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初めてのブル。

 本当は先にごはん、後からお風呂が望ましい。

 自分的に。

 だけど、この身体は食べたら眠くなるので、仕方ない。


 ……お醤油あるのに、米がないのはこれ如何に。

 まぁ贅沢言ってらんないから、パンに合う肉料理。

 しかも調味料は限られている。

 うーむ……。


 胡椒さえあれば、ササッと焼肉でも良かったんだけどな。

 無い物ねだりしても始まらんので、ソイの実をアストロに潰してもらい、お砂糖使って甘辛く仕上げる。

 それをレタスに包んで食べればパンにも合うよね!


「あしゅとよもごパンたべゆよね?」


『ごパン?』


「よゆごパン」


『ふふふっ! うん、食べてみたいな』


 ……幼児語を揶揄うことはないけれど、顔に出とるぞ。





 薄切りお肉を切ってボウルに入れて、粉醤油とお砂糖入れてモミモミモミ。

 お酒の代わりに水。料理酒欲しい。

 ついでに玉ねぎも切っておく。


 3歳児とは思えぬ包丁捌き。

 支えるお手手はにゃんこの手! なんて注意はいらないのだ。


 レタスも玉から剥がしてぬるま湯に漬けてから水に入れてパリッとね。

 水だけよりぬるま湯も使った方が良いって見た事あるんだよ?

 嘘じゃないよホントだよ!?


 さておき。


 フライパンには牛脂ならぬブル脂。

 鉄のフライパン、焼き切ってないけど使えるかな?


 なんて思っていた時もありました。

 テフロン加工真っ青(まっつぁお)な滑り具合。

 どうなってんの!?


 いや、うん、深く考えない。

 そーゆーもんなの!


 ジュワッと香ばしい香り、くたくたへなへな玉ねぎも大好きだけど今回は少しシャキッと感がある位でね。





『いいいい匂おおおおおい!』


「んふふー! やなたん」

 Noooow! たんって! たんって!


「……やなとくしぇいえたまち!」


 ラナさん特製レタ巻きって言いたかったが気にするもんか。


 アストロが食べやすいように、レタスの上にお肉を乗せて、パンにはバターだけのと、バターといちごジャムのをお皿に乗せた。


 飲み物は水だ。

 スープ欲しい……。


「いたーちまちゅ!」


 まずはレタ巻き。

 シャクシャクレタスに、じゅんわり甘辛お肉。

 あぁ、ブルって牛なのか! だからミルクも美味しいって事なのねー。


『美味しい! 美味しい! ラナ凄いね!』


 うふふん♪ 良かった!

 って、わんこに塩分も玉ねぎもダメだったはず!?


『わんこじゃないってば』


 食べても大丈夫なの!?


『大丈夫だよー』


 ほっ、なら良かった。

 ジャムのパンはデザートに食べてみてね!


 わたしもバターとジャムと言う背徳の組み合わせパンをかぷり。

 ジャムはキラキラと光を反射し真っ赤な実の形を保っていて、とろり、と言うよりは、こんもり乗せて食べる感じ。

 噛むと、しっかりした甘み。プチプチと弾ける種が楽しい。

 種とは言ったけど、実は種じゃないんだよね。

 詳しい事は知らんけど。

 更に、そこにバターが相まってえもいわれぬハーモニー。



「うん、おいちくでちた!」


『美味しい! 美味しい! こんなに美味しいの初めて食べた!』


 そんなわきゃー、と思ったが、自分で料理しないし、人との交流がなければ調理した食べ物は食べないよね。


「こえかやは、いちゅもたべやえゆよ!」


 うん、アストロの為に頑張ろう。

 美味しいごはんは日々の活力!

 もちろん自分の為にもね!


「ごちとーたまでちた!」


『ごはん作ってくれたから、この食器はぼくが洗うねー』


 と言ってもウォッシュだから、すぐなんだけどね。






 ◇◇◇


 この世界で夜を感じるのは初めてだけど(昨夜は夕方前から寝ちゃったしね) あちこちで獣の鳴き声が聞こえる。


『気になるの?』


 うん、こんな近くに鳴き声聞くの初めてだから。


『ちょっと待ってね”ブロック”』


 おぉぉぉ! アストロがキラキラ!

 そして聞こえなくなった!!


『元々結界は張ってるんだけど、音は通してたからね』


 結界!? 凄い!!

 音も遮断出来るの!?


『出来るよー』


 あ、だからヘソ天なのか。

 結界があったから安心モードだったのね。


『へそてん?』


 お腹出して寝てたって事。


『あー……木の洞ならそんな風に寝ないけど、ベッド? が気持ちよくて……へへっ』


 わたしも結界出来る?


『もちろん。結界張るなら大きさを意識してね』


 ふむふむ。

 大きさは、この家を囲むくらいならいいかな。


「けったい!」


 ぶぉんっ! と魔力が流れたと思ったら光が外に向かって半円に広がる。


『やっぱりイメージ大事だね。呪文なんて必要なら、ラナには難しかったね』


 まぁね! けったいな結界になっただろうしね!


 広がった光は、すぐに収束した。

 だけど感じる自分の魔力。


『うん、ラナは凄いね。ぼくの結界と同じ位の強さがあるね。ふたりの結界があればドラゴンブレスだって弾けるよ』


 ひょぇ!?

 ドラゴンって襲ってくるの!?


『ドラゴンは話が分かる種族だから対話で済む事が多いよ。滅多に外に出て来ないし、理不尽な殺戮だってしないよ』


 ぉぉぉぉ……不穏な言葉が出てきた。


『本能だけで生きてる魔物は誰彼構わずに襲ってくるから、ラナも外では魔力放出しておくんだよ?  強者のソレだから、襲われずに済むはず』


 了解であります! ダダ漏れしときます!

 ……時にアストロさんや、魔力を抑える事も出来るの?


『もちろん。内に引き込むように放出量を自在に操る事も出来る。覚えておくと便利だよ』


 ほうほう。

 あ、魔力引っ込めたら結界消えちゃう?


『ううん。結界は張る時に魔力を使うけど、維持に魔力は必要ないんだ。張った本人が解除するか、壊されるまではそのままだよ。因みに、強固な結界は、既に結界の中にいる人は出入り自由だけど、外からの侵入は結界張った人の許可が必要なんだ』


 ほへー! 便利だね!


『ぼくの結界は泉まで覆ってるんだ』


 え、水を飲みに来た動物はどうするの?


『害意がなければ素通りするようにしてる。害意を持った瞬間に弾き出されるけどね』


 へぇぇぇ!! 便利!!!




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