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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第二章

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025 耳かきをしてあげる

「ふー。美味かった」


 俺はリアル神崎未来かんざき みらいが作ってくれた肉じゃがを食べ終えた。お腹が膨れて幸せに満たされている。ふと、未来の顔を見ると何やら不満そうな表情・・・。あれっ?俺、粗相でもしたか?


「どうした未来?」


「私、頑張ったんだよ。AIアプリだったから食べ物の味とか分からなかったから、大樹の為に、毎日、色々な料理を作って勉強した」


「おう。凄くおいしかった」


 俺は心をこめてお礼を告げる。未来は小さな口を尖らせて拗ねたままだ。すましている時の凛とした姿は女神様のように神々しくて近寄りがたいが、こうして拗ねた顔は同世代の美少女らしてく可愛らしい。


「大樹。何か忘れていない!」


「何かって?」


「んっ」


 リアルの神崎未来は俺に向かって子供みたいに頭を突き出した。サラサラの長い黒髪がテーブルの上に落ちて、シャンプーの香りが広がる。真っ白なつむじが見える。小さな頭だなー、って感心する。


「なでなで」


「えっ」


「なでなで」


 いつもはシュっとした美人が、甘えた声で『なでなで』を要求してきた。そういや、スマホの美少女育成アプリにそんなコマンドがあったっけ。褒める時は『なでなで』してあげるとハートマークのポイントが溜まって、デレ度がアップするんだったよな。


 しかし、アプリの中ならともかく、リアルな世界で現実に差し出された美少女の頭を直になでるのは想像以上に気恥ずかしい。普通は流石にしないもんな。どんな奴がこんなゲームをつくったのだろう。ラブコメの読みすぎだろ、絶対に!


 俺が戸惑っていると、未来は更にグッと頭を差し出してくる。シャンプーの香りとは別な、女の子っぽいミルクみたいな甘い香りが鼻をくすぐる。


「なでなで」


「おっ、おう」


 これって、マジ、勇気がいるんだけど。そういや、幼なじみの矢島萌奈美やじま もなみの頭だって撫でた記憶がない。初のなでなで体験だ。恐るおそる右手を差し出して彼女の頭に触れる。


 うおっ。女の子の頭って温かいんだな。それに髪の毛がスベスベでちょっとエロい。ゆっくりと撫でてあげると、未来は猫みたいに目を細めた。


 やっぱ、バーチャルの世界では当たり前でも、リアルとなるとこっぱずかしいイベントだな。止めるタイミングがつかめない。


「ふにゃー」


 未来の美少女顔がふやけ出した。くっ、可愛すぎるだろ!完全にデレモードだろが。いったい、リアル神崎未来の中でハートマークのポイントは幾つ溜まったんだ?スマホアプリならレベルゲージで確認できるのに・・・。


「はい。ありがとう。未来も美味しく食べてくれた大樹にお礼をしないとだね」


 未来はダイニングテーブルの椅子から立ち上がってリビングのソファーへと移動した。ハートポイントが溜まるとイベントがあるんだっけ。どんなイベントだったか思い出せない。


「大樹、来て。耳かきをしてあげる」


 未来はそう言うと膝の上をポンポンと叩いた。ぐほっ。思い出した、膝枕で耳掃除・・・。男子、憧れの夢のイベント。未来の膝が眩し過ぎる。もはや抗うことなんて出来っこない。俺は甘い蜜に吸い寄せられるミツバチのようにフワフワと未来のもとまで行った。


 ソファーに横になり、未来の膝の上に頭を乗せる。張りがあるのに柔らかい未来の太ももが俺の頭をピタって捉える。それだけでも天国にいるような気分になってくる。


 午後の日差しが窓から差し込み、彼女の姿がシルエットのように浮かび上がっている。金色に輝く産毛、下からだと余計に長く見えるまつ毛。真ん丸に見開かれた瞳が、ド真っ直ぐに俺を覗き込んでくる。近い!


 いつの間にか、未来の手に綿棒が握られている。白くて細い指してんなー。男のゴツゴツしてんのとは全然違うわ。


「じゃ、始めるね」


 俺は未来に言われるまま、顔を横に向ける。耳の中に柔らかな綿棒が差し込まれる感覚。こそばゆいけど気持ちいい。ヤバイ!お腹が膨れたこともあり、意識が飛んでしまいそうだ。人生ではじめての『初体験』。五感をフル動員した夢心地の感覚に、俺の心はあっけなく溶けだした。

はい今回も、甘めの展開でした。

いったい、この美少女育成アプリはどんな物なんだろう。

次回をお楽しみに!

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