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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第一章

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006 そんなにハマるのか?

 お昼休み。神崎未来かんざき みらいは、クラスの女子に囲まれてお弁当を食べている。いつもはうるさく絡んでくる幼なじみの矢島萌奈美やじま もなみもあちらに加わっている。神崎未来がすっかりクラスに馴染んでいる姿は微笑ましい。


 俺のスマホに美少女育成アプリの彼女からメッセージが送られてくるのではないかと内心ドキマギしていたが、気の回しすぎか。俺は幸田一馬こうだ かずまと机を並べて母親の作ったお弁当を食べていた。一馬は今日も売店で買ったパンとブラックの缶コーヒー。一馬はパンの端を一口かじって切り出した。


「なあ、大樹。お前、神崎さんと知り合いなのか」


 くっ。こっちはこっちで相変わらず鋭いな。一馬のやつ。どうする、俺?昨晩のことを話すのは少し早い気もするし・・・。


「んなわけないだろ」


 俺は顔を見られないように弁当の具を探るふりをしてうつむいて答える。


「そうか。大樹は小さい時から女難の相が出ているからな」


 イケメンの一馬の顔が笑いで崩れる。崩れても憎めない爽やかフェイス。かなわんなー。幸田一馬を嫌いなやつなんているのだろうか。


「酷いことを言うな。女難の相ってなんだよ。俺みたいな凡才は女子の方から逃げていく」


「俺はそうは思わんが。事実、昔から大樹は美人にモテる」


 一馬は神崎未来と矢島萌奈美の方を一瞬眺める。つられて俺も目を向けるが、二人は昔からの親友みたいにクラスの女子に囲まれながら楽しそうにしている。


「イケメンに言われたくない言葉だなー。いつ俺が美人にモテたよ?」


 美人にモテるくらいなら美少女育成アプリなんて変態すれすれのゲームにハマったりするものか。ますます切り出しにくくなった。


「保育園の志穂先生とか」


「何時の話だ。保育園かよ。あれはモテたとは言わん。幼児なりに可愛がられたと言ってくれ」


「そうかなー。志穂先生、俺にはギュっ、何てしてくれなかったぞ」


「一馬はイケメンのくせして根に持っているのか。笑い話にもならんわ」


「まあなー。羨ましいものは羨ましい。んで、神崎さんとはどうなんだ。彼女、絶対に大樹のことを見て微笑んだよな。椅子からこけるお前の反応もメチャ怪しいし・・・」


 一馬の目がキラリと光る。心を見透かされているようだ。嘘をついたら余計にバレる気がする。てか、一馬もそう思ったのか。だよな。絶対に俺を見て神崎さんの顔が緩んだよな。俺の気のせいじゃないよな。


『神崎未来』名前の一致といい。都合よく空いた隣の席といい、担任の橋本美弥はしもと みや先生の言いつけといい、話が出来すぎている。俺の知らない何かが進行しているとしか思えない。


「彼女に会ったのは今日が初めてだ。ただ・・・。誰にもにも言うなよ」


 俺が声を潜めると一馬の顔が寄ってくる。いくら男同士とは言え、むさ苦しいマッチョ系男子と違い、美少年を思わせる中性的な一馬のドアップにドキリとさせられる。くっ。無駄に睫毛が長いなー。赤ちゃんみたいに肌がツルツルだし。女子が嫉妬するような嫌味な顔してんなー。一馬のやつ。


「ただ・・・なに?」


 事故とはいえ、神崎未来と矢島萌奈美の二人の素顔に急接近したことを思い出して顔が火照る。よりによって一馬の顔で思い出すとは・・・。


「偶然なんだけど・・・」


「ふむふむ」


 ただてさえ近いのにこれ以上迫ってくるな。顔が近い。息がかかるだろ。俺、美人じゃなくて美少年にモテたりして・・・。キモイ。思わず少し顔を引いた。


「スマホアプリのキャラに似てただけだ」


 おい。今の反応は何だ。眉を寄せて思いっきりドン引きしただろ。


「スマホアプリ?って。もったいぶってそれか。大樹。お前、地に落ちたな。バーチャルに走るとは情けない」


 くっそー。一馬め。俺は真剣なんだぞ。お前ぐらいしか相談できる友達がいないんだから。おっ、閃いた。急に意地悪なアイデアが思い浮かんでくる。一馬には悪いが実験してみる価値はある。


「一馬、スマホを出せ。ギャフンと言わせたるから」


「何すんだよ」


「俺と同じアプリを入れる」


 俺は一馬の顔を見据えてニヤリと笑った。


「おい大樹、そんなにハマるのか」


 俺は一馬の差し出したスマホに、俺と同じ美少女育成アプリをダウンロードしてインストールした。一時間もパラメーターをいじくって神崎未来を創り上げたので操作は手慣れたもんだ。俺は一馬の要望通りにキャラを創りこむ。


「すげえな。本物みたいだ。ゲームとは思えないリアルさ」


 イケメン一馬の口をポカンと開けた間抜け顔が面白過ぎる!


「だろ。一馬専用アイドルだ。名前をつけるから決めろ」


 アプリのあまりの出来の良さに少し調子に乗ってしまった。茶色がかったショートヘア。大きな瞳。日に焼けた健康そうな肌。少し子供っぽい笑顔の美少女。一馬のやつ、ロリコン、入ってんじゃんか。


 んっ?誰かに似ている。ってか、幼なじみの矢島萌奈美そっくりだ。俺は一馬のスマホの画面から目を上げて奴を睨みつける。


「一馬、お前・・・」


 俺は慌ててパラメーターをスライドして別の顔に作り替える。


「それはマズいだろ。一馬」


「だよな。リアルすぎるもんな」


 アイドル顔のイケメン一馬の残念そうな顔を始めてみた。こいつもこんな顔をすることがあるんだ。ってか、一馬のやつ・・・。照れ臭そうに一馬が告げた。


「俺さー。大樹の幼なじみ、萌奈美のことがずっと好きなんだ」


 このタイミングでカミングアウトするのかよ。俺の心臓がバクバクと鳴り出した。

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