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ヤンキー『処女同盟』   作者: 一葉 ミサト
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26話

 次第に私達のあざは消えていった。


 明と付き合う事になった私は、皆とケンメリでドライブに行く事もあったが、明の暴走族の集会にも顔を出す事になった。


「お前ら!! 聞いてくれ! 俺の女、楓だ! 夜露死苦(よろしく)!!」


 明がそう言うと、暴走族の皆が私に向かって、一斉に挨拶をしてきたのだった。


「夜露死苦!! 楓さん!」


 私も皆に挨拶した。


「皆、この前は助けてくれてありがとよ! おかげであたし達6人は助かった。改めて夜露死苦!」


 そして、浩司と誠も恭子と香奈枝を紹介した。

 残りの恵理奈、弘子、多可子の事も紹介し、皆にお礼を言ったのだった。

 明は私達が『処女同盟』として、レイプされた女性達の敵を討っている事を皆に話した。


「同じ漢として、許せねぇ!!」


 そう言って怒りをあらわにするヤツもいた。

 俺達に出来る事があるなら何でもする。

 力になると、言ってくれたのだった。


 だが、私は女性をレイプするヤツラは、出来る限り自分達“女"だけで敵を討ちたい。

 そう思っていた。

 レイプされた女性達は、あまりに人に知れたくないだろうし、女性の気持ちは女性にしか分からないと思ったからだ。


 そして、集会が終わったら皆と車やバイクで走りに行った。

 明の暴走族はざっと100人位いた。

 皆と走っていると、今までにない興奮を覚えるのであった。

 

 勿論、2人っきりで会う事も多くなっていた。

 明は私達の事を心配していたが、今回みたいに、あたし達だけでは無理があると判断した時は、明達に助けてもらう事にした。


「いつでも力になるからよ。そん時は俺を頼ってくれ」


 明はそう言ってくれた。


「レイプされた女性達が、今を乗り越えて幸せになってくれたらいいな」


 私は明の言った事に頷いたのだった。


「ああ、心の傷は一生消えねぇけど、生きてて良かったと思える程の幸せを手に入れる事をあたしは願ってるよ」


 そう答えたのだった。


 ――そんな中、またレイプされたという女性が出てきたのだった。


 加奈子先輩の親友だった真奈美。

 先輩がレイプされ、親友だったのにも関わらず噂を流し、先輩の事を無視した張本人。


 レイプされた真奈美は、自分がレイプされた事で苦しんでいた。

 そして、先輩がどれだけ苦しく辛い思いをしたか。

 同じ苦しみを抱え込む事になった真奈美は、加奈子先輩に声をかけたとの事だった。

 自分自身がレイプされ、加奈子先輩の気持ちが分かったみたいで、先輩に謝って来たとの事。


 私達は、真奈美に怒りを覚えていたが、真奈美は今までレイプされた加奈子先輩の事を他人事と思っていた。

 だが、自分がレイプされた事で自分のした事を反省している。

 加奈子先輩から、そう告げられたのだった。


 私達は、加奈子先輩が辛い思いをしてきた事を知っている。

 私達と出会い話をするまで、どれだけ寂しく辛い思いをしたかと考えると、どうしても真奈美を許せなかったのである。


 でも、先輩は違った。

 真奈美が反省して謝ってきた事を許したのだった。

 自分と同じ目に遭った真奈美を哀れみ、同じように苦しんだ事を考えると、そのままにしておけない。

 何より、レイプした男達を許せない。

 それが先輩の考えだった。


「どうする、楓?」


 恭子が聞いてきた。

 確かに真奈美が先輩にして来た事は許せなかったが、女性を平気でレイプする男達を許す事は出来ない。


 私達は真奈美と話をする事にした。


 先輩に真奈美を学校の屋上に連れてきてもらい、話をしたのだった。


「あんたさぁ。先輩はあんたの事を親友だと思ってたんだよ。レイプされた先輩は、あんたを信じて妊娠した事や子供を下しに行った事を話したんだよ。それなのに、あんたは噂を流して先輩の事を皆でシカトした。先輩がどんな思いでいたか分かってんのかよ? それで今度は自分がレイプされたからって、先輩を頼って、都合がよくねぇか?」


 私は思った事を言ってやったのだった。


「そ、それは本当に反省してる。私が悪かったの。でも、まさか自分がレイプされるなんて……。他人事のように思ってた。正直レイプされた加奈子の事を汚いと思った。あの時は関わりたくないと思ってしまったの」


「汚いって、どういう事だよ? レイプされたくてされたんじゃねぇんだよ! あんただってそうだろうが! じゃあ、あんたも汚ねぇのかよ?」


 弘子が怒りをあらわにして言った。


「でも、自分がレイプされて、加奈子の気持ちが分かったの。私は人として最低な事をしてしまった。加奈子には、心から申し訳ないと思ってる。私が今、苦しんでいるように、加奈子は私以上に苦しんでいたんだと思うと、自分が許せなくなったの。きっと、これは罰よ……ごめん。加奈子……」


 真奈美は涙を流していた。


「確かに、レイプされた人じゃないと、その辛さは分かんねぇと思うよ。でも、親友なら励ましてやるのが本当だろうが! あんたも先輩と一緒で一生の傷が残っちまった。もっと人の気持ちを考えられる人間になりなよ!」


 恭子も真奈美に対して怒りでいっぱいだった。


「今回の事が自分への罰と思うのなら、それを背負って生きていって欲しい。あんたが望むなら敵を取ってやるよ」


 私は真奈美が嫌いだ。

 先輩が苦しんでいるのにも関わらず、尚更苦しめる事をしたからだ。

 でも、先輩は真奈美を許した。

 それに先輩と同じく、レイプした男が許せなかった。


「皆、真奈美は十分、反省していると思うの。私は敵を取って欲しいと思ってる。私は真奈美を許したけど、でも、もう以前みたいに親友だとは思っていないの。ただ、女性を平気でレイプする男を私は許せない。今ものうのうと同じ空気を吸って生きていると思うと、腹が立って仕方がないの。だから、お願い。その男に痛い思いを。皆の私への気持ちは嬉しいと思ってる……」


 先輩は真奈美の代わりに私達にその男に敵を取る事をお願いした。


「お願いします。あの男達に……。私の敵を取って下さい……」


 真奈美が泣きながら、土下座して頭を下げたのだった。


「平気でレイプする男は許せねぇからな! 分かった! 敵を取ってやるよ!」


 私はその男に敵を取る事を約束したのだった。


 真奈美が言うには、塾の帰りに2人の男に無理やり車に乗せられ、レイプされたとの事だった。

 その男とは面識がないらしい。


「どうやって、その男達を探すんだよ」


 弘子が言った。


 真奈美に聞くが、全く分からないとの事だった。


「これじゃあ、探すのに苦労しそうだな」


 私がそう言うと、真奈美がチンピラ風の男だった事を思い出したように言ったのだった。


「チンピラ? とりあえず、塾の近くをうろついているチンピラ達を当たるしかねぇか。今回は厄介だぞ。それから、あんたにも一緒に来てもらう。顔を知ってるのはあんただけだからな」


 私は真奈美に向かって、そう言ったのだった。

 顔を知っているのは真奈美しかいない。


「でも、顔をはっきり見たわけじゃないの……。私は必死に抵抗してて……。会っても、その男達だと分かるかどうか……」


 真奈美はそう言っていたが、顔を見れば思い出すかもしれない。

 とにかく、一緒にその男達を探す事を約束させた。

 今まではレイプした男達は分かっていたが、今度は探すのに時間がかかりそうだ。

 私は今回ばかりは明達にも協力してもらうしかないと思った。

 相手がチンピラなら尚更だ。

 

「チンピラなら、バックにヤクザが絡んでるかもしれない。けど、本物のヤクザなら義理と人情があるはずだ。チンピラなら下っ端だからその事が上にバレれば黙っちゃいないだろう。とにかく探すしかねぇ」


 今回は男達を探すのに、今までと違い苦労しそうだと思った。


 だが、このままにしておけば、また被害者が出てくるに違いない。

 それだけは阻止しなければならない。

 そいつらを何とか見つけ出し、真奈美の敵を討つ事にした。

 チンピラ風に見えただけで、ヤクザが関わっているとは限らない。


 こうして、私達は皆でその男達を探す事にしたのだった。 

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