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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹と魔王軍(情にあつい)

 俺とミントのギルドカードに招集サインがきていた。赤く光る文字を見ながら行きたくないなあ……と考えていたが、呼び出されたミントは久しぶりに頼りにされたのが嬉しいのか、装備に着替えていた。


「お兄ちゃん! 行きますよ!」


「はいはい……」


 しょうがないなぁ……行きますか……


 俺も装備を調えギルドに向かう、ギルドの中はいつも通りだった。みんなが飲み食いをしながらカードゲームに興じて悲喜こもごもだったが、取り立てて緊張感や悲壮感らしいものは見えなかった。


「あ! どうも、ユニさん、ミントさん! お待ちしていました!」


 セシリーさんが駆け寄ってくる、この様子だとたいした仕事じゃないだろう。


「どうも、招集なんて何があったんですか?」


 ミントがそう聞くとセシリーさんは何事でもないように一言で説明をした。


「この前討伐した魔王軍幹部の仇討ちに魔族が集まっていまして……」


 え!? 魔王軍が集まってきてるのにこの空気の緩さ?


「ちょっと待ってください、ここのみんながその魔王軍討伐に呼ばれたんですよね? 緊張感がなさ過ぎるのでは……?」


「ああいえ、ここの方々はいつも通りの依頼をあさりながら適当に遊んでいるだけです」


 はあ!?


「いやいや、魔王軍がきてるんでしょう? もっと戦力を集めるべきでは?」


「お二人がいますし」


「は?」


 いやいや、俺達二人しか呼んでないの? やばくね?


「皆さん、あなた方に任せておけば危険はないだろうと信じていまして……」


「はい!?」


「そうでしょうそうでしょう! 私とお兄ちゃんがいればまったく問題ないですからね!」


「お前も何のってんの!?」


 しれっと勢いにのせられるミントにツッコミを入れるがどんどん話は進んでいく。


「どのくらいきてますか?」


「数は前回の半分くらいですね、ここの戦力については不明です」


「やばくないですか?」


 しかしセシリーさんは当然のように言う。


「お二人に任せればなんとかなるでしょう?」


 ミントは俺の答えを待たずに即答するのだった。


「もちろんですとも! 任せてください!」


 当たりから小さな拍手が起こってまた何事もないようにギルドの日常が流れていった。


 選択肢は、無いようだな……


「お兄ちゃん! 受けますよね?」


「わかったよ! 選択肢は無いんだろう?」


「はい、ありがとうございます!」


 ピコーン

 ――

 妹との絆レベル上昇により妹バフの効果上限が補正されました

 ――


 そうですかそうですか、皆さんご丁寧に俺達兄妹が暴れないと気が済まないらしい。


 ――


 町を出て北に少し行ったところ、そこに魔族がそこそこの数集まっていた。


「じゃあお兄ちゃん……お願いします!」


「はいよ」


 妹バフを使用します

――――

力「S+]

体力「S+]

魔力「S」

精神力「A+]

素早さ「A+」

スキル「火属性魔法、爆発系魔法、冷気耐性」

――――


 微妙に上限値が底上げされている、ちゃんとスキルレベルが上がったようだ。


 湧き上がる力を押さえられないのかミントが魔族の前に出て名乗りを上げる。


「よく来ましたね! 私たち兄妹に滅ばされるためにわざわざ出てきた度胸だけは買いますよ! さあ、かかってきなさい!」


 さすがの魔族さんも堂々と出てくるとは思っていなかったのか少しの間困惑してから妹に襲いかかってきた。


 当然強化されまくった妹に通じるはずもなく……


 ガキン


「ぐええええ!!! 俺の爪がああああああ!!!!」


 ごう


「熱いいいい!! 助けて魔王様!」


「死ねええええええ!!」


 ボキッ


「ぎゃああああ!!!」


 この夜の地獄の釜の蓋が開いたような有様だった、その地獄のただ中で妹は不敵に笑っていた。多分魔王と呼ぶならこういう奴のことを呼ぶんじゃないだろうか?


「エクスプロージョン! プロミネンス! ヘルファイア!」


 魔族達は、燃えて、燃えて、ときどき爆発して、どんどんと数を減らしていった。


 妹が「はっはっは!」と笑いながら「ぎゃああああ」と雄叫びを上げる魔族を蹂躙していく様は魔族の威厳もへったくれもないものだった。


 そうしてしばらく破壊の限りを尽くした頃、魔族はすっかり逃げ出して、面倒なのでミントも追いかけはしていなかった。


「お兄ちゃん! どうです? すごいでしょう?」


「ああ、とってもすごいな……」


 魔族の死体とかどうやって片付けるかな……? と考えていると魔族の死体は砂になって消えていった。


 魔族の死体が見つからないのはこういうわけだったのか。


 そうして全てが終わった燃え尽きた大地を後にして、町のみんなはいつも通り迎えてくれるだろうかと心配をしていた。


 が、まあそんな心配はまったく不要だった。


 ――


 ギルド内はあれだけ激しい戦闘があったにもかかわらずのんきな時間が流れていた、ちなみに俺達兄妹の勝敗についての賭けは誰も負ける方に賭けなくなったので話の種にも上らなくなっていた。


「さすがですね!」


 セシリーさんはそう労ってくれる。


「そうでしょうそうでしょう! 遠慮無くギルドランクを上げてくださっていいんですよ?」


「え? 元はといえばミントさんが魔族のヘイトを大量に買ったのが原因じゃないですか?」


「はああ!? 私があれだけ頑張ったんですよ! もっと報酬くださいよ!」


「まあ謝礼金は出しますが……」


 そうして今日も据え置きの万年Fランクの兄妹は結構な金額をもらって帰って行くのだった。

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