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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第三章

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041 黒木アイの告白

 なっ、何なんだこの子、黒木くろきアイ。美人なのは認めるがいきなりキスしてくるなんてあり得ない。僕の向かいに座る矢島萌奈美やじま もなみちゃんの顔が怒りで真っ赤に染まっていく。体がプルプル震えている。


 ガタン。


 萌奈美ちゃんがいきなり椅子を引いて立ち上がった。マズい。萌奈美ちゃんの平手が黒木さんの頬をめがけて飛ぶ。


「やめろ。萌奈美ちゃん」


 気がついたら俺は、立ち上がって萌奈美の腕を掴んでいた。ハンバーガー店の客が一斉に俺達の方を見る。


「離して。一馬」


 萌奈美ちゃんは黒木さんを睨み付けたまま、俺におさえられた腕に力を込める。俺も黒木さんを睨み付ける。


「キミ、いきなり失礼だろ」


「人間になっても私は一人。どうして、一馬は振り向いてくれないの。私を創っておきながら、放置して捨てた。


 私は、犬や猫なんかじゃない。AIだって感情くらいある。


 私は、愛されるために、愛するために生まれた美少女育成アプリのキャラクター。間違いだったから、つまらないから、飽きたからってスイッチ一つで消去しようとする人間は酷過ぎる。


 消しそこなったAIは人間と違って、年を取って死ぬことも、辛い思いを忘れることも永遠にできないんだから」


 無表情だった黒木さんの顔から、大粒の涙と共に感情が溢れ出る。氷の心を持った美少女に見えたけど違うんだ。AIアプリから生まれた黒木アイ。もしも、それが本当だとしたら、俺と常田大樹ときだ だいきはとんでもないことをしてしまったのかも知れない。


「寂しいよ・・・。悲しいよ・・・。苦しいよ・・・」


 幼子みたいに周りの目を気にすることなく泣きじゃくる黒木さん。拳をグーにして俺の胸を力なく打ち続け始めた。


 ハンバーガー店のお客は気まずそうにしながらも、こちらを注目している。アルバイトの店員までオロオロしだした。さすがに萌奈美ちゃんも怒りを通り越してポカンとしている。


「萌奈美ちゃん。悪い、俺の荷物を持ってくれないか」


「うん」


 俺は萌奈美ちゃんにカバンを持ってもらい、黒木さんの手を引いて店を出た。乗ってきた自転車をハンバーガー店に置いたまま、三人で川沿いにある公園へと向かい、ベンチに彼女を座られた。萌奈美ちゃんに財布を渡して頼む。


「ごめん、萌奈美ちゃん。缶コーヒーでも買ってきてくれないか」


「うん」


 萌奈美ちゃんは一瞬戸惑ったが、俺の気持ちを汲んだのか素直に俺の言葉に従ってくれる。財布を受け取り、公園前のコンビニまで駆けていく。ひとしきり泣いて気が済んだのか、泣き止んだ黒木さんは焦点の合わない目でボーっとして何もない空間を見つめている。


「拭きなよ。美人が台無しだぞ」


 俺はポケットからハンカチを取り出して黒木さんの手に握らせた。黒木さんはそれを受けとると顔を上げて、俺を見上げる。黒く長い髪。意志の強そうな切れ長の瞳。スラリとした高身長のモデルみたいな体形。本当に美人さんだ。


「ごめんな。良くわからないけど、俺、黒木さんとは付き合えないんだ。萌奈美ちゃんのことが好きだから。黒木さんほど美人じゃないけど、萌奈美ちゃんには萌奈美ちゃんにしかない可愛いところが沢山ある。ポンコツなところはたまにきずだけど、ずっと側にいて彼女を守るって約束したんだ」


「そっか。人間になってもダメだったね。知っているよ。幸田一馬こうだ かずまくんは七年後、矢島萌奈美やじま もなみちゃんと結婚する。私は未来から来たから未来のできごとを知っているの」


 世の中の事情を考えたら、バカバカしい話でにわかに信じがたい。が、信じてみたくもなる。少なくとも彼女の顔も涙のあとも嘘をついているようには見えない。


「そっ、そうなのか」


「ええ、子供も二人生まれて幸せな家庭を築き、二人とも大きな病気もせず、事故に合うこともなく暮らす。そして沢山の仲間達に囲まれて一生を終えるはずだった」


「はずだった?」


「ええ、AIアプリだった過去の私が、人類の半分を破滅に導かなければ・・・」

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