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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第三章

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040 幸田一馬と黒木アイ

幸田一馬こうだ かずまくん。どうして私に会いに来てくれないの?放置するなんて酷いよ。私、寂しいよ』


 何だ?大樹が入れた美少女育がアプリのチャット画面が勝手に立ち上がって、文字が打ち込まれてくる。俺と矢島萌奈美やじま もなみは顔をくっつけ合ってスマホの画面を覗き込む。この顔、転校生の黒木くろきアイだよな。


 そんなはずはないけど、アプリをインストールする時に・・・。俺が「神崎未来かんざき みらいと知り合いなのか」と尋ねた時、大樹のやつ「スマホアプリのキャラに似てただけだ」って言ってたよな。大樹がバーチャルに走ったことが情けなくて、あまり気にしていなかったが確かにそう言った。


「あのね、一馬・・・。私、見ちゃったんだよ。夜更けに大樹の部屋から女の子の声が聞こえてくるから変だなーって思って覗いたら、大樹、昔のアルバムを見ながらスマホとお話してたんだ」


「それで」


「スマホの画面の中にCGで作られた未来ちゃんがいたの。ショックだった。スマホゲームで未来ちゃんを作ってまで、大樹が彼女のことを好きだったなんて。私が声を掛けたら、大樹は慌ててスマホの電源を落としたけど見間違いじゃない。あれは神崎未来ちゃんだった」


「萌奈美はそれで大樹を諦めたのか?」


「分らない。だけど心の中の私が未来ちゃんには勝てないって呟いたの。女の第六感ってやつ。それで、つい自分にムカついて、大樹とケンカになって・・・」


「ケンカになって」


「大樹をぶん殴って自分の部屋に帰った。そしたら、軟弱な大樹は風邪を引いて翌日から学校を休むんだもん」


 ぶっ、ぶん殴ったのか。萌奈美ちゃんらしいと言えば、そうだけど。それで大樹のやつ学校を休んだのか。萌奈美ちゃんが俺のことを受け入れてくれた時にそんなことがあったんだ。萌奈美ちゃんは萌奈美ちゃんで悩んでいたんだな・・・。


「でもね。変だと思わない。大樹が未来ちゃんに惚れるのは分かるけど。美人で頭がよくてスポーツ万能のスーパー美少女の未来ちゃんが何で大樹なんかとくっつくのよ」


「だな。未来ちゃん、転校して来た時から大樹のことを気にしてたよな。あれは気のせいなんかじゃない」


「一馬もそう思った。私、席が大樹の後ろじゃん。転校して来た未来ちゃんは、挨拶の時に大樹を見つめて懐かしそうにほほ笑んだんだよ。あれは知らない者同士の目じゃなかった。好き合っていたものが無理やり引き離されて、ようやく出会ったようなそんな目だった」


「絶対に何かあるな」


 ピロ、リロ、リン。


 そうつぶやいた時だった。俺のスマホが再びなった。二人で慌ててスマホの画面を覗き込む。


『神崎未来は私と同じAI美少女育成アプリから生まれたのよ。彼女は、この先ずっと常田大樹の愛情を受けて育った。そして、この時代に人間となって戻ってきた。なのに私は、三百年以上も忘れられ、放置されて育った。同じAIアプリのキャラクターなのに。私だけ、何で一人で生きなければいけなかったのよ』


 画面の中の黒木アイの顔から一筋の涙がこぼれる。何だよこれ。そんなバカなことがあるか。AIアプリのキャラクターが人間になって現れるなんてあり得ない。いくら何でもバカげている。信じられっかよ。萌奈美も俺も口をポカンと開けてフリーズするしかなかった。


「あら、私を捨てた幸田一馬くん。やっと会えたわね」


 声のする方に顔を向けると、そこに私服姿の黒木アイが立っていた。CGでも幻でもない生身の人間の姿で・・・。


「キミ、本当にこの画面の子なのか?」


 俺は自分のスマホの画面を彼女に向ける。


「ええ。人間だったら私を愛してくれる、幸田一馬くん」


 彼女の両手がスッと伸びてきて、屈みこみながら椅子に座る俺の頭をとらえる。小首を傾げて見つめてきた。人間離れした美しい顔に心を無理やり奪われる。動けない。彼女の顔が近付き互いの唇がそっと触れ合った。


「ちょっと、黒木さん!」


 萌奈美の声で俺は我に返った。手で口を覆って椅子を横に引いて黒木アイから逃れる。萌奈美、ごめん。ファーストキスを奪われた。

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