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ヤンキー『処女同盟』   作者: 一葉 ミサト
37/37

37話

 ――私は族の皆を一旦、集会所に集めた。


「皆、今回はありがとよ! 皆のおかげで高下親分に会う事が出来た! そして、話を聞いてくれた! 親分は約束してくれた! もうこれ以上、ヤツラに好き勝手やらせないと! 明を刺したヤツをサツに自主させた! 今回の件はこれで終わりとなった!! 皆!! 心から感謝する!!」


 私はそう言うと、皆に頭を下げた。

 皆、喜んでいた。


「さすがは総長の女だ! 俺達からも礼を言うぜ!! ありがとよ!!」


 皆も私にお礼を言ってくれたのだった。


「楓! やったな!!」

 

 処女同盟の皆も嬉しそうに声をかけてくれた。


「楓! さすが明が見込んだ女だけある! 俺達からも礼を言わせてくれ! ありがとよ!」


 浩司がお礼を言ってくれた。

 そして誠も。


「楓! 俺からも礼を言わせてくれ! ありがとな!」


「皆が一致団結して闘ってくれたからだよ! 礼なんて大袈裟だよ!」


 私は皆の手助けがあってこその勝利だと思った。


 ――そして、私は明のいる病院へ向かったのだった。


 明はまだICUに入っていた。

 私は中へ入り、明の元へ行った。

 明は眠っていた。


「明、もう終わったよ……。早く元気になってくれ……」


 私は明の頬にキスをすると、部屋を出て行った。


 ――それから何日かして、明は一般病棟に移される事になった。

 酸素マスクも取れ、普通に喋れるようになっていった。

 そろそろ今回の件が終わった事を告げなければならない。

 そう思っていた。


 すると、高下親分が明の部屋にやって来たのだった。


「親分、来てくれたのか?」


 私は親分に声をかけた。


「親分!?」


 明は親分を見て不思議そうに私を見ていた。


「あんたがお嬢ちゃんの彼氏かい?」


 親分は明に聞いた。

 

「ああ、親分って、どういう事だよ。楓……」


 私は、このままだといつまで経ってもケリがつかないこと。

 そして、族の皆と一緒に高下組に乗り込み、親分と話をした事を明に話したのだった。


「楓! 何でそんな危ない事したんだよ!」


 明は私を心配して怒ったのだった。


「まあまあ。いいじゃねぇか。明とかいったな。このお嬢ちゃんは肝っ玉のある女だ。あんたの事を心配しての事だ。それに仲間の事も大切に思ってる。てぇしたもんだよ。今回の件はわしの下っ端のヤツラが酷い事をした。本当に悪かった」


 親分はそう言って、明に頭を下げたのだった。

 

「親分、頭をあげてくれ! 俺からも礼を言わせてくれねぇか! 楓の話を聞いてくれてありがとよ!」


 明は親分に礼を言ったのだった。


「お嬢ちゃんを大切にしてやってくれ。困った事があったら力になる。また見舞いに来させてもらうよ。じゃあな」


 そう言って、親分は帰って行った。

 そして、私は明に怒られた。


「もう終わった事だ。文句ねぇだろ! あまり興奮すると傷口に響くぞ!」


 私は笑顔で言ってやったのだった。


 ――高校卒業式の日


 卒業式が終わると明が正門で待っていた。

 

「行こうか。楓」


「ああ!」


 私達は明のケンメリに乗って教会に向かった。

 そして、2人っきりで結婚式をした。

 

「新郎。明、あなたはここにいる楓を、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」


「はい。誓います!」


「新婦。楓、あなたはここにいる明を病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」


「はい。誓います」


 そして、私達は誓いのキスをした。


「これからは生涯ずっと一緒だ。明るくて温かい家庭を築いていこうぜ!」


「ああ、ずっと一緒だ。明」


 結婚式を終え、外に出ると処女同盟の仲間と族の皆がいた。


「水臭いじゃねぇか! 2人っきりになりたいのも分かるけどよ!」


 恭子が声をかけてきた。


「さぁ、これから皆でお祝いだ!!」


 浩司がそう言うと、族の皆が一斉に声を上げた。


「おおおぉぉぉっ!!」


 そして、ある場所に私達を連れて行ったのだった。

 

 加奈子先輩の家だった。


「先輩……」


「楓ちゃん、結婚おめでとう! 今日は処女同盟の皆と美奈ちゃんも一緒に、お祝いの料理をたくさん作ったの。皆でお祝いしましょうね」


「先輩、美奈、ありがとよ!」


 私は嬉しかった。

 先輩や美奈の気持ちが……。


「おいおい、楓! あたし達も料理頑張ったんだぞ!」


 弘子が自慢気に言ってきたのだった。


「あたしも頑張ったぞ!」


 恵理奈も笑顔で声をかけてくれた。


「楓、幸せになるんだぞ!」


 恭子が目に涙を溜めていた。


「あたしも早く結婚してぇよ」

 

 香奈枝が羨ましそうに言った。


「誰よりも幸せにならねぇとな」


 多可子が心からそう願って言ってくれたのだった。


「皆……ありがとよ!」


 私は皆の気持ちが嬉しくて涙が出そうだった。


「皆本当に頑張って料理したの。さぁお祝いのパーティーをしましょう」


 加奈子先輩が笑顔で言ってくれたのだった。

 

 そして、先輩の家の大きな庭で族の皆も交えてパーティーをした。


 処女同盟の皆、族の皆から祝福されて私は幸せでいっぱいだった。

 

 すると、皆から手拍子しながらキスをせがまれた。


「キッス! キッス! キッス!」


 そして、私と明は見つめ合い、皆の前で堂々とキスをしたのだった。


「さぁ、今からブーケを投げるぞ! 女達は集まってくれ!」


 私がそう言うと、皆キャーキャー言いながら集まって来た。

 そして、私は持っていたブーケを投げた。

 皆必死にブーケを取ろうとしていた。


 そして、ブーケを取ったのは恭子だった。

 恭子は受け取ったブーケを持って、嬉しそうにしていた。


「お! 恭子! やったな! 今度は俺達の番だな!」


 浩司が嬉しそうに恭子に向かって言った。


「あ? 誰がお前なんかと。べぇ~だ!」


 恭子がふざけて言うと


「恭子! それはないだろうが! 恭子は俺の女だぞ!」


 そう言って又2人してふざけていた。

 それを見て皆で笑ったのだった。


「ブーケが無くってもあたし達も結婚するし! な、誠!」


 香奈枝が恨めしそうに言ったのだった。

 誠は照れながら


「ああ……」


 そう答えると、明が誠に声をかけた。


「誠、お前らが結婚したら誠は香奈枝に尻に敷かれそうだな!」


 それを聞いて皆で爆笑したのだった。

 

 今までいろんな事があった。

 辛い事や悔しい思いもした。

 だが、何より生涯愛する人が出来た。

 私は明の手をずっと握っていた。

 その手を明も離さず、ずっと握っていたのだった。


 そして、高校の卒業を気に『処女同盟』は解散した。

 レイプされる女性が減ってくれる事を私達は心から祈った。


 処女同盟は解散しても私達は仲間だ。

 これからもずっと大切なマブダチに変わりはない。


 明は族の皆に総長の引退を宣言した。

 次の総長は浩司にお願いしたのだった。


 私と明は、これまでにない幸せを感じていた。

 これからは誰もが羨む家庭を築いていこうと思ったのだった。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます(*^-^*)


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