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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第三章

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038 サービスで

 ピンポーン!


 玄関から鳴り響く呼び鈴の音にドキリとする。神崎未来かんざき みらいが俺の腕の中にあるわけで、人生初の体験で、茹でだこみたいに俺と彼女の顔は真っ赤だ。


「誰か来たみたいだぞ」


 インターフォンから声が聞こえてくる。


『まいど、無敵堂です。ご注文の品を届けに上がりました』


 くっ。怪しいPCショップの主人か。驚かせやがって・・・。未来がマンションのエントランスのカギを開ける。痩せてガリガリの主は、どこにそんな力があるかと思うような巨大な荷物を軽々と運んで玄関から登場した。やっぱ、こいつ人類ちゃうんじゃないか?


「未来。冷蔵庫も買ったのか?」


「あんさん。何を言っとるかな。これがコンピューターのケースですよ。モンスターマシーンを冷却するにはこれくらいのサイズがないと。子供のゲーム機なんかとは桁違いなんですから」


 荷ほどきされて現れたステンレス製の巨大な箱に度肝をぬかされる。正直、こんなの初めて見た。学校のクラスメイトが自慢げに話す改造PCをちょっと大きくしたくらいかと思ったぞ。総額四千万は伊達じゃないか。


「ほな、お嬢ちゃん。何処に設置したら良いんだ」


「コンピュータールームがあるのでそちらに。運んでいただけれは組み立てはこちらでおこないます。あまり時間がないもので・・・ー」


 こっ、コンピュータールームがあるのか・・・!ほんま、すげえな。未来の家はレベルが違う。


「バカ言っちゃいかん。このクラスになると素人に組み立てできるようなしろものじゃない。俺がやっても配線の引き回しから初期設定まで丸二日かかる」


 PCショップの主人は呆れている。そりゃーまあ、俺だって未来が未来から来た天才少女だと知らなければそう思うわ。


「大丈夫です。コンピューターの知識はありますので。運んでいただくだけで結構です」


 未来は店の主人を睨みつける。美人の怒った顔って迫力あるわ。痩せ男の体が一瞬ブルっと震えた。未来はPCショップの主人を案内して、リビングに隣接した部屋へと続くドアを開けた。


「うほっ!」


 店の主人は素っ頓狂な声を上げる。十二畳くらいの広々とした部屋には、三百六十度の全天球型モニターを筆頭に巨大なモニターが幾つも設置されている。更にフルタワーサイズのPCケースが、ワイヤーラックにビッシリと積まれていた。後ろには何百ものケーブルが這いまわっている姿は、とても女の子の一人暮らしの家には似つかわしくない。SF映画さながらのサイバー空間だろ、これ。


「お嬢ちゃん・・・。凄いもん持っとるなー。この天球型モニターは米軍のイーグルアイだぞ。こんなの初めて見た。わう!こっちは・・・」


 PCショップの主人は目の色を変えて、置かれた設備を見て回っては驚嘆の声を上げている。何だか良くわからないが宇宙船の中にいるようなその光景が普通ではないことくらいは理解できる。


「触らないでください。そこに置いて下されば結構です。後は自分でできます」


 店の主は、未来に再び睨み付けられて体を小さくして唸った。だよなー。俺だってちょっとビビるもんな。未来は店の主人を追い立てるように部屋から出した。


「では、こちらが残金の二千万円です」


 ぐぐっ。再びの札束、いや、札タワーが登場。何度見てもすごい。これが全部一万円札なのか。大金過ぎて子供銀行のオモチャか、百円ショップに売っているメモ用紙の束にしか見えないぞ。


「お嬢ちゃん。サービスでこれ」


 店の主人は家計簿ソフトのパッケージを差し出した。んがー。モンスターマシンで家計簿!未来の冗談を真に受けたわけじゃないよね。ようわからんおっちゃんやな。ほんま宇宙人的発想だ。


 店の主を追い返して、俺と未来はリビングのソファーに深く腰を下ろした。手伝いを申し出ようにも、あの部屋と冷蔵庫みたいなコンピューターを見てからでは恐ろしくて何も言えない。下手にさわったら確実に壊してしまいそうだ。


「未来、俺、とても手伝えそうにもないから昼飯でも作ろうか。もう二時だぞ」


「ありがとう。大樹の手料理、楽しみだ。私、セッティングしているね」


「お、おう。キッチンを借りるわ」


 こうして俺は、未来の家で遅い昼食を作ることとなった。近所のスーパーに買い物に出かけて、麺を茹でる。ネギを刻み、スープをお湯でとく。俺は、母親が出かけた時にたまに作る魚介とんこつつけ麺をこさえた。


 魚介粉末の香りが食欲をそそる。煮卵とチャーシュー、メンマはスーパーのでき合いだから、俺がしたこと言えば麺を湯がいて盛り付けただけだけどね。


 それでも美味しそうに食べている未来の姿に、俺の心はホンワリと和んだ。小さい口だなー、かわいい。


「大樹、あんまり見つめないでね。恥ずかしくて食べられない」


「ご、ごめん」


「大樹の手作り、美味しい。私、幸せだな」


「そっ、そうか」


 くうー。幸せかー。俺も幸せだ。幸せ過ぎて胸がいっぱいだぞ。これ以上、ラブラブムードが高まったらつけ麺じゃないものをパクリとしてしまうだろが。落ち着け、常田大樹ときだ だいき。男は紳士であるべきとイケメン幸田一馬こうだ かずまに教わっただろ。心を静める為に話題を変えるんだ。


「ところでコンピューターの設定の方は少しは進んだのか」


「はい。終わったよ」


 まだ一時間しかたっていないけど・・・。店の主人が丸二日はかかるって言ってなかったっけ。マジかよ、未来。天才過ぎるぞ!


「なでなで」


 そう言って未来は俺に向かって頭を寄せてきた。

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