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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第四章

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055 大樹の部屋の窓を見つめて

 矢島萌奈美やじま もなみは自分の部屋で、向かいにある常田大樹ときだ だいきの部屋の窓を見つめて物思いにふけっていた。


 今頃、黒木くろきアイちゃんが『クマキチ』くんこと富山修とみやま しゅうくんに告白をし終えている頃だろう。


 私がいたら、きっとまた余計なことを言ってしまう。みんなに一緒にいて欲しいと頼まれたけど断った。大樹はあ然としていたけど、一馬は優しく理解してくれた。


 大樹のやつ。私だって成長してんだかんな。大人になるってのは選択を迫られるってことだ。大樹は、見たまんまいじけキャラの小心者でほっとけなかったけど、まあ、しっかり者の神崎未来かんざき みらいちゃんがついていれば大丈夫だろう。


 それにしても、あのヘタレ大樹が未来ちゃんと結婚するとは・・・。驚かされるが、それが運命の糸だったのかもしれない。


 私の運命の赤い糸は幸田一馬こうだ かずまとつながっている。二人でいるようになって半年が経ち、私は一馬を全然理解していなかったことに気付いた。


 女子が嫉妬するような美少年の一馬は、スポーツ万能、神童と呼ばれる頭脳の持ち主で、眩しいぐらい爽やかで嫌味のない頼られ男子だ。彼女である私が言うのもなんだが、これ以上ないと言うくらいの優良物件だ。


 でも、そんなのは表向きでしかない。一馬は人一倍周りに気を使い、勉強だってスポーツだって、これでもかと言うくらい努力を惜しまない。ストイックなまでの頑張りが幸田一馬と言う人間を形作っている。天性だなんて決めつけていたのは私の間違いだ。


「俺、本当は不器用だから努力しないとな。イケメンは、ほんと周りに期待されるから疲れるわ」


 クラスの誰一人も聞いたことがない、一馬の本音を私は知った。


「美少女なのに自由気ままに、生きられる萌奈美ちゃんはすごいわ。尊敬するし、見ていて癒される」


 思わず蹴りを見舞ったがあっさりと避けられる。「ワリイ」と笑って逃げる一馬を追いかける。たわいない日常。そんな一馬に、私は「あっ、この人が好きなんだ」って思い知らされた。癒されるのは一馬じゃなくて萌奈美の方だ。


 でも、初めて行った一馬の部屋にはちょっと引いたけど。だってね。化粧水だとか、リップクリームとかは、まあ、今どき男子の身だしなみグッズとして理解できる。だけど、美顔器とか脱毛器とか普通に揃っているんだもん。女子顔負けだ。


 一馬に教わって、萌奈美はメイクもファッション選びも上達したけど・・・。今では一馬の化粧品とエステ器具の半分は私のものとなっている。えへへ。影響し合えるって凄いだろ。萌奈美は一馬と共にハイセンスガールを目指すのだ。


 一馬は高校を出たらカリスマ美容師を目指すらしい。高校生でも、ちゃんと自分の未来を見据えている。先のことなんて、これっぽっちも考えてもいなかった私には衝撃的だった。一馬なら人当たりもいいし、センスもある。人気が出るだろう。


 それに比べて私ときたことが。大樹を振り向かせたくて過ごした人生。今、思えば子供じみている。


「ふー、常田大樹。大樹は未来ちゃんと結婚して、これから何をつかみ取るんだ」


 未来ちゃんの家に引っ越して、明かりのともることのなくなった大樹の部屋の窓を見つめる。


 AIアプリから生まれ、捨てられ、人類の半分を滅ぼした黒木アイちゃんは、人間になってやり直そうとしている。どうなったかな。


 みんな必死に未来を掴もうとしているんだ。


 私は机の中から大昔に大樹にもらったラブレターを引っ張り出した。近所のスーパーで買ったのだろう。何処にでもある封筒は時間を経て日焼けしている。もう何度も取り出したから中身の便せんは破れかけている。


 ほんと汚い字だ。幼い大樹のピュアな思いがストレートに綴られている。泣き虫で私がいなければ何一つできなかった大樹。運動会で私に一度も勝ったことのない大樹。懐かしい思い出だ。


 私は封筒の中に便せんを戻し、指をかけて二重三重に破り捨てる。その時、私のスマホが鳴った。


「萌奈美ちゃん!大変だ。バーチャルの黒木アイが動き出した」


 私は慌ててスマホをテレビモードに切り替えた。


「嘘でしょ。私たちの未来が消える」


 私は慌てて家を飛び出した。

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