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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹と後始末

 俺のギルドカードが真っ赤に光っている、緊急招集の合図だ。


「うへぇ……めんどくさい」


 薄情だが面倒なものは面倒なのだ、この町の財政的に余り報酬は見込めないのでやる気が起きない。


「お兄ちゃん! 招集ですよ!」


 ミントは元気そうにそう言う、嬉しそうなのがまた俺との価値観の違いを思い知らされる。コイツにとっては強敵は名をあげる素材くらいにしか思っていないのだ。


 踏み台にされる魔物にはお気の毒だが、俺とコイツがいれば敵はないだろう。


「しゃーない、行くか?」


「もちろんですとも!」


 そうして俺たちはギルドへ向かっている、いつものことなので町の皆さんも慌てる様子がない、今まで余裕で勝ってたもんなあ……


「皆さん余裕がありますね?」


「そりゃあ今まで倒し続けてきたんだからな、今までが大丈夫だったんだからこれからも大丈夫だと思っているのだろ」


 今までが大丈夫だったから明日も大丈夫、庶民的帰納法だ。


 俺たちはのんびりゆっくりしながらギルドへ歩いていった。


 ギルドにようやくたどり着いたのだが、やはり皆さんのんびりと歩いてきていた、誰も彼もがのんきなものだな。


 ギルドに入るとセシリーさんがいつも通り対応してくれた。


「お二人ともよく来てくださいました、緊急招集の受注ですね? もうすでに受付済みなので後は現場に行くだけですよ」


 至れり尽くせりだなあ……俺たちが来るの前提で事が進んでいる、ご都合にもほどがあるな。


「で、今回の敵はなんですか? 大抵の敵なら私とお兄ちゃんで余裕ですけど?」


 ミントも慣れきった様子で気軽に安請け合いをする、誰に似たんだろうな……?


 ――

 

「そうしてまたお前は安易に依頼を受けた結果こうなったわけだ……」


「ちょっとお兄ちゃん! まるで私が悪いような言い方はやめてください! お兄ちゃんと私は一蓮托生なんですよ!」


 俺たちはボーンドラゴンとその配下のアンデッドの群れから逃げていた。


 敵は骨格だけは残り多少の腐肉と土にまみれたとても気持ちの悪いドラゴンそのその仲間、こちらまで腐臭が漂ってくるほど厄介な相手だ。


 別に勝てないから逃げているわけじゃない、町への被害を最小限にということで面倒なことにも、このアンデッド達にちょっかいをかけて町と反対方向に逃げ回っているわけだ。

 何故この魔物が発生したのか?


 それについては話が少々さかのぼる。


 簡単にいってしまえば俺たちが討伐したドラゴンがロクに埋葬もされなかったのでアンデッドになって今まで倒した魔物の一部を巻き込みながら襲いかかってきたわけだ。


 実際のところ俺たちの責任ということで、俺たち以外のギルドメンバーには通常招集しかかかっていなかったらしい、そりゃあ平気な顔をしているわけだクソッタレめ!


 ちなみに現在はミントの力と体力にまとめて大幅なバフをかけて、力と体力のあるミントに背負われて走っているという大変情けない状況だ。


「お兄ちゃん! そろそろ神聖魔法を付与してくださいよ!? さすがにきつくなってきましたよ!」


 ちなみに炎や爆発でアンデッドを吹き飛ばすと辺り一帯が汚染されるため、こういったアンデッドの大物相手なら神聖魔法がベストだ。


 町が見えなくなっていくらか走ってきたのでそろそろいいだろうか?


 ――

 妹に「神聖魔法」を付与しました

 力バフ、体力バフを取り消し、魔力に割り振ります

 ――


 その天の声とともに俺はドサリとその場に落とされた。バフ無しで兄を背負うのはやはり辛いものがあるらしい。


「じゃあ一発いっとこうか?」


「りょーかい! 消し飛ばしてあげますよ!」


「シャイニングジャッジメント!」


 大量の光がドラゴンの死体めがけて大量に降り注ぐ、死にぞこなっていたドラゴンが今度こそ完全に消滅していく。


 ドラゴンが消えるとともに、ゴブリンやコボルトだったアンデッドも灰に還っていった、ドラゴンの魔力に充てられてついでに復活したようで、本体のボーンドラゴンが消えれば連中も動力源を失い消え去っていく。


「ふぅ……」


 魔物達が全て消え去ったのを確認してからミントに浄化魔法を付与する。


「レクイエム!」


 ミントの浄化魔法でドラゴンの魂が浄化されていく、身体を壊しただけだとまだゴーストになる可能性があるからな、根元から断っておかないとまたこんな事になるのはゴメンだ。


「これで片付いたのでしょうか?」


 ミントの問いに答える代わりに探知魔法を付与する。


「おお! 周囲の魔力が完全に消えてますね! これなら復活もないでしょう」


「ああ、帰るとするか……」


 俺はある現実から目をそらしながら言う。


「お兄ちゃん、帰ったらお風呂は私が先ですよ?」


「えー……たまには譲ってくれてもいいんじゃ……」


 そう、俺たちはドラゴンの死体から飛び散った体液でベトベトだった、しかも死体からの体液なので非常にくさい。


「じゃあ……一緒に入ります?」


「まあ先に入ってろ」


「まったくもう……こういうところがヘタレなんですよ?」


 そんなことを言いながらもさっさと町へ帰りたいの一言だった。


 ――


 そうしてようやく町へ帰り着いたのだが……


「うぅ……視線が痛い……」


「私たちは町を襲う魔物を討伐したんですよ! 何を恥ずかしがっているんですか?」


 俺たちに向けられる視線の原因は一つ、余りにも臭いし汚い状態になっているからだ。


「早く帰ろうな」


「そうですね」


 そうして帰宅後、ミントが身体を流した後にお風呂で俺もようやくアンデッドのエキスを洗い流すことができたのだった。


 ふぅ……


 俺が風呂から出ると書き置きが一枚置いてあって。


『ギルドに報酬をもらいに行ってきます、可愛い妹より』


 後半部分はともかく、前半部分で派手なフラグが立っているような気がするのだが……


 俺も気になったのでギルドへ向かう、案の定セシリーさんと言い合いになっているミントがいた。


「なんですかこの報酬!? どれだけ私たちが討伐したと思ってるんですか!? 相場考えてくださいよ?」


 すごんでいるミントの目の前には金貨が数枚置かれていた、ドラゴンの亜種を倒したにしては余りにも低い報酬だ。


「セシリーさん、景気悪いんですか? さすがに報酬少なくないですか?」


 セシリーさんも困った顔で言う。


「いえ、そもそも今回の騒動はお二人がドラゴンの討伐時にちゃんとしたいの処理をしていなかったのが原因なので……その……お二人の責任じゃないかなーと……?」


「ぐぬぬ……」


 確かに討伐した敵をまともに葬ることなどなかった、運が悪かったとはいえ俺たちの責任を感じないでもない。


「しゃーないか……」


 俺の言葉にミントが渋々引き下がる、本当に不本意そうだったがこればかりはしょうがない。ギルドと争ってもいいことはないからな。


 そうして俺たちはいつも通り、微妙な報酬でFランクを続けることになるのだった。

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