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ヤンキー『処女同盟』   作者: 一葉 ミサト
21/37

21話

 私達は久しぶりにケンメリで箱乗りして楽しんでいた。

 やはり、風が当たって気持ちいい。


 大好きなア〇ベスクをガンガンかけて走るのはテンションが上がる。


 恭子も箱乗りをして風を切って走るのを楽しんでいた。

 

 弘子も恭子も、まだまだ傷が癒えるまでには時間がかかるだろう。

 だが、ケンメリでドライブしている間は、心の傷を少しでも忘れる事が出来ているのではないか? と、私は思ったのだった。


 何より明達と一緒にいる時は安心感があった。


 そして、港で皆して踊る。

 嫌な事を消し去るように……。


「楓! おめえ達、ディスコ行った事あんのか?」


 明が急に聞いてきたのだった。

 私達はディスコに1度も行った事がなかった。


「行った事ねえけど」


 私は皆で顔を見合わせながら、明のディスコって言葉に何故かワクワクした。

 

「おめえ達さえ良ければ、一緒に行かないか?」


 明が誘ったのだった。

 私達は行ってみたい。って気持ちでいっぱいになった。


「行きてえ! 行ってみてえよ!」


 香奈枝が真っ先に手をあげたのだった。

 皆も香奈枝に続いて手をあげた。

 

「はい! はい! 行きてえ!」


 まるで学校の授業で手をあげるかのようにしながら言ったのである。

 

 そして、皆でディスコの話で盛り上がった。


「ディスコで踊るなんて生まれて初めてだ! 楽しいだろうな~」


 恭子が妄想しながら言った。

 それを聞いていた浩司が、恭子にまたちょっかいを出したのだった。


「恭子、踊って転ぶなよ!」


 そう言って笑ったのである。


「浩司! てめえ、余計な事言うんじゃないよ」


 恭子は浩司の背中を叩いたのだった。

 

「何だよ。こいつめ」


 浩司は恭子の頭を軽くポン!と叩いたのだった。

 この2人を見ていると、ホントに笑えた。

 皆も一緒になって笑っていたのである。


 私は思った。

 浩司は恭子にとって癒しそのもの。

 2人の会話を聞いてると何故かほのぼのする。


「明達は行った事があんのか?」


 私が聞くと明は誇らしげに答えたのだった。


「ああ。もちろんだ! ディスコに行って皆で盛り上がろうじゃね~か! 絶対楽しいからよ」


 明がそう言うと、私達はディスコに行くのが楽しみで仕方がなく、興奮していた。


「いつ行く? 明日か? 明後日か?」


 弘子が今すぐにでも行きたいような感じで聞いたのだった。


「じゃあ、明日行くか? おめえ達、お洒落して来いよ!」


「ああ、めいっぱいお洒落して行こうな! 皆!」

 

 私は明に返事をしつつ、何を着て行こうか? 明日ディスコに着て行く服の事で頭がいっぱいになった。


 そして、弘子と恭子を見ると目が輝いていた。

 私は2人の嬉しそうな姿を見て嬉しかった。

 明達と一緒にいると、今までの事が嘘のように思えたからだ。


 きっと、楽しい事を重ねていくうちに、恵理奈のように恭子と弘子も心から笑えるようになるだろう。

 私はそう思ったのだった。


 そして、明達と話し合って、明日の夜の7時に弘子の家の近くで待ち合わせする事になった。

 

 ――明達に弘子の家まで送ってもらった私達は、服選びに夢中になっていた。

 夏休みに入ってから、弘子の所にほとんど泊まっていた私達は、自分達の着替えとして服を持ち込んでいたのだ。


 その中から一生懸命になって服を選んでいたのだ。

 自分達の服選びだけでなく、皆で、これ貸してやるよ! これなんかいいんじゃないか? 

 皆ではしゃぎながら1人1人の服を選んだ。


 気がつけば、夜が明けようとしていた。


「やべぇ。もう朝になっちまう。皆、少しでも寝ておかねえと、目の下にクマが出来た状態でディスコに行くのはな」


 私達は興奮していた。

 せっかくのディスコ。

 目の下のクマもそうだが、女の子にとって寝不足はお肌に悪い。

 昼間はゆっくり寝ようという事になった。


 だが、興奮しすぎて寝れる状態じゃなかった。


「ディスコって、テレビでしか見た事ねえけどさ。暗くて、あれ、何だろう? 上に丸くてキラキラするやつ……」


 弘子はテレビで見たディスコの光景が頭の中でいっぱいなのだろう。

 そう聞いてきたのである。


「ミラーボールの事か? たしかミラーボールで正しいはずだぞ」


 恵理奈が答えたのだった。


「皆で思いっきり踊ろうな! なんか、興奮しちまって、眠れるかな~」


 私は皆で楽しくディスコで踊る事を妄想していた。

 こんなに皆一緒に楽しみに思う事は初めてだったからである。


「楽しみだな」


 恭子もまた妄想しているのだろう。

 そう言っていた。


「ああ、きっと楽しいぞ」


 私達は、皆ディスコの事を妄想していた。


 そして、いつの間にか皆して眠りについていたのである。 

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