表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/129

妹とマタンゴ討伐

 ピコーン

 ――

 スキル「サニタイジング」を付与することができるようになりました

 ――


 サニタイジング……? 消毒という意味だが……


 朝食中にスキルを与えられて俺は困惑する。いつものことだが唐突だった。


「おやお兄ちゃん、またですか?」


 ミントも、もう大体分かるらしく俺がスキルを習得したことに大騒ぎはしない。


「ああ、なんだろうなこのスキル」


「なんてスキルなんですか?」


「サニタイジング」


「ふむ……滅菌が必要になる……疫病でもはやるんですかね?」


 怖いことをしれっと言うミント、そういうフラグを立てるのはやめて欲しい。


 このスキルは役に立って欲しくないなあ……


 どう考えても皆がピンチな時に活躍するスキルだ、出来ればそんな状況にはなって欲しくない。


 そしていつも通りギルドへ向かう、安全な依頼を探すためだが、ミントの方は危険な依頼を受けたがっているようだ。


 ――


 そしてギルドに到着すると、セシリーさんに俺たちが呼ばれた。


 面倒なことになるのがこの時点で確定していた。


「なんですかセシリーさん、依頼ですか? 出来れば高ランクの人に依頼を回して欲しいんですけど?」


 しかし心底困った風に俺たちに内容を話す。


「実は……マタンゴが大量発生していまして、森が枯れつつあるんです、木の栄養を吸い取って成長する魔物なので大変厄介なんですよ。とはいえ、人間に直接攻撃はしてこないので上級冒険者に依頼するわけにもいかず……」


 なるほど、そこで俺たちというわけか……


「引き受けましょう!」


 ミントが横からその依頼をもぎ取った。


「ありがとうございます! ではお二人ともよろしくお願いしますね!」


 こうして俺たちはマタンゴ討伐依頼を受けるハメになったのだった。


――

ギルドを出たところでミントに訊く。

 

「ところでマタンゴってどんな魔物か知ってるのか?」


「キノコの魔物だそうですね、なんとなくは知ってますよ」


「ちなみに毒性があったりネバネバしていたり、非常に見た目が気持ち悪かったりするぞ」


「もしかして結構気持ち悪い敵だったりします?」


「もしかしなくてもそうだぞ」


 ミントが俺に文句を言ってくる。


「なんでそんな大事なことを黙ってたんですか!? 私ネバネバしたものとかダメなんですけど!?」


 俺が意地悪く答える。


「誰かさんが相談もせずに即答したせいなんだよなぁ……」


 うっとミントが黙り込む、さて、武器はどうするかなあ……刃物が訊かない相手を倒すのは結構面倒だな。


「もしかして……」


「どうした?」


「サニタイジングがそのマタンゴ特攻の攻撃魔法なんじゃないですか?」


 なるほど、今までの経緯からするとその可能性は大いにある。とはいえ……


「そうだとしても効かない可能性も考慮して武器を持っておけよ?」


「それは構いませんが……あっ! 炎魔法でまとめて焼き尽くすってどうです? それなら触れる必要皆無じゃないですか!」


 ミントがさも名案のようにいうのだが……


「いいか、森は資源の宝庫なんだぞ? その森をまとめて焼いてみろ、罪人扱いされるのは間違いないぞ?」


「ぐぬぬ……」


 とまあこんな風に準備だか雑談だか分からないことをしてから森へ向かう。


 ――


 森の中、余り日の光が差さず薄暗がりが広がっている。


「不気味ですね……」


「まあ森だからな、ここじゃ日光は人間のためのものじゃなく木々のためのものだ」


「はぁ……気が重くなるのでさっさとスキル付与してくれますか?」


「はいよ」


 ――

 妹に「サニタイジング」を付与しました

 妹に「鑑定」を付与しました

 ――


「ん? なんで鑑定も付けたんですか?」


「マタンゴにサニタイジングが効くかどうか鑑定するんだよ、効くならこの依頼は楽勝になる」


「なるほど」


 そう言って俺たちは森の落ち葉を踏みながら奥の方へ進んでいく。


 次第に湿気が満ちてきてキノコの生育には恵まれた環境の場所へと近づいていく。


「気をつけろ、そろそろだぞ?」


「うぅ……分かってますよ」


 ミントの声も頼りないものだった、ドラゴンを平気で討伐するのにマタンゴに怯えるのも変な話だとは思うのだが何をどう感じるかは人それぞれだ。


 着いたか……


 俺はミントを手で制止して前方を指さす。


 そこには顔の着いた巨大なキノコがうごめいていた。


 赤く染まったキノコの傘がとても自然界に居る者とは思えず不気味だ。


「ミント、鑑定を」


「はい」


 ――

 種族「マタンゴ」

 粘菌類で火、凍結に弱い

 滅菌魔法が非常に有効

 ――


「よし、効くみたいですね」


「じゃあ一発派手に打ち込め!」


「サニタイジング!」


 ミントからぶわっと風が発生しマタンゴを包んでいく、敵達はすぐにしぼんでいきやがて完全に消えた。


「やったっぽいですね? お兄ちゃん確認お願いします」


「分かったよ……」


 こういう汚れ仕事は俺の役目だ、ミントには服が汚れてもヒールで綺麗になるじゃんなどという正論は通用しない。


 マタンゴ達が集会をしていた場所に乗り込むと、そのあたりの木が壊死して枯れ葉がどっさりと積もっていた。どうやら木の栄養を吸い取るというのも本当らしいな。


 辺りを見回すが敵のものらしき姿は全く見当たらない。


「問題無いな」


「よし! ギルドに報告しましょう!」


 一応は討伐をしたミントが早足でその場から去って行った。どうやらコイツも気持ちの悪いものは苦手らしい。


 ――


「ありがとうございます! 森の観測部隊から木々の壊死が止まったと報告を受けています」


「そうでしょうそうでしょう! 何せ私とお兄ちゃんですからね」


「はい、こちら報酬になります」


 ポトンと小さな音を立てて小袋が一つ置かれる。


「え? 私たちたくさん倒したんですけどこれだけですか?」


「なにしろFランクの依頼なので……これでも相場一杯までギルマスと交渉はしたんですよ」


 現実はいつだって非情である、残念ながら努力が報われるとは限らないと言うことなのだった。


 その後、俺たちの家に「森を救っていただきありがとうございます!」と森の幸がたくさん届いてミントのトラウマになったのはまた別の話……


 そりゃあ気持ち悪いキノコを討伐したお礼がカラフルなキノコだったらトラウマにもなるよなあ……と思う俺だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ