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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第一章

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005 幸田一馬というイケメン

 いきなり対極的な二人の美少女と接点を持ってしまった俺。クラスの男子の態度が冷たい。まあ、当然と言えば同然の流れ。イケメン男子ならいざ知らず、俺みたいなごく普通の男子が特別扱いになったら、立場が立場なら俺だって納得がいかない。


 小学校の高学年から中学の三年間、高一とクラスが変わるたびに幼なじみの萌奈美と一緒になる。自分が注目される美少女であることの自覚が薄い萌奈美。場をわきまえない彼女の残念な行動のせいで俺の新しいクラスでの第一印象は何時も嫉妬で始まる。


 今年はそれに加えて、より強力な神崎未来。完璧すぎる女神の美貌を備えた女子まで加わってしまった。スマホの中のAIとバーチャルな恋にいそしんでいるならまだしも、現実となったらそうはいかない。なんでこんなことになってしまったのだろうか。


 男子と女子が別々になる体育の時間。バスケットボールの試合の最中に俺は考え事をしていた。バスケにしてはかなり多めの九人チームなのだが、俺の所にボールは飛んでこない。明らかに無視されている。


 またかよー。ほんと心が折れる。


 萌奈美だけなら、自由すぎる残念な性格が男子の中に広まって二月もすれば誤解がとける。我慢するのも慣れた。しかし、神崎未来。先がまるで読めない。


 見た目は元気印の萌奈美と違っておしとやかな清楚系女子。ゲームのアプリの中では超絶真面目女子の女神様。美少女育成アプリだというのに、どんな言葉を打ち込んでも『高校生の本分は勉強です』とか『女子に気軽に声を掛けるような男子は軽薄です』とか言ってまるで取りつく島も無し。


 優しい言葉の一つもなく、華やいだイベントももちろんない。夜が明ける頃にはバーチャルな図書館で勉強を教える始末。あれは、図書館デートの設定だったのだろうか?アプリはともかく現実として存在する神崎未来、容姿も声も俺が創ったAIアプリのキャラとそっくりだけど、性格は違っているような。真面目な感じはするが、ツンツン感がまるでない。


「はい、未来!パス」


 女子のコートで萌奈美が弾けまくっている。高二にしてはチビだけど、萌奈美の運動能力は国体レベル。残念な性格を除けば本当に高スペックだ。って、神崎未来の動き、萌奈美に負けてない。ちょこまかとすばしっこく動く萌奈美に対して、武術家のような無駄のない動きで答えている。


 ズバッ!


 萌奈美からパスを受けたボールが神崎未来の手を離れて、ゴールネットを揺らす。二人が属すチームともう一方では試合がまるで成立していない。点差がみるみる広がっている。プロと子供の試合を観戦しているかのようだ。


 ガチン!


 目の前に星が舞う。


「悪い、大樹。ボーッとすんなよ。こっちも試合中だぞ」


 俺の頭を直撃して転がるボールをサッと拾い上げて、強烈なドリブルをかましながら敵陣のゴールネットに迫るのは幸田一馬こうだ かずま。中学の時からの数少ない俺の友達だ。一馬は俺と違ってイケメンな上、勉強もスポーツもそつなくこなす。こいつが本気を出したら県立山瀬南高校なんて足下にも及ばない進学校にだって楽勝で合格できたはずだ。


 なのにやつは家が近いからと言う理由だけで、俺と同じ県立山瀬南高校に入学した。欲がないと言うか、さばけている。美男子にありがちな嫌味な性格もない。眩しいぐらい爽やかな性格で男子にも女子にも頼られる好青年だ。何処にでもいるような俺なんかとも分け隔てなく接してくれる稀有な存在だ。


「ごめん、一馬」


 俺は結論の出ない考えを巡らせるのを止めて、ゲームに集中することにした。いつだって一馬は正しい。そうだ。いざとなったら一馬に相談しよう。神崎未来が何者だろうと一馬なら何とかしてくれるだろう。女子の声援を受ける一馬の後姿。その頼もしさは男子だって見惚れる。


「すごい!未来。バスケ部はいんなよ。今年はインターハイが狙える」


 隣の女子のコートから神崎未来を絶賛する萌奈美の大声が響いている。萌奈美はチビだが、三年生を差し置いて女子バスケ部のエースだ。彼女が認めたのなら、リアル世界の神崎未来の運動能力は優れているのだろう。女神レベルの美貌と類まれな運動能力。いずれにしても俺なんかとはつり合わない。


 ゲームの世界ならいざ知れず、現実ならしかたない。心穏やかに分相応の暮らしをおくる。堅実に生きることがもっとうな俺にできることは、新しいクラスメイトに嫌われないように、今、目の前のゲームに集中することだ。俺はコートの上でボールを追って走った。

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