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ヤンキー『処女同盟』   作者: 一葉 ミサト
14/37

14話

 私達は弘子から高橋 拓実のアパートの場所と部屋の番号を聞いた。

 そして、夕方には帰って来るだろうと思い、夕方に行く事にした。


 それまでは弘子の側にいる事にしたのである。


 夕方になり、アパートの近くで隠れて待っていた。

 すると、しばらくしてから6人組の男達が拓実の部屋に入って行くのを見たのだった。


 私達は目で合図をし、その部屋へ向かった。


 そして部屋をノックをした。


 1人の男がドアをわずかに開けた瞬間、私達は力づくで部屋に土足で押し入ったのだった。

 その瞬間、その男は私達の勢いで倒れ込んだ。


 中にいた男達は何事か? という感じでこっちを見ていた。


「拓実って誰だよ?」


 私はその男達に向かって口を開いたのだった。

 男達は唖然としていた。


「誰かって聞いてんだよ!! このカス共が!!」


 そう言うと、1人の男が小さな声で


「は、はい」


 と、言ったのだった。


「お前が拓実か! あたし達は弘子のマブダチだ!! 弘子にひでぇ事しやがって!!」


 私は拓実の事を睨みつけながら怒鳴ってやった。


「お前らか!! 弘子をまわしたのは!? どうなんだよ!!」


 恭子が睨みながら、男達に木刀を向けたのだった。


「どうなんだよって聞いてんだよ!! 答えな!!」


 恵理奈がチェーンを振り回しながら怒鳴りつけた。


 男達は最初はビックリしている様子だったが、すぐ開き直ったのだった。


「拓実が好きにしていいって言ったから好きにしただけだ! お前らもいい思いさせてあげようか?」


 私は1人の男のその発言にキレた。

 他の皆も一緒だった。


()()()!? ふざけた事言ってんじゃねえよ!! お前ら、思い知らせてやる!! 覚悟しな!!」


 そして、私は皆に手で合図した。


 皆それぞれの武器を使い、男達を殴ってやった。

 恵理奈はチェーンを使ってむち打ちをしていく。


 だが、男達も負けていられないと思ったのか、私達を殴ろうとしてきたのである。

 その男に多可子が鉄パイプで背中を殴った。


 男達は抵抗してきたが、何故か拓実だけは反抗して来なかった。


「弘子の乙女の純情を汚しやがって!! 絶対に許さねぇっ!! 地獄に落ちやがれ!!」


 私達は今までにない怒りでいっぱいだった。

 無我夢中で男達をリンチしたのである。


「女を物みたいに扱いやがって!! 弘子の悲しみが分かるか!? 辛さが分かるか!? 分かんねぇだろうな!! お前らみたいなうじ虫野郎はよ!! 思い知らせてやる!!」


 私は弘子の事を思うと辛かった。

 何を言っても、こいつらには分からないのは分かっていたが、口に出さずにはいられなかったのである。

 段々と弱っていく男達を、今度は腹に足で蹴りを入れ、手で顔を殴った。

  

 そして、男達は皆倒れ込んだのだった。


「女を舐めんじゃねえよ!! クソ野郎が!! 土下座して謝れ!!」


 私は男達を睨みつけながら言ったのだった。


「土下座しろって言ってんだろうが!! あたし達のマブダチが今どういう思いをしているか!! お前らはクズ以下だから分かんねぇだろうよ!! お前らのせいで弘子は心に傷を負ったまま生きて行かなきゃいけねぇんだよ!!」


 男達は重い体を起こして土下座したのだった。


「わ、悪かった。も、もう勘弁して下さい……」


 1人の男が謝ると、他の男達も謝りだしたである。


「2度とその汚ねぇツラを見せんじゃねぇっ!! 消えろ!! クズ共が!!」


 私が怒鳴ると、そそくさと部屋を出て行ったのだった。


 1人取り残された拓実も土下座をしていた。

 そして、口を開いたのである。


「本当に申し訳なかった。俺は、弘子に酷い事を……」


 涙を流していた。


「あんた! あたし達に抵抗しなかったよな!! 何でだよ!」


 恭子が聞いたのだった。


「俺は弘子と出会って、話をするようになって……それで、本気で好きになっていった……」


 拓実が意外な事を言い出したのである。


()()()? 本気マジで好きなった!? 嘘つくんじゃねえよ!! なら何で弘子をあいつらにまわさせたんだよ!!」


 私が聞くと、拓実は話を続けたのだった。


「俺は……あいつらに目をつけられて、虐められてたんだ……。いつもパシリにもされてて……そ、それで、弘子と一緒にいるところを見られて……弘子をレイプさせろって……」


「お前なぁ!! 自分が何したか分かってんのかよ!? 好きってのも嘘だろうが!! 弘子の事、妹みたいだって言ったんじゃねえのかよ!!」


 恵理奈が拓実の髪を鷲掴みしながら言うと


「妹みたいだと言ったのは、俺から離れてくれると思ったからだ……でも、きのう、弘子がいつもの公園にいて……本当の事を言おうと思ったんだ‥…だけど、あいつらに見られて……。それで俺はあいつらの言いなりになってしまった……俺が全部悪い。本当に済まなかった」


「あんたさぁ! 本気で好きなら守るのが男ってもんだろうが!! 好きな女1人守れねぇなんて、そんなの本気って言わねぇんだよ!! 弘子はあんたに本気で惚れてたんだ! いつもいつも嬉しそうにあんたの事を話してたんだよ!」


 多可子が呆れた顔で拓実に言ったのだった。


「俺が責任を取る。弘子はこれから俺が守る。許して貰えないのはわかってる。でも、俺の責任だから……」


 拓実のその言葉に私は尚更呆れた。


「責任を取るだって? ふざけんじゃねぇよ!! 弘子が万が一許したとしても、あんたに弘子を任せられるわけがねぇだろうが!! 簡単に責任なんて言葉使うんじゃねぇよ! まわされた弘子の事をあんたは平気でいられるのか? 弘子は一生心に傷を負ったまま生きて行くしかねぇんだよ!!」


 私は拓実が言った事に腹立たしくて仕方なかった。


「こいつ、本当の馬鹿だな! 呆れてものも言えねぇわ! 弘子の気持ちを何だと思ってやがる!!」


 香奈枝が呆れ果てた様子で言ったのだった。


「弘子と2度と会うな!! お前なんか信じられねぇんだよ!! わかったか!! この人間のクズ野郎が!!」


 そう言って、私達は部屋を出たのだった。

 気付けば空には雨雲がかかり、私達の弘子への思いがいっそう不穏にさせる。


 それから皆で弘子の所に行き、敵を取った事を知らせた。

 弘子は無表情で涙をポロポロ流していた。


 その姿を見て、あまりにも可哀そうで……

 悔して悔しくて……

 私達は皆して泣いたのだった。


 窓の外からは、大雨が降りしきる音が聞こえていた。

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