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ジョブ「お兄ちゃん」ってなんですか? 謎のジョブを与えられて困惑していると妹が最強になりました  作者: にとろ


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妹はお金を使いたい

「買い物買い物ふっふふーん!」


 ミントはすごくはしゃいでいた。そりゃあ金貨百枚だもんなあ……


 俺にとっては大きすぎて実感の無い金額だった。


 俺達の家より少し小さい家なら買えるくらいの金額だ、しばらく平和に過ごすことはこれで確定していた。


「ほらほら! お兄ちゃんももっと楽しみましょうよ!」


 ミントは軽やかな足取りで商店街を歩いていった。


「前を見て歩け、ほら手のかかる奴だな」


 俺が手を差し出すとちょっとびっくりしてからぎゅっと握り返してきた。


 現在生きている最後の肉親である妹と平和に過ごす日々、それが当分の間続くことは確かに俺も嬉しかった。


「おぉ……アクセサリーショップです! これは私には縁が無いと思っていた場所ですね!」


 そんなことをミントが言っているときに唐突に俺の脳内に声が響いた。


 ピコーン

 ――

 スキル「妹鑑定」を取得しました

 ――


 なんだ、どうやら今日はこのスキルが役に立つらしい。


 そんなことを考えていると手を強く引っ張られた。


「お兄ちゃん! ほらほら、入るよ! 私たちが今持ってるお金なら大体何でも買えるんですよ? もっと楽しみましょうよ!」


「わかったよ、引っ張るのはやめてくれ」


 俺達は店内が光り輝くアクセサリーで一杯のショップに足を踏み入れた。


 店員は露骨にイヤな顔をする、「貴族でもないのになんでウチに来やがった」と表情が語っていた。


「お兄ちゃん! 見て回りますよ!」


 そんな視線はものともせず、妹は買い物を楽しんでいくようだ。


「お兄ちゃん! これとかどうです?」


 ミントは一つの青い宝石の着いたネックレスを持って聞いてきた。

 その時脳内にイメージが浮かんだ。


 ――

 ブラッドサファイアネックレス

 精神を一ランクダウンさせる、所有者は魔物を引き寄せる

 ――


 ああ、これね。なるほど鑑定だな。


 普通呪いは巧妙にかけられていて鑑定するには骨が折れる作業を要するのだが、このスキルがあればお手軽にいけるらしい。


 俺は大体どうなるか察していたがその辺のブレスレットを持ってじっと見てみた。


 一向に鑑定スキルが発動することは無かった、なるほど「妹」鑑定スキルとはこういうことか。


「どうしました? お兄ちゃん?」


 俺はブレスレットをそっと戻して言った。


「そのネックレスはやめといた方が良さそうだな」


「そうですか」


 俺がそう言っただけですんなりと置いて次を物色するミント。


「あれ? 欲しかったんじゃないの? 俺が言うのもなんだが諦めがいいな?」


 そうして妹として当然という風に返答が帰ってきた。


「そりゃあちょっとは欲しいですけど……お兄ちゃんからの評価が低いものとか、わざわざ買いたくないですし」


 しれっと俺への信頼を言葉にするのだった。


 まったく、そんなことを言われたら買い物に付き合うしかないじゃないか。


「よし! いろいろ持ってみるといい、俺のセンスでいいなら判断してやるよ」


 ミントはクスリと笑いながらリングを手に取っていた。


「これはどうですか?」


 白い宝石の埋まったリングだが……


 ――

 カースド・パール

 持ち主の体力をむしばむ呪いがかかっている

 ――


「やめといた方がいいな」


「じゃあこれは?」


 今度は赤い宝石の着いたイヤリングを持ってみる。


 ――

 ダークルビー

 持ち主の生き血をすすり自らの赤さを増していく宝石

 ――


「やめとけ」

「じゃあこれ?」


 そうして結構な数を見ていった結果分かったことだが……ミントにささやく。


「この店ヤバいものしかないぞ、別の店に行ってもいいんじゃ……」


「そこまでですか? じゃあ最後に一つ見てもらいたいものがあります!」


 そう言ってショウケースの方へ歩いて行き店員に話しかけていた、心底イヤそうな顔はするが追い出しはしないあたり店員も人が悪いわけではないのだろう。


 そんな光景を見ているとミントが手招きした。


「お兄ちゃん! これをつけてみたいです! 買わなくても試着で金貨一枚らしいですけど……駄目でしょうか?」


 そこにはショウケースの中でもひときわ輝く透明な宝石のついたリングが展示してあった。


 少し考えてミントの力あってのものだし問題ないと結論が出た。


「いいんじゃないか? 結構似合ってそうだし」


「へ? いいんですか! やめたは無しですからね! 店員さん! 試着します!」


 そう言ってショウケースの中からとりだして自分の指にはめて俺に聞く。


「どうです? 似合いますか?」


「そうだな」

 ――

 ブライト・ダイアモンド

 装着者の魔力を強化する祝福

 装着者の体力を強化する祝福

 持つものの精神を安定させる

 ――


 お、珍しく当たりのアクセサリだな。


「いいんじゃないか? 買おうぜ」


 何しろ金貨百枚のお金持ちなので俺は迷うことなくミントにそう言った。


「へ!? 買う!? いいんですか!?」


「ああ、いいぞ」


 そういうことで購入が決定したわけだが、店員さんも驚いた目でこちらを見ていた。


「じゃあお会計お願いしますね?」


 店員さんにそう言って会計に向かうミント、まあそんなに高いものじゃないだろう。あいつも気軽につけてたもんな。


「ではこちら金貨九十枚になります。ご購入と言うことで試着代の返金含めて金貨八十九枚のお支払いをお願いします」


 は? 金貨九十枚!?


「はい、これで」


 ドサリと金貨百枚の入った袋から十枚取りだし残りの袋を会計に通した。


 さすがに俺達が気軽に買うとも思っていなかったらしく、念入りに本物の金貨かチェックされ、間違いがないと分かってから俺達に本物の微笑みを向けた。


「お買い上げありがとうございます!」


 店から出るとミントが小袋に残った金貨を詰めていた。


「ごめんね! ちょっと高かったでしょ?」


「いいさ、兄妹の共有財産を使うのに確認なんて要らないんだよ」


「ふふふ……お兄ちゃんはぶれませんねえ」


 そう言って宝石にも負けないとびっきりの笑顔を俺に向ける妹のミントだった。


 ――

「お兄ちゃんと指輪が買えるなんて夢にも思いませんでしたね! これは素晴らしいことです!」


 ミントはベッドの上でゴロゴロしながら指にはまったリングを眺めていた。


「これはもう実質婚約的なものでは!? ああお兄ちゃん!」


 そうしてしばらくジタバタしていたが幸せな気分で眠りにつけた。


 なぜかつけているリングを眺めていると無性に安心して落ち着いた眠気が来て、久しぶりにいい夢を見ることができるのだった。

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