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スマホアプリで俺が創った女神様そっくりの美少女が転校してきた。  作者: 坂井ひいろ
第一章

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012 萌奈美と一馬

 矢島萌奈美やじま もなみのパンチを食らった日の翌日から三日間、俺は風邪をこじらせて学校を休んだ。窓を閉めずに萌奈美が帰るものだから、一晩中、春の夜風にさらされてしまった。


 本当は、熱が上がって動けないくらい辛かったのは最初の一日だけだ。残りの二日はズル休み。萌奈美の本当の気持ちを知った今、彼女に会うのが怖かった。


 何で今更なんだよ。萌奈美と俺じゃあつり合わないんだよ。周りが認めてくれない関係は、不幸にしかならない。俺のせいで萌奈美が不幸になるなんて、まっぴらごめんだ。嫌ってくれた方が余程いい。


 休んでいる間、俺はAIアプリの神崎未来かんざき みらいと過ごした。電源を切ったつもりでいたが、彼女は俺と萌奈美の会話を全て聞いていた。全部知った上でその事には一切触れずに、俺を励ますこともなく、普通に接してくれた。


 機械に優しさを感じてしまう俺ってどうかと思うが、この三日でAI育成アプリの中の美少女、神崎未来は急成長を遂げた。そして、春の日差しを分厚いカーテンで遮って過ごす俺は、母親から生ゴミを見るような目で見られることとなった。


「大樹。バカだけなら救いようがあるけど、キモオタに落ちたね。カオスの向こう側に行ってしまったら帰ってこれんぞ」


 四日目の朝、布団に潜り込んだまま一日中スマホをいじって部屋にこもったまま起きてこない俺に母親がブチ切れた。今日は金曜日なので、後一日休めば、月曜日まで萌奈美と顔を合わせずに済むんだけど・・・。


 布団を剥ぎ取られ、シーツも布団カバーも洗濯機に放り込まれてしまった。このまま不登校になって引きこもりにでもなってしまうのではないかという母親の心配もわからなくはない。


 俺は、渋々、制服を着て学校に向かった。学校へと続く道すがら幸田一馬こうだ かずまと出くわす。


「よう、大樹!カゼはもういいのか?」


 一馬は青空のような爽やかな笑顔を差し向けてくる。


「ああ。もうすっかり良くなった」


「そうか。なら良かった。大樹。お前、萌奈美と何かあったか」


 ちっ。一馬のやつ。ほんとうに鋭いな。今はそっとして置いて欲しいのだが・・・。


「ちょっとばっかケンカした。何時もの事だ」


「・・・。そうか・・・」


 何時も爽やか笑顔のイケメン、一馬にしては珍しく険しい顔をしている。休んでいる間に、何か重大事件でも起きたのか?


「萌奈美に何かあったのか?」


「いやっ。何かってほどじゃないが・・・」


「一馬らしくないな。ハッキリ、言えよ」


「俺なー。萌奈美と付き合うことになった」


「えっ・・・」


 ガツンとハンマーで後頭部を殴られたような衝撃が俺を襲う。言葉が出ない。


「もう、随分前から、萌奈美に交際を申し込んでたんだ。でも、返事を待ってくれって言われ続けて・・・」


 そうか。そんなことになっていたのか・・・。一馬と萌奈美ならお似合いだ。神様だって祝福する美男美女、その上、お互い神童と呼ばれるくらいの才能あふれる二人だ。誰だって納得する。


「良かったじゃないか」


「良くない。大樹がいないところでコソコソと動いたみたいで納得いかん」


「お似合いだと思うぞ。才能あふれる美男美女同士だもんな」


「茶化すな。俺は真剣なんだ。例えケンカの腹いせで萌奈美が俺との交際を受けたとしても、大樹には返すつもりは無いからな」


「返すも何も、萌奈美は俺のもんじゃないし・・・」


「なら、大樹にはやらん。俺がこの手で萌奈美を幸せにする」


 一馬の真剣な言葉に驚かされる。一馬なら、言葉通りに萌奈美を幸せにするだろう。こいつはブレたりしない。それが分っていてもモヤモヤするのは何でだろう。


「一馬、一つ聞いていいか」


「ああ」


「萌奈美の為に山瀬南高校を選んだのか。一馬ならもっと上の高校を狙えただろ」


「・・・」


「答えてくれ」


「そうだ」


「そっか。一馬、お前、バカだな」


「バカで十分だ」


 俺の中のモヤモヤが消えていく。一馬らしいストレートな答えだ。一発、思いっきり殴ってやりたくなった。


「一発殴っていいか?」


「顔は止めてくれ。大樹と違って俺の顔はデリケートなんだ」


「くっ。イケメンだもんな」


「ああその通りだ。萌奈美を悲しませたくない」


 否定しないところも、萌奈美を心配させないところも一馬らしい。ちょうど校門前でこちらを伺っている萌奈美の制服姿が見えた。


「なら行け。一馬」


 俺は一馬の尻を思いっきり蹴った。一馬は弾かれたかのように校門に向かって走っていった。二人が挨拶をかわし、校庭の中へと消えていく。その後姿がぼやけて見える。

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