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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第6章
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64話 S級昇格試験2日目とハイランク同士の戦闘1



〝S級昇格試験2日目開幕です! 夜を挟んだというのにも関わらず興奮冷めやらぬ観客の歓声。それもその筈。普段お姿を見れない存在のあの方たちが魅せるのですから! 見逃すことなかれ! 刮目せよ! スペシャルマッチ始まります!!〟



 そんな司会の言葉を緊張した面持ちで聞いているのは私、桜城百合奈です。そして、いる場所は何故か観客席では無くコロシアムのフィールドです。目の前には二人の男女がいます。一人はハイエルフの女性で二つ名『焔姫』、もう一人は機人の男性で二つ名は『怪力』。


 一対二の構図ですか? いいえ。隣を目だけでチラリと伺うと涼しい顔をして二人を見ているモノクルを掛けたハーフエルフの『暴嵐』と呼ばれている男性がいます。視線に気付いたのか目だけで私を見返してきます。



 どうしてこうなった???? 頭に疑問符が大量に浮かびます。






 『血の盟約』という名だけ有って自分の血を互いに捧げ合う為、小刀を渡された。師匠はいとも簡単に自分の掌に切り傷を作り血を流した。その血に触れば捧げ合うという形になるそうだが、自分で傷を作るというのは躊躇いが生じるのも無理ない話だと思う。躊躇って動けぬままいたら私から小刀を取り上げ優しい手つきで指先を軽く刺し、血を出す。少しの痛みで顔を顰めるが思ったより痛みは無かった。私が血が出ている指先で、師匠の掌の傷をなぞる様にして触る。そうして呪文を繰り返して唱え始めた。


 唱え終わると物凄い倦怠感と痛みで立っている事も意識を保っている事も難しくなって意識を失った。



 その後、数十分で起きた私は目を開けまず目に飛び込んできたのは背中を向けてベッドのわきに腰掛けていた師匠の姿だった。私が少し動いた事で頭だけ振り返り見つめてくる。何かを言おうと口を開いたが迷ったような表情を浮かべ開いた口を閉じ頭を戻し俯く。その行動に疑問符を浮かべながら体を起こそうとすると倦怠感が嘘のように消えており楽々と起き上がる事が出来た。部屋を見回すと私と師匠の2人のみでサラさんとヴェロックさんは居なくなっていたので帰ったのだろうか。



「あー。どうだ?」


「何がですか?」



 何を聞きたいのか分からない聞き方に私が思わず聞き返すと自分でも何を聞くべきか整理できていなかったのかおざなりに返事を返された。



「まあ、色々。」


「調子良いですよ。寧ろ好調ですね。」


「そりゃあ、そうだろうよ。」



 私の言葉でホッと息を吐いて安堵している様子が分かった。死ぬかもしれないなんて言われてたから心配していたのだろう。私はフフッと笑ってから答える。聞きたかったであろう質問の答えを。



「生きてますよ、ちゃんと。」


「っ。」



 後ろから抱きしめる。お互いの心音がよく聞こえ互いが互いに生きていると実感していた筈。少なくとも私はそう感じていた。



「ユリナ、ステータス。」


「え?」


「ステータスを確認しろ。俺に責任追及すんなよ。」



 言葉の意味が分からず一旦離れてから起き上がった状態のままステータスを念じる。



〔 桜城百合奈  18歳(18歳)  魔人(人間)

  魔法使い  Lv143 (適正〈主〉:赤 青 緑 黄 白 黒 )

  スキル:心汲 主適性  魔力:6010  〕



「いや、え、あ、ん???」


「分かる言葉喋れ。」


「人間がおまけだー!!??」


「サラもそうだぞ。魔法使いの長命者は皆そうだった。別に人間じゃなくなったわけじゃないし見た目変わった訳でも無いぞ。」


「レベルも魔力も、スキルだって。」


「俺に引っ張られたらそうなるだろ。まあ、〔無〕属性は使えないみたいだな。使えても〈副〉止まりか、全く使えないか。俺もユリナのお陰か少しばかりレベルと魔力量上がったけどな。」


「マダ ツヨクナルンデスカ ?」


「片言になってるぞ。ほれ。」



 そう言って鑑定されている師匠のステータスを確認する。



〔 ユキノトリア=ルギシニラ・ミル  27歳(287歳)  魔王(人間)

  魔法使い  Lv264  (適正〈主〉:赤 青 緑 黄 白 黒 無 )

  スキル:全適正 邪王  魔力:15950  〕



「..........。」


「今なら勇者一撃で倒せそうだ。」


「物騒すぎますっ。」


「いや、俺は前からだからユリナが。」


「どっちにしても一緒ですよ。」



 項垂れる私を見て楽しそうに笑う師匠。それにつられて私も笑う。



「楽しんでいる所申し訳ありませんが少しでも休息された方が良いかと。試合まで5時間を優に切っております。」



 と、呆れた様なそんな声音で話し掛けるのは確か鴉羽さんだった筈だ。



「そう言えば、剣って言ってましたけどどういう事なんですか?」


「まあ、休息する時間が短くなるから手短に話すと、聖剣って持ち手を選ぶと言っただろう? 持ち手を選ぶって事は意志を持っているという事なんだ。俺が聖剣を持って魔王落ちしたから元々聖剣、銘『朱雀(スザク)』が魔剣に変わっちまったってとこだ。魔剣になったせいか銘が無くなったから俺が新しく付けた。で、意志を持っているならその意志を聞く事が出来るんじゃないかと思ってあれこれしてたら此奴がいた。で、今に至る。」


「最後の方ざっくりし過ぎです。」


「まあ、確かに色々されていたので私もあれこれについて思い出すのは難しいですね。」


「あ、そうなんですか。」



 鴉羽さんは懐かしむようなそんな表情を浮かべている。



「まあ、その色々で元々剣だったけど形状変化可能になってるんだけどな。なんならステータス持ってるし。」


「えっ。」


「見ますか?」



〔 鴉羽  魔剣  魔力:1070

  スキル:念話 形状変化 人化  特殊効果:自己修復  〕



「無機物ですよね。」


「分類はそうですね。」


「取り敢えずこれ以上は頭が追い付かないので見なかった事にします。」


「それじゃあ鴉羽、時間なったら起こしてくれ。」



 ソファの方に移動して寝始めた師匠をじっと見ていたが鴉羽さんに声を掛けられ私も少し眠った。眠ろうとして殆ど寝れなかったのだけれど。



 そうして朝日が昇り、少し経った頃に起こされて眠いまま出掛ける支度を整えていたら「は?」と急に師匠は声を上げる。



「........いや、俺は別に構わねえけど。..............そうだ、大丈夫なのか? ......あっそ。別にそれでお前らが良くて、他の奴らも文句なけりゃ構わねえけど...........本人の意思? 意思もくそもあるか。強制だろうが。..........分かった分かった。遅れねえよ。何より起きてるのが証拠だろう。.........ん。」


「サラさん、とかですか?」


「ん? ああ、そうだ。」


「どうやって会話を?」


「これだよ。」



 そう言って腕を突き出されるが何も無いので首を傾げる。すると、今まで何も見えていなかったのに急に腕に通された丸い宝石の様なものが埋め込まれている腕輪が見えてくる。



「トップシークレット。ギルドの上層部の連絡手段。勿論、他の街のギルマスも知らないが、シファルは知ってる。」


「何でシファルさんだけ?」


「あいつのスキル、固有の方な。それ『完全記憶』なんだ。」


「え、それ強く無いですか。」


「だから諜報員みたいなこともやらされてるって聞いた。潜入もお手の物とか、うんたらかんたら言ってた気がする。エルシリラにいるのも俺の動向をサラたちに伝える為。俺が連絡もらっても答えねえから。」


「自業自得で監視されているってことですね。了解です。」


「因みに今の連絡の内容だが、ユリナにゲストとして戦闘してもらうって事だったからその辺も含めて準備の方頼むな。」


「はい。.......はい?」



 ちょっと揶揄おうと思って言った内容を無視され自然な流れで割と重要事項を伝えられた。思わず条件反射で「はい。」と答えたが思い返して聞き返す。



「丁度安パイになるんだと。因みに俺が手を貸すのは禁止で今の持っている能力、アイテムを駆使して戦って、という条件も来てるから。」


「何故私なんですか!? 昨日の昇格者とかがやるべきでは?」


「建前は2ランクアップの実力を知ろう。本音は盟約後の実力を測りたい。これ以外はあり得ん。」


「えー。誰と戦うんですか。」


「それはお楽しみだ。取り敢えず俺と同じところから入る様言われてるから勇者君たちには合流したらなんか言っとけ。」



 不満顔のまま会場に向かう事になり天野君含め3人に事情を説明する。その際優君の事を聞いてみると3人から「誰それ?」と同じ答えが返って来た。当たり前の結果と言えばそうなんだけど。


 3人と別れ裏手に回ると既に姿を変えていた師匠と合流し裏口から入る。私も一緒だったけど何も言われる事無くすんなりと通してもらえた。そこでサラさんとヴェロックさんと再会し、挨拶と一言二言交わすと司会が二日目開幕を告げる演説をして会場を盛り上げている。それを聞いているとサラさんとヴェロックさんと再び別れて師匠の後を付いて行く。ある部屋に入ると何もないまっさらな空間で中心まで歩いてく師匠をじっと見ていたら手招きされて私も真ん中に歩いて行った。そうするとトリガーが引かれたようで足元の魔方陣が発動し眩い光を放つ。


 次の瞬間、大きな歓声が先程より近く聞こえ、眼を恐る恐る開ける。




 そして、冒頭の今に至る。


 スペシャルマッチ? えっと、状況的にだけどタッグマッチでSSランクの二人を相手にするの? 私Aランクに上がったばかりのひよっこだし、相手はレベル的に考えても師匠と同等なのでは? 無理ゲーってこういう事を言うんだと思うんだ、うん。


 考え事をしている間にサラさんとヴェロックさんの簡単な紹介が終わったのかこちらに視点が移っていた。


〝ギルド創設初の2ランクアップにより次の年からS級昇格試験に参加できる資格を得たAランク冒険者の女の子に注目が集まっていましたが此の展開は誰が予想できたでしょう。〟


(私は予想していなかったです。)


〝そんな可憐で可愛い女の子と組むのはギルド最強と謳われるSSSクラスの冒険者『暴嵐』様です。実力差をこういう形で埋めようという考えなのか、真意は私にも分かりませんがワクワクドキドキが止まりません。〟


(ハードルを上げないで下さい。)


〝それではスペシャルマッチ開始まで10秒前です。カウントダウンをしていきましょう!!〟


(いやいや、この試合中止にしてよ。無理無理無理無理..........。)






〝ゼロ!! 試合開始です!!〟


(誰か助けてー!!!!!!!)






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