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幼馴染の同級生
俺の名前は笹ヶ谷美典。16歳。
この春から私立中慶学園高等部に通う高校一年生だ。
目の前にいる女子は益田天空。俺と同じ16歳。
一見ギャルだが英世大付属女子高という名門女子校に通っている。
「どれどれ」
天空は俺のテキストを手に取りパラパラとめくる。
「おお、さすがは中慶。難しそー。江戸末期の私塾から始まる歴史は伊達じゃないわー」
褒め言葉に聞こえるが、実際は俺に対するイヤミを含んでいる。
「江戸末期は本校。俺が通ってるのは平成に出来た新校の方だ」
同じ中慶学園でも、歴史があり多くの著名人を輩出している本校は特別視されている。
対して俺の通う新設校は俗に新校と呼ばれ受験生や保護者から少し下に見られていた。
「でも今年大学の入学式で代表あいさつをしたのは新校からの内進生なんだぜ。過去最高の学力評価を受けたそうだ」
噂では国際弁護士を目指すクォーターの才子らしい。
そんな人がOBとは在学生として鼻が高い。
「はぁ? なんでアンタが偉そうにするわけ?」
天空は俺にテキストを放り投げ、冷蔵庫を開けて中に有ったカヌレにかじりついた。