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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第1章
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6話 疑問と解決


 大樹の力を借りて目覚めさせた結果は想像以上で俺は満足していた。面倒事は御免だが面白い事や楽しい事は別だ。内心は割りと愉しい気分でいた。ユリナと共に家へ戻ってきて改めて”ステータス”を見る。因みになのだが『果てに紡ぐ力』のスキルによって俺は道具を使わずともユリナの”ステータス”が見られる様になっている。まあ、ステータスは個人情報みたいなものだし今後は本人に確認を取ってから見ようとは思っている。とは言え、じっくり話し合う事になる時は、『鑑定石』の方が便利なのでこっちを利用することの方が多いかもしれない。


 スキルの効果の一つを確認していたのをやめてお互い向き合った形で椅子に座る。ユリナが目で不満をぶつけつつも少しそわそわしているのを見ると、その正反対さの態度に笑いが込み上げてくる。その笑いを肩を震わせながら耐えている。その行為に更に不満を増しているが面白いものは仕方無いね、うん。まあ、最初の警戒や胡散臭さを感じていたのはもう払拭されている様だった為、気持ちの変化が忙しい奴だな。と、また話が逸れてきている。色々と考えるのも一旦置いといて疑問をゆっくりと解決していこうではないか。



「さてと、一番の問題だった見えなかったステータスも漸く見れた(開いた)事によってユリナも疑問に思った事が色々と出て来ただろうから、それを解決する所から始めていこうか。」


「分かりました。」


「取り敢えず現段階で、ユリナが分からんところを解決してから本格的に必要な事を教えるから好きに聞いて良いぞ。ああ、そういえば紙とペンを渡すからメモも自由に取ってくれ。」



 そう言ってユリナに聞かれる事を一つずつクリアしていく。導入の為とはいえ疑問は尽きない様で質問タイムが長く続いた。いや、俺の答えが纏まりが無かったせいで長く感じただけかもしれない。久しく面と向かって人と話さなかった代償か、これは。


 質問のメインはステータスの内容について。聞かれた事と答えた事は以下の通り。



①前のステータス表記では”魔術師”となっていたのが今は”魔法使い”になっている事。


 ”魔法使い”は現在数える程度しか存在しない。その理由は何百年の昔に【魔女狩り】と呼ばれる事件が起きた為。その【魔女狩り】に終止符が打たれるであろう時に、偶然『世界の理』が出来た。”魔法使い”が誕生した時に存在が露呈され無い様に隠蔽され別の職業が表記される様になっている。この『世界の理』を知ってる者は数える程度しかいないし【魔女狩り】自体の歴史が良い様に書かれてないし教えられてない。(この【魔女狩り】の歴史について14日間いた城内で教えてもらったと言っていたので内容を聞くと散々な言われ様だったので俺が頬を盛大に引きつらせながらも思わず苦笑いを浮かべてしまった。)


 ”魔術師”よりも”魔法使い”が強力で有り、上手くいけば実は”勇者”よりも強くなれる可能性があるんだなあ。とか冗談ぽく笑って言ったら「それは無いでしょう。」と返された。「実は冗談じゃないんだけどなあ。」と小声で言ったのは聞こえたのか聞こえなかったのかは知らないがスルーされた。小声と言っても聞こえる位に言った筈だからちょっと悲しくなった。



②他の人は訓練などでレベルが上がっていたが私は上がってはいなかった。今まで上がっていいなかったレベルが2になっているけど何もしていないのに何故か。


 ”魔法使い”は能力を覚醒させないと(さっき広場でしてきた事をしないと)他職と違ってレベルが上がる事は無い。だが、覚醒した段階でレベルが必ず1上がる。そこからは”魔法使い”として”魔法”の修行をしていけば他職と同様にレベルが上がっていく。”魔法”を使う前に前段階踏むことが有るが多分ユリナだったら直ぐに使える様になりからそんなに心配はいらない、と思う。


 「そこは言い切って欲しかったです。」という言葉に俺は目を逸らしながら「きっと大丈夫だ! ………多分。」とグッと親指を上げてみたら若干呆れられてかなり悲しくなった。



③お城で見た鑑定石と形が違い表記も違う事。


 城に有ったのは”魔術道具”で詳細まで表記される物と思われる。恐らくだが、ユリナ達を管理しやすくする為に使ったと思われる。言い方は悪いが。そして、今回使ったのは俺が作った”魔法道具”で簡潔且つ知りたい情報だけを得られる便利アイテム。別に詳細まで知る必要は無い為使用した。


 「分かりやすいですね。それに此方の方が小さくて高性能。こういうのも作れるって凄いんですね!」と目をキラキラさせながら言われて悲しくなった俺の気持ちが和らいだ。




「この適正というのは今まで表示されていなかったのですがこれってどういう意味ですか。それに色も書いてありますが。」


「ああ、その適正というのは魔法使いにしかない物だ。というのは語弊があるな。正しくは”魔法を行使する者”のみ、か。魔法によって強化して戦う剣士等にも表記される。唯、”魔法”を100%以上且つ複数色の本当の力を繰れるのは”魔法使い”という職を持つ者のみだ。どうしてか、と言うと魔法には[属性色]というのが存在するからだ。[属性色]は主なモノで6つ。火を扱う[赤]、水や氷を扱う[青]、風や土を扱う[緑]、雷を扱う[黄]、光や回復魔法を扱う[白]、闇や召喚術を扱う[黒]。後、”魔法使い”は適性の中にも〈主〉という最も効率良く使いこなせるものと〈副〉という〈主〉程では無いが多少使う事が出来るものの2つに分かれる。〈副〉は使いこなせるようになってくると〈主〉になる事もある。魔法使いは複数の属性色を使いこなせるが、その他の職は1色、良くて2色だ。それも扱える程度が〈副〉と同等かそれ以下。そういう感じだな。あくまで魔法メインで戦う訳じゃ無いからだな。」


「ふむふむ、何とか理解できそうです。ところで、師匠は[属性色]について主なモノと言いましたが、6つ以外に有るという事なんですか。」


「良い点に気付いたな。生涯かけても獲得するのは難しいと言われる何色にも染まらない[無]というのがある。『果てに紡ぐ力』は特殊スキルでこれに属するんだが兎に角[無]は高度な”魔法”だし特殊なものも有るから全ては理解していないというか理解しようとしても、どんな[無]の”魔法”が存在するか何も残っていないから無理なんだよなあ。そういう訳で分からない事が多いからあまり気にしなくて良いかもな。」


「そうなんですね。」



 メモを自由に取って良いと言ったが自分なりに分かりやすく纏めている様子を見て本当に理解出来ているみたいなので頭の回転の速さに感心しているが顔には出さず書いている様子を黙って眺めつつ、次の質問を待っている。



「えっと.....うーん。あっ! 現段階では最後の質問です。家を出る前に貰った服なんですが最初に貰った時に比べてかなり変わってるんですけどこれどういう事なんです?」



 俺が黙ってメモを取ってる様子を見ていたせいかユリナが顔を上げた瞬間目が合って気まずかったのか下に目線を向けると自分の服を見て思い出したかの様に聞いてきた。確かに結構変わったし疑問に思うだろう。多分この様子だとまだ気付いていないだろうが目や髪も少し蒼色が入っている。気付いた時のお楽しみって事で俺は何も言わなかったが。



「さっき能力を覚醒させた時に〈主〉となる[属性色]、ユリナは青と白だな、元々の服の素材が[属性色]によって変化する様な物だったから、覚醒した時に変化した。んで、服の装いが大きく変わったのは着る者に合わせた結果だろう。まあ”魔法使い”の正装? とでも認識してくれればいい。絶対必要では無いけどな。慣れる迄使う感じだ。」


「成程、それで変わったんですね。んんー? 昨日使っていたのは風、魔法ですよね? つまり[緑]のはず。なのに師匠は今の格好は黒一色ですよね。複数持っていたら何処かしらに表れる訳じゃないんですか? または師匠は慣れてるから正装じゃないって事ですか。」


「まあ確かに覚醒時は〈主〉の色が入る。でも魔力を操作できる様になると色を変えられる様になる。そういう特殊な素材が服には使われているしな。てことで、自分が持ってる[属性色]なら何色にでも。だから俺は無難な黒で統一した。現に[黒]は〈主〉の一つではあるが使い処あんまり無いし頻繁には使ってない。ま、一応これ俺の正装。」


「へえ、変えられる様になるんですね。楽しみです。この服の素材凄いんですね。………んー。」



 何かを悩んだように悩み始めたユリナに質問があると思って声を掛ける。



「どうした?」


「師匠って髪まで黒じゃないですか。上から下まで黒なので、余計目立ちません?」


「………。」


「………服の事に関しては分かりました。」



 そう言ってメモを取り始めたユリナを呆然と眺めて今言われた事に関して少し、いやかなりショックを受けてしまった。えっ、マジで? 逆に目立っていた、だと。うーん。………黒以外にしようかな。



「……しょー。師匠~?」


「…え、あ、何だ?」


「え、いやメモを取り終わって疑問に思っていた事も今のとこ解決しました。」



 呆けすぎていて話しかけている事に全然気付いていなかった。でも俺のイメージは黒という事が周りの認識らしいと聞いた事が有るので変えなくていい。うん、今更変えたら色々と言われそうだし。そう結論を出していたら質問が一段落した様なので実践的な事を行っていく前に一日の過ごし方を指示しておかねば。あれ以上考えても無駄だという結論によって心のダメージをそのままに一度頭を冷やして冷静に戻った俺はしらーとユリナに見られてた視線に気付いて咳払いをしてから話始めた。



「そうか。もし疑問に思った事が有れば何時でも聞いてくれ。ん、何時でもは駄目だな。俺が部屋にいる時は後にしてくれ。それとユリナは、読書は嫌いじゃないか?」


「嫌いでは無いですし、読書は寧ろ好きですけど。それが何か有るんですか。」


「それじゃあ魔法の室内学習については本を読んで学んでくれ。分からない事とは後で纏めて聞くから。」


「それ、教えるのを放棄していません?」


「同じ属性色を持っていても”魔法”の形は個々人によって異なる。だからどんな種類が有ってどれが使えるか、どういうのを使いたいかに関しては色々と試行錯誤あるのみだ。だから放棄ではない(と思いたい)!」



 俺の願望が入っている気がするが気のせいです。良い事言って騙そうとはしてません。だから疑う様にして見るのは止めてください。



「そうだったんですね。」


「ああ。これからは昼までは個人で勉強して午後から魔力を上手く操作できる様にするのをクリアしたらやってみたい魔法についての実践かな。そういう感じで1日を過ごしてもらう様になると思う。後はその都度によって変わるかもしれないが基本は今の感じで。勿論今まで通り家事はやってもらうし忙しくなるだろうから気を引き締めろよ。まあでも日々を楽しくは大事にな。」


「はい! それで今日はどうするんですか。」


「んー。もう昼近くなってきたしなあ。…ああ、そういえば。」


「……?」



 よくよく考えたらユリナの必要な物を後で買い出しに行くと言って忘れていた事を思い出す。正直()には出たくないのだが、生活の基礎が整っていなければ修行どころではない。



「この後は街に行ってユリナが生活で必要な物を買いに行く。最低限食べる物しか買ってくる様にしか言ってなかったしな。これから本格的に修行を始めたらそんな時間殆ど取れないと思う。ああ、そういえば街に降りる時はその服は着替えろよ。目立つし”魔法使い”と知られれば色々と面倒いし。何故だかは分かるな?」


「……うーん。あ、【魔女狩り】の事ですね。成程です。着替えます。師匠は着替えないんですか?」


「ああ、そういや俺も服そのままだったな。着替え終わったら外に出てきてくれ。」



 そろそろ日が真上に達しそうだ。街に行ったら昼飯も調達しつつ顔見知りに挨拶しに行くことになるな。贔屓にしているお店だし避けられない。想像するだけで凄く憂鬱な気持ちになるが抑える。溜息を洩らしつつ着替えが終わって外に出るとそんなに変わらない時間でユリナも出てきた為、街に向かって歩き出す。


 街までは遠いし今後どうしていくかを歩きながら考えるか。





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