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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹、重くなる

「ミント……言おうか言うまいか悩んでたんだけどな……」


 俺はある一言の爆弾を投下する、最近余りにも見るに余るものがあったのだ。


「なんでしょうか、そんなに改まった態度で話す仲でもないでしょう?」


 しかし俺はそのセンシティブな一言をぶつけてしまう。


「太った?」


 その一言は余りにも重く――物理的にではなく――ミントにのしかかった。


「お兄ちゃん! 兄妹でも言って良い事とダメな事がありますよ!? その言葉は絶対に許されない事です!」


 ミントはそう言うものの、見た感じ少しふっくらとしてきている。そもそも俺も鑑定ができるので質量の変化はしっかり分かってしまう。


「まあ……うん。俺がちゃんと満足いくまで食べるくらいに困らないのはいい事だと思うぞ?」


「そういう問題じゃありません! 私はお兄ちゃんの好みの体型を維持したいんです!」


「別にいいと思うが? 俺はミントが同あれ構わないと思うぞ? げっそり痩せてしまうよりはちゃんと食わせてやれるくらいには稼げてる方がいいだろ」


 ミントは顔を青くして狼狽える。


「しょうがないじゃないですか! お兄ちゃんに美味しいもの食べて欲しいから味見してるだけですよ! それがちょーーーーーーーーーーーっと量が多いかなってだけじゃないですか!?」


「落ち着け、俺は多少の体型の変化は気にしない、ただ……肥満は病気の元というし多少は食生活に気をつければ……」


「むっっっっっっきいいいいいーーーーーーーー! お兄ちゃん! 私痩せます! 完璧なスタイルでお兄ちゃんから見て惚れそうなくらい良いスタイルになります!」


 そういって食事の途中でミントは席を後にした、そのため残りの料理は俺が食べておいたのだった。


 ――翌日


「お兄ちゃん! 一晩で頑張って痩せました! ほらこの通り!」


 くるんと回るミントだが、明らかに一晩で痩せるような事はできないはずだ。

 じゃー鑑定してみるか……


 ……


「なあミント?」


「なんですか? 惚れましたか? 愛しくなりましたか?」


「重力魔法をそこまでしょうもない事に使う人は歴史上に残るくらい珍しいと思うぞ?」


 ぷちん


 ミントの身体をきつく縛っていた布がちぎれたらしい。


「きゃっ!」


 ミントは身体を押さえながら部屋へとダッシュで戻っていった。


 ――さらに翌日


「お兄ちゃん! 討伐依頼もありますからね! ちょっと訓練をしましょう!」


 そういってミントは俺に木剣を差し出しポーズを取る。うん、食事量と運動量で減量するのはいたって正しい判断だ、問題はコイツが今まで素の力で戦っていた事がほとんど無かった事だろうか……


 ガッ! ガッ!


 俺の剣さばきにミントは必死についてくる、意外と素のセンスも豊富らしい。俺のにわか仕込みの剣さばきではじきに追いつかなくなるだろう。


 しばらく木剣同士をたたき合わせながらステップを踏む、さすがに初日なのでそれほど超人的な力こそ無い、しかし才能の欠片のようなものはしっかりと感じられた。


 そして夜、食事の時に……


「なあミント、明らかに足りなくないか? 俺の分はちゃんとあるけどさ、その量は成長してる時期に不健康だと思うぞ?」


 ミント側に置かれたのは麦のスープにいくつかの果物、たったそれだけだった。


「いいんです! 私は今健康な身体を取り戻すんです!」


 しょうがないな……


「ほれ、あーん」


 俺は肉の一つの塊をフォークに刺してミントの顔の前に差し出す。


「ぐぬぬ……これを断るのは余りももったいないです……しかし理想のスタイルというものが……」


「いらないのか?」


 ぱくり


 結局食べるミントだった、俺は自分の分の半分をミントに餌付けしながら食事を進めるハメになったのだった……


 そしてそのまた翌日……


 タッタッタ


 俺とミントは基礎体力をつけるために走り込みをしていた。


 バフでいくらでも上がるって? 分かってるよ!


「お兄ちゃん、気分の良いものですね、たまにはこういうのも良いです」


 付き合わされている俺の身にもなって欲しいのだが……


「はぁ……はぁ……」


 俺は少しのあいだですっかりと息が上がっていた。


「ぜぇ……ぜぇ……お兄ちゃん、鍛錬が足りませんよ!」


「人の事は言えないだろ……」


 同じく息が上がっているミントを見据えて言う。


「私はいいんですよ、妹なんですから、兄より弱いのは妹として当然でしょう……はぁ……」


 まったくもう、妹というのは兄にこうもベッタリなのだろうか?


「お兄ちゃん、今日は汗をかいたので長めにお風呂に入りますね、多分鉱石数個分の体重は減ったはずです!」


 そう言って自宅へと急ぐ妹を見ながらこれがいつまで続くのやらと憂鬱になったのだった。


 そして帰宅して少しして、お風呂場から悲鳴が上がった。


「減ってない! ほとんど減ってない! ひぃいい!」


 その悲鳴の後少ししてミントがリビングにやってきた。


「お兄ちゃん、お風呂空きましたよ……」


「まあ……うん……やりすぎない程度に頑張れ」


 さすがに諦めろとはこの執念を前に切り捨てる気にはなれないのだった。


 そして走り込みの後の夕食ではひもじそうにしている妹相手に、今日も餌付けをするハメになったのだった……


 ――翌日


「お兄ちゃん! ようやく体重が減り始めました!」


「そうかよかったな、じゃあ普通の食生活に戻ろうか」


 俺の食事量もミントにやった分減るのでそろそろ勘弁して欲しい。


「もうちょっと! もう少し減量を! お願いします!」


 うん、分かってた、ところで一つ気になる事がある。ミントの体型は徐々に元に戻りつつある、では何故体重が減らないのか?


「なあミント? 怒らないで聞いて欲しいんだが……」


「なんですか、もう太ったと言われるは私のメンタルに来るのでやめていただきたいのですが……」


「……その……体重が増えたって言ったじゃん?」


「そうですね、だから減量しているのですが?」


「なんだ……体型は一部除いて元に戻ってると思うぞ?」


「へ!?」


「だって、体重が増えたのは確かだけれど……腰回りがそんな極端に太ったとも思えないんだが」


「じゃあなんで大樹がちゃんと増えてるんですか?」


「その……胸に栄養がいってるんじゃないか?」


 それについてはいっておかないと無茶な減量をしかねない。


「!?!?!?!?」


 ミントは混乱していた、声にならない声を上げた後、快哉を叫んだ。


「いやほおおおおおおおおうううううううううう!!!!!!! ついに! ついに私の胸が成長期に入りましたよ!!!」


 クルクルと手のひらを大幅に返しながら喜んでいた。


「どうです? 触りたいですか? こういう女の子が好きなんでしょう?」


 ミントは露骨に胸の谷間を強調しながら言ってくる。


「分かった分かった、そう言う女の子が好みだから減量は中止な?」


「もちろんじゃないですか! もっと胸に栄養を! 与えなくては!」


 この際細かい事を言うのはやめておこう、コイツが満足しているならわざわざ蒸し返したくはない。


 そしてその日の夕食……


 パクパク……


 俺が普通に食べていると同じメニューの置かれているミントは何故か食べよとしない。


「どうした?」


「……」


 ミントは無言で口を開けた。


「もう食べさせてはやらんぞ、自分で食え」


「しょうがないですねえ……ちょっともったいないですね」


「はいはい」


 そう言いながらせがんでくるので一口食べさせたら満足したのかようやく普通の食事に戻る事ができたのだった。

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