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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹と魔導農業

 ああ、何事も起きない日とはこんなにも良いものだっただろうか? いつからそんな当たり前を無くしてしまっていたのだろう?


 つまり俺達兄妹は今、農業の手伝いをしている。


――――

力「A]

体力「A]

魔力「A」

精神力「A]

素早さ「A」

スキル「無し」

――――


 俺はスキルを贅沢に使ってミントの能力を強化して農作業の効率化をしている。魔族と戦える力を農業に使うのは贅沢な気がしないでもないが、使えるものは何を使っても自由だろう。


 なにしろ「妹バフ」は一向に無効化される気配もないのだからどう使っても自由だろう。


「お兄ちゃん、たいくつー……」


 ミントはそう言って投げ出しそうだが、俺は文句一つ言わずに育ってくれる野菜を育てるのは嫌いではない。

 俺はのんきに地に大量になっている野菜をかっていく。野菜達は悲鳴を上げたりはせず良心が痛まないので非常にいい。


 なにしろ、ミントに手伝わされるとインスタント地獄が再現されるからなあ……こちらには害がなくてもあまり見ていて気分の良いものではないからな。


「おにーちゃーん? 退屈なんですけど? 何か魔物の襲撃でもないですかねえ?」


 物騒なことを言っているが今日はスキルも覚えなかったのでおそらく無事何事もなく終わるはず……


 ピコーン

 ――

 妹に「水生成魔法」を付与することが可能になりました

 ――


 どうやらそう簡単にはいかないらしい、世の中というのはなぜこうも理不尽なものなのだろうか?


「あ、お兄ちゃん! その顔はスキルを覚えた顔ですね? 一体何を覚えたんですか?」


 即ばれてしまった、無視を貫くこともできるだろうが、コイツに嘘が通じるとも思えない。


「ああ、水を作れるようになったようだ」


「ほうほう……それで派手に洪水を発生させて魔物の群れを流してしまうんでしょうか?」


 いやあ、さすがにそこまでご都合主義じゃ……ないとは言えないなあ……


「すまないねえ、ギルドのエースに農作業なんてさせて……」


 俺達が話していると依頼人のおばあちゃんがお茶を入れて差し入れに来てくれた、とりあえず戦いの予感が遠のいたことに安堵する。


「いえいえ、俺達はまだFランクですから!」


「そうかい……あんたらは魔族相手に大活躍したって聞いたんだけどねえ……」


「それほどでもあります! 私たちは強いですからね!」


 思い切り調子に乗るミント、いかにもな面倒事を呼び込むフラグを立てるな。


「ところで、今少し困っていてねえ……」


 おばあちゃんも勢いで困り事を俺達に持ちかけてくる。


「この前の雨でウチの畑に引いていた川からの水路が壊れてねえ……今直してるところなんだけどもうちょっとかかりそうでねえ……なんとかできたりしないかい?」


 それはそれは、どうにもおあつらえ向きのスキルを覚えたものだ。


 ミントはこちらをチラリと見てウインクをした。


「しょうがないなぁ……」


 ――

 妹に「水生成」スキルを付与しました

 ――


「スキルはつけたから、上空に生成してくれ。と、その前に屋根の下に入るぞ」


「はーい」


 こうして俺達は依頼主の家に入ってぬれないことを確認してからミントに水を生成させる。


「じゃあ頼むぞ」


「任せておいてください!」


「ウォータージェネレーション!」


 その詠唱と共に豪雨が周囲に降り注いだ、少し乾き気味だった畑をどんどん潤していく。


「おお! すごいねえ! さすがこの町一番の有名な兄妹だねえ」


 そう言ってくれるが、この雨は一時的なものに過ぎない。


「今回はこれでどうにかなりますけど、用水路はちゃんと修復しておいてくださいね?」


 俺がそう言うとにこやかに答えが返ってくる。


「二三日で直る予定だったからね、今日をしのげればなんとかなるはずでね、安心しておくれ」


 なるほど、今日をしのげばなんとかなるのか、ならばひとまずの回答としてはこれが正解だろう。


「ミントー、そろそろ雨を止めてくれ」


「はーい」


 そうして降ってくる水が減ってくると上空に生成された水でできた雲が晴れていく。


 太陽が注がれるとともに、それははっきりと見えてきた。


「わー……綺麗ですね」


「そうだな」


 俺達は止んだ雨の後に注がれる光でできた虹をまぶしそうに眺めている。雨の後には虹だってできるか……


「これはロマンチックな光景ですね! デート中ならもっとテンションが上がったのですが……」


「言っておくが雰囲気がいいからなんて理由で都合よく雨を降らせるなよ?」


 ミントはびくりとして俺の方を見ながら泳ぎまくっている目をしながら言う。


「もちろんじゃないですか!? 私をなんだと思ってるんですか!?」


 焦りまくる必要はないんじゃないかなあ……


 こうして俺達の依頼「作物の収穫手伝い」は無事に終わったのだった。問題なく終わったので報告にギルドへと向かう。


 ――ギルドにて


「はい、今日はおとなしめの依頼を受けましたね? ちゃんとこういう細かいこともこなしてくれる人が減ってるんですよねえ……」


 セシリーさんは愚痴も半分に俺達への感謝を述べる。


「ちなみにスキルも使って水回りも解決したのでそちらへのボーナスはないんですか?」


「え?」


 ミントもセシリーさんもポカンとした顔をする。


「いえ、あなたたちへの依頼は作物の収穫を手伝うことなのでそういったボーナスは無いですね、というかスキルが必要ならもっとランクの高い依頼にしますし……」


「はあああ!!!!」


 ミントはとても呆れたようにため息をついて俺に向かって言った。


「お兄ちゃん、私たち、言いように使われてません?」


 まあ、そういうことだろうな。あのおばあちゃんも俺達が来たので儲けものと思ったのだろうし。


「まあ、うん。年の功って言葉もあるしな、そういう日だってあるだろう」


 そうして俺達兄妹の休息的な依頼は大変な事をした割には大したことのない報酬で終わったのだった。

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