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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第7章
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75話 パーティー開催と交流3


 訓練場へと移動する中、城勤めなのだろうか。多くのヒト種以外の人達に頭を下げられ、道が開かれていく。当然の行動だと思われるそれらは私にとっては何ともむず痒く感じてしまう。此れだけは「慣れろ。」と言われても一生無理かもしれない。何せ出自は庶民なのだから。私絶対にやる側。数日前までそうだったと過去形にせざる負えない状況では有るのだが。

 何て馬鹿な事を考えながら歩いていると張り上げている声や真剣同士がぶつかる音だろうか、響いて来る。そうして到着した先ではヒト種と獣人種とに分かれて言い争いしていたり明らかに手加減無用と言った形で剣を交わしているのが素人目に見ても分かる様相だった。確かにこれまでずっと蔑んできた相手だ。幾ら上が「これからは仲良くしていけ。」と命じた所で上っ面だけの関係になってしまうのも仕方がない事。気持ちでは「何故?」というのが見え透いている。



「..............まあ、予想はしていた通りだったな。とは言え、全員が全員という訳でも無さそうだな。」


「あー、そうみたいですね。って、ノトさん何処行くんですか?」


「挨拶。こんなところで会うとは思わなかった。そんな意外な人物がいるからな。」


「あ!」


「本当ですね。魔王様、わたしも昨日お話ししましたが物静かな方という印象が強い人物でした。特に争いごとに関しては一番遠そうな御方だと認識していました。」


「ミリアもそう思ったのか。まあ、話してみれば分かる事だな。」



 私たちの視線の先では髪の長い女性が優雅な立ち振る舞いで他の街の騎士たちと話している様子が見える。日の光に反射され、白というよりかは銀に近いその髪色、美しく整った容姿。ニコニコと笑顔を浮かべるその姿は話している者達を魅了している様にも見える。暫く歩くと近付いているのに気付き、その女性は話を中断させ此方に向き直る。



「昨日ぶりですわね。また会えて光栄ですわ、魔王様。」


「そうですね。スノーザドの女王、アイシール・クリエラ・スノーザド様。」


「もっと気軽にお話ししていただいて構いませんよ。貴方は私とその知り合いの尊敬する方なのですから。」


「気軽にという訳にも行きませんよ、公の場ですし。知り合い........ああ、そう言えば知っているんでしたね。彼女はお邪魔していませんか?」


「いえ、寧ろ閉鎖的なスノーザドに対して文句も言わずに私の話を聞いて、その上で様々な名案をくれるので楽しいですし、勉強にも参考にもしていますよ。あんな所に住まわせているのがもったいないくらいですよ。」


「それに関しては改善できませんね。彼女の本来の仕事が違うのですから。」



 何やら盛り上がって話しているノトさんとスノーザドの女王、アイシール様。腹の探り合いをしているのかと思いきやそうではない様で何やら共通の話題で素直に盛り上がっている様だった。暫く話すと満足したのかノトさんから私へと視線を転じる。



「貴女はあの騒動の渦中にいた方ですね? スノーザドはずっと閉じこもって自分たちの自分たちなりの発展を遂げてきたので他の街の方々から興味を持たれてしまい、ゆっくりお話ししている時間もお顔を拝見も出来ませんでしたけど。あの時の活躍は素晴らしいモノでした。不遜ながら勇者様かと見間違えるほどでした。後に、魔王様より勇者は別の方とお聞きして驚きました。」


「あ、ありがとうございます。私が出張ってしまい、本来の勇者の姿をお見せさせる機会を奪ってしまった事謝罪します。」


「いえ、お気になさらず。勇者様方が住んでいた所では体裁というモノをやはり一番に気になさるんでしょうか。」


「ええ、一概には言えませんけど。その傾向はあるかと。」


「この世界では強さで全てが決まっても過言ではありません。これは断言できます。憶測でも願望でもありません。強い者が弱い者達を束ね、淘汰し、生きていく。当たり前の認識なのです。幼い頃からの環境も有りますでしょうから中々こちらのルールには馴染めない所もおありでしょう。ですから、最低限として、今の言葉を心に留めておいて下さい。」


「重ね重ね、ありがとうございます。肝に銘じます。」


「そこまで強く考えられちゃうと何だか気恥ずかしさも有るけれど。私の言葉に耳を傾けて下さり感謝いたします。」



 閉鎖的だったからだろうか。他よりも弱肉強食が表立っていたのかもしれない。この世界は広い。だが、ちっぽけな空間しか知らぬ者達がその空間で生きていくには他者を蹴落としてまで自分が伸し上がらなければならなかったのかもしれない。事実、その予想は当たっており、ミリアちゃんと話し出したアイシール様を見ながらノトさんは耳打ちをして来た。曰く、「スノーザドは王族が王位を継承できるかは決まっていない。」と。アイシール様がその座を得るためにどれほどの努力をしたのか。想像を絶する苦痛が伴ったに違いない。その努力は今も直、他の者に取られぬために続いているのだろう。



「そう言えば、此方にはどういったご用向きで?」


「そうでした。何せ、国の上層部が決めた事とがいえ、素直に従う者だけとは限らないと思いまして。どのような不満、改善点が有るのかを聞くために赴いておりました。予想以上に多かったのと、根本的な問題に直面しており、少々困っていた所では有りました。」


「それって、やはり差別.....でしょうか?」



 私が口を挟むとアイシール様は苦い顔をしてこくりと頷く。私も訓練場にきてすぐ分かった事だ。他の者が見ても分からない訳が無いとは思っていた。



「どうしても古くからの慣習のように根付いていしまって根絶する事は容易くは無いようです。」


「ですが、見た所、スノーザドの騎士の方々は受け入れている様に見受けられます。」


「そうですね、差別という(そのような)考えを持つ者が少ないのですよ。先程も申した通り強者に付き従う風習になっていますから彼らはルギシニラの騎士方を好敵手と認めたようです。それどころか自分達よりも強者では無いかと思っており、学ぶ姿勢を取っているのです。自分達を高める事に頭が一杯で種族など些末な事なのですよ。」


「他もそうだと良いんですけどねー.................。」


「私達の街の騎士たちに感化されて動いてくれるのを期待して待つほかありませんね。此ればかりは一日、二日で解決する問題ではないでしょうから。」



 私は訓練場の光景を見ながらアイシール様と話しているとノトさんは何やらブツブツと独り言を言っている。その内容が断片的に聞こえてきた。その断片的な情報だけで意図を汲み取り、顔を顰めてしまい、口を挟んでしまう。



「それ、本当にやるんですか?」


「聞こえていたのか?」


「ところどころですけど。」


「士気を高めるってのと、相手の実力を知り、慢心させない為か。仲良くして頂くには効果的な吊りだと思わないか?」


「..........否定できませんね。」


「何か妙案が思いついたのでしょうか?」



 ノトさんは屈んでミリアちゃんに耳打ちしている。どうやら思い付いた内容を話している様だった。何故、思い付いた本人がそれを話さないのかは分からないが何か作戦あってのことだと思いたい所だ。行き当たりばったり精神で事後処理全く考えてないなど、ざらだから。こちらがどれほど大変な思いをしてやっているのか分かってて見ていない振りをしているのも筒抜けだが、誰も口を出さないし、私は苦では無いので言っていない。というより、一回、言ったものの忘れ去られており、「もう一度、何度も言い聞かせて下さい。」という周囲の視線をノトさんでは無いが面倒になってしまい無視してしまった。



「...........それじゃあ、ミリア。この場は任せるぞ。」


「お任せください。必ず成功させます。」


「アイシール様は見学されていきますか?」


「ええ、折角ですので。楽しい催しが行われるのでしょう? どのような手腕を振るって下さるのか、それも拝見させて頂きます。」


「それでは、安全な場所へ移動しましょう。わたしが案内致しますので魔王様達は別のお仕事をなさって来てください。」



 ミリアちゃんが動き出したのを見てノトさんはアイシール様へと深々と礼をしてから踵を返し訓練場から出て行ってしまう。私はどっちにいればいいか分からなかったが此処に置いて行かれたとしてもその後、無事に知っている場所へとたどり着ける自信が正直言って無い。最悪、終わる迄ここにいなければならないという事態になった時に大分長い時間拘束されてしまう。色々と瞬時に考えた結果、ノトさんについて行くという結果を取った。



「なんだ、見たいなら見ていても良かったんだぞ。」


「終わる迄動けないでしょうから。」


「そんな事は.........。ああ、成程。」


「ニヤニヤしないで下さい。私にとっては死活問題ですから。」


「そうだったな。悪い、悪い。」


「悪いならもう少し反省している様な顔を見せてほしいです。」






 次の目的地に向かう前にやりたい事があると言われ執務室に一旦戻ったと思ったらすぐにノトさんは出て行ってしまった。「一人で良い。」と同行するのを拒否されたので暇になってしまい、足をぶらぶらさせながら机の上に載っていた書類を見ていた。見た所で何か出来る訳でも無いので見た物をそのまま元の位置に戻す作業をしているだけ。



「ん?」



 手に取った一枚の内容に私は手を止めじっくりと読み始める。



「邪神、天使、神様.......? 机上の空論じゃないの? えっと、〝5つの街があるこの世界にはもう一つ認知されていない場所が存在する。認知している、場所と言える様な代物かは結論付ける事が難しい。そこにはヒトでもない、亜人でもない、自分達よりも高位の存在が住まう。名を天使の楽園。別名、エデン。そこには唯一無二の存在、この世界を束ねる神とその神を支える存在である天使たちがいる。が、近年の魔物の活発化、魔王周期の早期化などからこのエデンに異常が生じている可能性が在る。かつてトレンティ=ウッデンファルユが数千年前に書き残した文献から邪神の復活が疑われる。かの賢者は禁呪である大魔法を使い封印する事に成功。討伐では無く、何故封印なのか。神という上位存在に対しては下位存在である我らの攻撃が通用しない為。〟」



 まだ続くその内容にさらに目を通す。



「〝では、どうするか。邪神という存在に関しては下位存在だけの問題では無い。上位存在である神らも対策を取る。それは、〟」














「悪いな、ちょっと出るつもりが長引いた。用件は済ませてきたから他の街の奴らにも挨拶に行くぞ。」


「はい。」


「? 何か元気無いけど何かあったのか?」



 ノトさんはあの資料には既に目を通したのだろうか。通したとしたらどのような反応をしたのだろうか。



「ノトさん。」


「なんだ?」


「机の上の書類ごちゃごちゃでしたけど整理しているんですか?」


「ああ、一応。」


「どういった区分に分けてるんですか?」


「変な事気になるな。えっと、左から書類に目を通して確認を終えたもの、目を通したが確認待ちのもの、目は通していないが直ぐに片付けるべき案件のもの、全く目を通していないもの。の4つか。」


「意外に細かく決めていたんですね。勝手に動かさなくてよかった。」


「言って無かったっけか。動かしてないなら別に良いけど。」



 そう、私が取ったのは左から3番目の場所に置いてあったもの。直ぐに片付けるべき案件、だが、目を()()()()()()()()。ノトさんがノックもせずに執務室に戻ってきて、慌てて私はその紙を自分のポケットにしまってしまった。ノックしないのは当たり前なのだが吃驚した行動とは言え、重要な書類を持っているのは不味いと思い、それとなく書類に関して確認すると無理して戻さなくても大丈夫そうだ。

 私の質問に疑問は感じていた様だがノトさん自身が言って無かったと反省して、気を付けるような流れになったので一先ず安心。



 けれど、誰があのような資料を用意して置けたのかは疑問に残る。ルピさんでもレイトさんでもない。そして、他の者でも無いだろう。だって、あんな内容、正しく下位存在である私たちが知れる事では無い。その本人さえも記憶封印よって多分、憶えていない事だと思う。






















 〝それは、下位存在も上位存在に対抗できる手段を作り、有事に備える事。神たちも勝手が分からない事なので実験段階では有ったのだろう。”転生神の加護”として来るべき邪神復活への対抗手段をルーセンユラに送り込むことに成功。発動されるタイミングに関しては未知数。此処に名を記す。.............。〟









〝授けた転生神、女神の”ミルラ=リアリュエル=エンジーレェン”〟








〝授けられた転生者、地球人”雪原(ユキハラ) 烈乃斗(レノト)”、今世〟









〝”ユキノトリア=ルギシニラ・ミル”。〟







毎日投稿ではありません。が、曜日見たら土日だったので連投します。誤字あったらすみません。


5日も10:00投稿。その後の投稿はまたゆっくりになります。時間も19:00なります。


追記1/5 体調不良で書けていないため投稿遅れます。

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