっとした歯ごたえなのに、じゅわっと柔らかく解ける。

 臭みもないし、今まで食べた、どんな鶏肉よりも美味しい!


「おにくおいちぃ! なにこぇ!」


『それがロックバードだよ。美味しいね! 卵もロックバードのだから、きっと美味しいよー』


 なんですと!?

 巣ごと狩ってきたの!?


『魔物はほっとくと増え続けるから、間引かないとダメなんだ。増えすぎたら街を襲うからね』


 それは間引かないとダメだね。

 そうか、それなら仕方ない。


 ……これからも、美味しいお肉をお願いします。


『うん! お肉がこんなに美味しくなるなんて知らなかったし、狩らずとも冒険者が頑張ってたから、突っかかって来たのしか狩らなかったんだよね。もっと積極的に狩るよ』


 冒険者さんの獲物は横取りしないようにね?


『もちろん。狩っても食べなかったから、埋めるか焼き払うか、冒険者の野営地の側に投げるかだったんだー』


 え!

 野営地の側に投げたら、冒険者さん驚くでしょうに!


『森の恵みだって喜んでたよ?』


 ……さいですか。

 まぁ、狩らずにお肉が手に入るなら森の恵みよね……。


 街の肉事情も神樹の森頼みなのかな?

 養殖なんてしてなさそうだし。


『もっと食べてもいい?』


 うん! おかわりね!


『おかわりって言うの?』


 うんうん。

 もっと欲しい時は、おかわりって言うんだよ。


『うん! おかわりくださいな!』


 ぐは! それ可愛いぞ!


 さっきと同じ位食べられる?


『うん!』





 結局アストロは、シチュー大皿3杯と、パンを5個食べた。

 まぁ、身体もデカいしね。


 食べなくても大丈夫なのに、いきなり食べて大丈夫なのかしら?


『大丈夫! 凄く元気になった気がする!』


 ほっ

 それなら良かった。






 ◇◇◇


 外は雨。

 家の中は、湿気も感じない快適空間。

 料理しててもキッチンに熱が籠らないとか優秀。

 換気扇もないのにね?


 今の季節は何なんだろう。

 雪とかも降るのかな?

 暦とか、時計とか、あるのかな?


 本当に異世界なんだなぁ……。


 不思議な世k……すぴー






 ◇◇◇


『ラナ、ラナ、起きて』


「んー……」


『今しか採れない、甘いの採りに行こう』


「あまいの!?」

 がばっ!


『そう、雨上がりのお日様が出てる時しか採れないんだ』


「いく!」






 結界を抜けて空を見ると青空、だいぶお日様が傾いてる。


 アストロの背中に乗って暫し走ると、真っ白な1面の花!


「わぁぁ! ちえーーい!!」


『この花は雨上がりに雫を集めると甘いんだよ』


 雫?


『そう、ハニーフラワーっていってね、花の中心に溜まった蜜が採れるの』


 花を傾けると、確かに雫がある。

 でもこれ、雨水じゃないの?


『舐めてごらん』


 ぺろり

「あっまーーーい!!」


 ハチミツのようで、もっと軽いサラリとした蜜。


『そこに入れ物置いて』


 持って来た壺を置くと


『”スクープ”』


「うわわわわわわわ!!! ちゅごい!!」


 花から蜜だけが掬われて浮かび上がる。

 空中で1箇所に纏まると、壺にドボン。


『いくつか壺出して』


 あいよー! 倉庫3にはキッチン用品が入ってたから、保存容器たんまり!

 どどん! と10個!


 全ての壺になみなみと注いで、にんまり♪


『まだいる?』


 これだけあれば暫く持つでしょ!


『雨上がりの昼間しか採れないけど大丈夫?』


 ……じゃあもう少し。


 少しと言ったが、トドメの10個!

 壺も結構大きいんだけど。

 またいつこのタイミングが来るか分からないしね!






 大量の蜜をインベントリにしまって、わたしはホクホクだ。


「あしゅとよ、あいまとー!」


『ふふっ! これ、ぼくも好きだから』


 なるほど。

 アストロは保存容器もないので、その瞬間だけの貴重なおやつだったのか。

 それがいつでも食べられる、と。

 そりゃたくさん採っておきたくなるよねー。

 それならば、これを活かしたモノを作らないと!


 そのまま食べるならパンケーキに垂らしてもいいし、今朝のミルクシェイクの甘味に使っても良さげ。


 んふふ♪やっぱりパンケーキだな!

 ロックバードの卵使って作れば、絶対美味しい!


『ぱんけーきってなぁに?』


 おやつだねー。

 なので、明日かなー。


『明日? 今日じゃないの?』


 今日はもう夕方だから、夜ごパンの時間になっちゃうよ。


『夜はダメなの?』


 え、ダメって事はないけど……


『……食べてみたいなぁ』

 じーーーー……


 んぐっ……

 分かった、じゃあ夜はパンケーキね!


『やったーーー!!』


 あれ、おかしいな?

 アストロが食いしん坊キャラになりつつある……?

 まぁいっか。






 ◇◇◇


 ロックバードの卵をインベントリから出して暫し。

 さて、これは大きいので何食分も作れてしまう。

 まずは小麦粉が足りないので、小麦粉を作ろう。


 前回の失敗があるからね! 今回策はあるのだ。

 ちょっと心配だけど、やってみよう!


 ボールに入れた籾殻付きの小麦に


「かやあうとちて、しゅうのう!」


 しゅばっ! と籾殻が取れて消えた。

 インベントリを見ると、ちゃんと入ってるー!!

 やった! わたしY(やれば)D(できる)K()


『わぁ! ラナ凄いね!』


 前回失敗したからね!

 もう何度でもどーーんと来いよ!


 その後数回やって、壺いっぱいに小麦を入れて粉にする。


 さぁてと! パンケーキ作るぞ!



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