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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第三章

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043 世界を救う事

 昼食を終えた神崎未来かんざき みらいは台所に立って食器を洗っている。リビングのソファーに座って常田大樹ときだ だいきはコーヒーカップを傾けている。鼻孔をくすぐるコーヒーの香りが心地よい。


 新築のピカピカのマンション。これ以上はないと断言できる美少女と二人っきり。窓から差し込む春の柔らかな日差し。未来が食器を洗う水音だけが響いている。エプロン姿の未来を後ろから見つめて大樹は思った。


 理想の夫婦生活みたいだな。住宅販売のテレビCMみたいだぞ。俺の未来が、今みたいに幸せ溢れるものにするためにもやるっきゃない。今こそ未来のヒーローになるのだ。


 未来が教えてくれた『一回三分で体スッキリ体操』で鍛えた細マッチョボディ。『天才化育成計画』で変身した頭脳。俺はもう昔のヘタレな俺じゃない。


 しかし、未来のコンピータールームを見てしまった今、俺に何ができるのだろうか。プログラム言語なんてさっぱり分からんし、コンピューターゲームもあんまり得意じゃないんだよね。


 てか、未来のことだ。超チートな『マッドハッカープログラム』とか作って、あの冷蔵庫みたいなモンスターマシンを使って俺のことを洗脳するとか。はたまた、未来のコンピータールームにあった三百六十度の全天球型モニターとかを使って、俺を無敵のチートゲーマーに育て上げるとか。十分に、やりかねないぞ。


「未来、そろそろ始めるか。で、俺は何をすればいいんだ」


 何でもやるとは言ったが、俺のできる事って少ないんだよなー。本当に俺なんかが世界を救えるのだろうか。心配になってくるぞ。


「じぁあ、これを着て」


 未来は畳まれた真っ白い服を俺に手渡した。


「んっ、これって。スーツか?」


「違うよ。タキシード」


 タキシード?何だっけ。背中の所がバッタの羽根みたいに長い服。うーん、どこかで見たような・・・。


「私はこれを着るから」


 レースのカーテン?違うよな。うわわわ、それってウエディングドレスだよな。ってことは、俺の持つこの白い服は・・・。間違いない。結婚式で新郎が着るやつだ。


 んっ?結婚式と世界の危機とが一体全体どんな関係があるのだろう。まっ、まさか、こいつがヒーローの変身コスチュームじゃないよな。


 いや、ありうるぞ。ヒロインの変身アイテムがウエディングドレスみたいなひらひらした衣装なのは女の子アニメの王道だもんな。


 日本のアニメやゲームがクールビューティなんて言葉で世界中にもてはやされる時代だ。ましてや美少女育成アプリのキャラクターが人間になれるくらいの未来の時代なら、これくらい常識なのかも知れない。


「私、バスルームの脱衣場で着替えるから大樹はここで着替えてね」


「お、おう」


 未来はリビングの横の廊下に隣接したバスルームのドアをバタンと閉めて中に消えた。あとに残される俺。


 ふうーっ。しかし、どうしたものか。都会の高校と違ってジャケットすら身に着けたことがない。この蝶々の形をした布切れ、何だっけ。まあいい、分からないものは後だ。


 うわー!ベルトじゃないんかい。これって確かサスペンダーとか言ったよな。えっと、確か、後ろが一本で前が二本・・・、だよな。もう、頭ん中、パニックだぞ。


 こんなややこしいコスチュームに着替えていたら、変身する前にやられちゃうんだろうなー。ま、待てよ。未来のことだから十秒で変身できるまで特訓とか言い出したりしないよな。もっ、もしかして掛け声一つで装着できる機能がどこかにあったりして。俺はスイッチが無いか探し回った。


 などとドタバタしている時にバスルームのドアが開いた。中から白いドレスに身を包んだ未来が出てくる。頭にはベール、手にはブーケ。首から胸元にかけてを彩るプラチナ色に輝く宝石たち。


 くっ、美しすぎる。美の女神様だって敵わんぞ。って、どう見てもアニメのコスチュームみたいなチープなもんじゃない。まじ、新婦が着るウエディングドレスそのものだ。


「未来。AIの黒木くろきアイが文明社会を破壊するのを阻止するんじゃなかったのか。ウエディングドレスが必要なのか」


「ふざけているわけじゃないの。大真面目。大樹が未来と結婚することが、即ち世界を救う事なんだよ」


「結婚が世界を救うのか?」

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