33話
今日は、あのチンピラ達との対決の日。
私達や明、そして族の皆は気合が入っていた。
「おめぇら!! 必ず勝利しようぜ!! 『沙羅慢陀』の名にかけて!! そして『処女同盟』の皆も一緒に!! 決して気を抜くな!! いいな!!」
「おおおぉぉぉっ!!」
皆、明の言う事に今までにない程の真剣な顔をしていた。
気を抜いたら、こっちの負けだ!
相手はチンピラ達。
何人連れて来るかもわからない。
しかも刃物を持ってくるはずだ。
私達処女同盟の皆も真剣な顔をしていた。
「皆、わかってるな! 刃物を持ってる手を狙うんだぞ!」
私はもう1度、皆に確かめるように言ったのだった。
――そして、私達の待つ、集会所へチンピラ達がやって来た。
50人位だろうか。
やはり、刃物を手にして来た。
明はケンカする仲間を50人、バイクに乗った50人は相手が逃げないように囲ませた。
「逃げずにちゃんと来たか!! しかもナイフ持ってやがる。お前ら、それでも男か!! ナイフを持たねぇとケンカも出来ねぇのかよ!! 俺達はお前らと違って漢の中の漢だ!! その腐った根性、叩きな直してやるぜ!! まぁ、お前らみたいなチンピラに治す薬なんてないだろうがよ!!」
明が先頭になって、チンピラ達にガンつけながら怒鳴りつけたのだった。
「何だと! いい気になりやがって! このクソガキ共が!! 痛い目に遭わせてやる」
チンピラも負けずに言い返してきた。
「あんたらみたいなヤツラは、このあたし達も許さねぇ!! みっともねぇな!! 大の大人がナイフ持ってケンカかよ! お前ら、心底根が腐ってんだな!! 覚悟しろ!!」
私はガンつけながら、けなしてやったのだった。
「皆!! ホントのケンカってもんを思い知らせてやれ!!」
明の一言で、族の皆がチンピラ達に向かって行った。
そして、私達も。
「皆、やるよ!! 女の意地ってもんを見せてやろうじゃねぇか!!」
私は皆に声をかけると、一斉にチンピラ達の元へ向かった。
明や浩司、誠、そして、族の皆は素手でチンピラ達を次々と殴っていった。
私達は、それぞれ愛用の武器で、チンピラ達のナイフを持っている手を狙っていった。
手を私達の武器で殴られたヤツラは、次々とナイフを落としていった。
ナイフを拾おうとする手を、また武器で叩いてやった。
やはり、チンピラ達は素手で闘う事には慣れていない様子だった。
一生懸命私達や族の皆を殴ろうとするが、敵わなかったのである。
「ほんとのケンカってもんを教えてやるよ!!」
明はそう言ってどんどんチンピラ達を殴っていった。
ナイフを落としたチンピラ達は1人、また1人と逃げ出そうとしていた。
「お前ら、1人残らず逃がすんじゃねぇっ!!」
族の中のバイクに乗った仲間達が、相手を逃がさないように、バイクで突っ込んだ。
流石だった。
明や族の仲間達は、一心同体。
チームワークがきちんと取れていた。
それに比べて、チンピラ達は皆バラバラだった。
ナイフを見せつけたら、こっちが怖がるとしか思っていなかったのだろう。
次々と倒れていったのである。
「ふん! 口ほどにもないやつらだ!! 思い知ったか! これ以上、俺の仲間達に手を出してみろ! もっと痛い目に遭わせるからな!!」
「わ、悪かった」
チンピラの1人が謝ってきたのだった。
「本当に悪いと思ってんのかよ? また汚ねぇ事、すんじゃねぇだろうな! あああぁぁっ!?」
明が怒鳴った。
「いや、俺達の負けだ! もう何もしねぇよ」
「ほんとだろうな!」
「ああ、男と男の約束だ」
明はチンピラの言う事を簡単には信じなかった。
勿論、私達もだった。
そして、殴られたチンピラ達は重い体を起こし、立って謝った。
「ほんとだ。信じてくれ。悪かった」
その時だった。
1人のチンピラが私の後ろに回り、私をナイフで刺そうとした。
咄嗟の事に明は私を庇うように、背後から私に抱きついたのだった。
私は何が起きているのか?
一瞬、分からなかった……。
私の仲間が叫び声を上げたのだった。
「キャ――――――ッ!!」
「あ……な、何?」
私は、明が私の後ろで倒れて行くのが分かった……。
振り返ると、明の背中にナイフが刺さっていた。
「う、嘘だろ!? あ、明……」
「ざまぁみろ!!」
チンピラ達は、そう言って笑みを浮かべていた。
「明!? 明!! 誰か、救急車を!! 早く! 早くしろっ!!」
それを見ていた浩司と誠が怒りでいっぱいになり、族の仲間と一緒にチンピラ達を、滅茶苦茶に殴っていた。
私は明の抱き寄せた。
「あ、明、しっかりしろ! ヤダよ……こんなの……ヤダ!! 明……あきらぁぁぁっ!!」
私は涙が止まらなかった。
すると、明が苦しそうに私に声をかけてきたのだった。
「か、楓……無事か?」
「明! 何言ってんだよ……あたしは大丈夫だ……安心しろ……今、救急車が来るから……頑張れよ……明……明!! お願いだから……頑張ってくれ……」
明は私の頬に手を当てた。
「か、かえ……でが……無事……なら……グフっ!!」
口から血を吹き出してきた。
「あ、血が……明! あきらあぁぁぁっ!! もう……喋るな……救急車は? まだかよ! 早く……早く来てくれえぇっ!!」
明は私の事を心配していた。
私が無事だと分かると、私の頬に当てた手が離れて、明の手の力が抜けていった。
そして、そのまま気を失ったのだった。




