18話
恭子はぐっすりと寝ていた。
私達は、恭子はレイプされ、まわされたのにも関わらず、仲間の私の事を1番に考えていた。
それを思うと、胸が痛かった。
そして、恭子抜きで5人で恭子の敵を取る事にしたのだった。
私は夕べ、2人の男から聞いた住所を紙に書かせていた。
夕方、恭子を回した男達がたまり場にしている男の家にやって来る。
そこを狙って、行く事にしたのだった。
それまでは恭子の側を誰も離れなかった。
恭子の寝顔を見ていると、辛くてまた涙が出てくるのであった。
「なんで女がこんな思いをしなきゃなんねぇんだよ!!」
弘子が悔しそうに言った。
そして、恵理奈も……
「ほんとだよな。世の中、そういう男ばかりじゃないのはわかってるけどよ。それでも、女を物みたいに思ってるヤツラがいるのは確かだな」
2人共レイプされて、その辛さや悔しさを1番わかっている。
もうこれ以上、犠牲者が出ない事を私は祈るしかなかった。
――夕方近くになって、私達は早めに男達がたまり場にしている家に行く事にした。
恭子はまだぐっすりと寝ていた。
静かに部屋を出て、住所が書かれた紙を持って部屋を後にしたのだった。
紙に書かれた住所を頼りに、私達はその家を探した。
家が見つかり、その家のインターフォンを鳴らしたのだった。
きのうの2人の男が出てきた。
「どうやら嘘はついてなかったみたいだな!」
私は男達にそう言ったのだった。
「夕べはすみませんでした。先輩達はまだ来ていません。もうすぐ来るはずです」
男達は、私の嘘をすっかり信じ切っていた。
「じゃあ部屋で待たせてもらうよ!!」
私達は土足で家に入り、男達がたまり場にしている部屋に案内させたのだった。
2人の男は星座をしていた。
よほどヤクザが怖いらしい。
「そんなにあたしの親父が怖いのかよ!! あんたら、ここら辺はヤクザが多いのは知ってるだろ? 怖いんだったら今後、女をレイプなんてするな!! 女を力づくでレイプするなんて、そんなに女に困ってんのかよ? そのツラだもんな! 最低だな!」
私はまた嘘をついて、男達をビビらせたのだった。
これ以上、女をレイプさせないために……。
そして皮肉たっぷりで、貶してやったのである。
「はい……もう2度としません」
男達はビビって硬直していた。
その時だった。
恭子をまわした男3人がやって来たのだった。
私達5人は武器を持っていたため、私達を見て明らかに警戒している様子だった。
「何だぁお前ら!! しかも土足で入りやがって!」
1人のリーダー格のような男が言ったのだった。
「うっせぇんだよ!! 恭子の事、まわしただろ!!」
私がガンつけながら言うと、男達は私をよくみてから口を開いたのだった。
「お前は夕べの女だな! 夕べは楽しめたか?」
男の発言に私は虫唾走ったのだった。
「ふざけんじゃねえよ!! あたしはレイプなんかされてないんだよ!!」
男達は不思議そうな顔をして、私をレイプしようとした男達に声をかけたのだった。
「お前ら、どういう事だよ! この女をレイプしなかったのかよ?」
「実は……その……」
私をレイプしようとした男の1人が何か言おうとした時だった。
私は男3人に怒鳴りつけた。
「あたし達の大切なマブダチを回しやがって!! お前ら、絶対に許さねえ!! 覚悟しな!!」
そして、皆と一緒に男達に襲いかかったのだった。
「この虫けらがあぁぁっ!!」
私は恭子の事を思うと、目の前にいる男達の事が許せなくて怒りでいっぱいだった。
木刀で横っ腹や太ももや背中を、憎しみを込めて殴ってやった。
他の皆もそれぞれ武器を使い、恭子の敵を取る事に必死だった。
恵理奈は得意なチェーンを使って、どんどんムチ打ちしていった。
「女を舐めやがって!! ただで済むと思うな!! 今日はこっちが楽しませてやるよ!!」
恵理奈が皮肉たっぷりで言ったのだった。
そして、弘子も鉄パイプで男達の腹を次々と殴っていた。
「無理やり女をレイプしやがって!! そのツラだもんな! 彼女も出来ねえんじゃねぇのか!? ヘドが出そうなほどゲスなツラしてやがる!」
弘子は男達をけなして言ったのだった。
男達は私達に向かっていきがっていた。
「このクソアマが!! いい気になりやがって!!」
だが、武器を手にしている私達には到底敵わなかった。
「このハンパもんが!! いきがってんじゃねえよ!!」
私は太ももとふくらはぎを狙って、立てなくなるまで木刀を叩き込んでやった。
「お前らみたいなヤツラはゴミくずと一緒なんだよ! 汚ねぇツラしやがって!! よくそのツラで表を歩けるな!」
私は男達をこれでもか! っというくらいにけなしてやった。
「な、何だと?」
男達は私達を何回も殴ろうとするが、足の痛みに耐えられずに膝を着いた。
そこに、追い打ちをかけるように恵理奈がチェーンでムチ打ちしていく。
そして、とうとう男達は観念し倒れ込んだのだった。
「ふん!! いきがってた割にはこれかよ!! 大した事ねぇ男共だな!!」
多可子が笑みを浮かべながら男達を見下ろして言ったのだった。
「ほんと!! 弱いヤツ! か弱い女しか相手に出来ねぇちっぽけなヤツラだな!」
香奈枝も嘲笑を込めて侮辱する。
「お、お前ら何者だ!」
私は一息つきつつ、あらぶって乱れた前髪を掻き上げ――男達を睨み付けながら名乗った。
「あたし達はレイプされた女達のために敵をとってる『処女同盟』だ!! 決して泣き寝入りなんてさせない! あたし達がいる限りな!! 乙女の純情を汚したヤツらは絶対に許さねぇ!!」
私は初めて仲間達以外で『処女同盟』という事を口にした。
「あんたらみたいな男達を、今までもレイプされた女達のために敵を取ってきたんだよ!! 女を物みたいに扱いやがって! それに、あたし達のマブダチをまわしただろ!! あんた達の会社に訴えてもいいんだよ!!」
私は今までレイプされた女性達と、恵理奈、弘子、恭子の事を考えていた。
こういうヤツらは、まだまだいるだろう。
でも、少しでもそういうヤツラを止められたなら、被害に遭う女性が少しでも少なくなる事を願いながら、男達に『処女同盟』と名乗ったのだった。
男達は会社に言わないでくれ! と訴えてきた。
「お前ら、自分が相当かわいいみたいだな! 女をまわしておいて!! あんたらのした事は犯罪なんだよ!! わかって言ってんのかよ!? ほんと頭足りねえんじゃねえの!?」
私は腹が立って仕方なかった。
こんなヤツラのために恭子が傷ついたと思うと、やりきれない気持ちでいっぱいだった。
「土下座して謝れ!! 恭子に謝れ!! 早く謝れよ!! その汚ねえツラをいつまでも見ていられねえんだよ!!」
男達は私達に敵わないと思ったのか、土下座をしたのだった。
「もっと頭下げろ!! 頭を床につけんだよ!!」
弘子が男達の頭を掴んで、床に頭を押し付けたのだった。
そして、男達は……
「申し訳ございませんでした! 許して下さい!」
大きな声で謝ったのだった。
「何度謝っても許される事じゃねぇんだよ!! あたし達はあんたらのツラを一生忘れねぇ! 2度と、あたしらの前に姿を見せんじゃねぇっ!! わかったか! 気持ち悪いツラしやがって!!」
私達はそう言って、部屋を出ようとした。
隠れて見ていた男2人が出て来たのである。
そして、2人共土下座をして謝ってきたのだった。
「本当に申し訳ございませんでした。これからは、心を入れ替えて真面目に生きて行きます」
「ああ、そうしな!! 男だったら男らしく生きてみろ!!」
私はそう言い残し、その場を皆と一緒に離れたのだった。
そして、恭子が待つ弘子の家に帰って行った。




