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見習い魔法使いが最強に至るまで  作者: 鬼仁雪姫
第5章
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46話 夕食会と本当の実力の披露


 遅めの昼食と言ったが何だかんだ準備したり話していたら夕食会という名目で食べることになった。上座には師匠。その隣に私が座り近くには勇者パーティーと並んだ。師匠は聞かれないと何も答えないスタンスを貫く様で殆ど喋る事は無かった。私に気を遣ってくれたのだろう。そして今は何の話かというと、



「お祭り?」


「そうなの。私も城の人から聞いた話なんだけどもうじきバルディアという街でお祭りがあるって。何でもその時期は多くの人が集まって大盛況するとか。」


「へー。それってどういうお祭りなの?」


「私たちが他の街に行けると思ってないから詳しく聞かなかったな。」


「師匠は知ってます?」



 視線を転じると周りも一斉に視線を向けるので少し鬱陶しい表情を見せた。幾人かは視線を逸らしたが丁寧に答えてくれた。



「知ってるぞ。お祭り、と言えるかは分からないがそろそろ冒険者ギルドの年1回の催しがあるな。」


「催し、ですか。」


「ああ。メインは『S級昇格試験』と言ってAランク冒険者がSランクへの昇格の実力が有るかを図るための戦闘がされるんだ。それを見るために多くの人が観戦に来るから街の奴らが出店を出したりして盛り上げたりする様になったからお祭りとでも言っているのだろう。」


「そうなんですね。所でSランクへの昇格は誰が判断するんですか?」


「そりゃあ決まってる。Sランクの上の実力者しかいねえだろ。」


「それってもしかして、」



 ギルドのランクは8段階有る。その中でトップクラスの実力者はAランクやSランクだ。そして実力者には二つ名がついたりファミリーネームが貰えたりするらしい。二つ名は必ず付けられるらしいのだがファミリーネームは任意だそうで付けたい人は付けるといった形になっていると聞いた。話が少し逸れたがそのSランクの上がSSランクと最高位のSSSランクが有るのだ。その枠にはSSランクは二人、SSSランクは一人でその人達はSランク以上、いや飛び抜けて強いためその座に就くことは何十年と成された事が無いらしい。



「ギルドの説明でそうされたのか?」


「いえ、ギルドに置いてあった資料を見て知りました。勿論全部が全部そこから得た情報では無いですけど。....それでその不動の3人はかの英雄らしいですね。」



 英雄という言葉に周囲はどよめく。そりゃそうだ。英雄が活躍したのは数百年昔の事だ。今も生きていたら驚くだろうが資料に書いてあった事なのだ。ただあくまで〝らしい〟なので確定事項では無い。



「滅多に顔を出さない3人を見るためという目的も有るだろう。なんてたって憧れとされる存在だからな。.......正直そんなこと思われても迷惑なんだが、喜ぶのは馬鹿な彼奴くらいだろう。」


「最後何か言いました?」


「いや、何も。そんでその3人の顔を見るという目的は冒険者だけじゃなく一般人も思う事だろう。それと、もう一つ。試験には特別待遇として冒険者の中で相応の実力者が有ると見なされた者はランクが関係なく昇格される場合がある。試され方は毎回変わるらしいから詳しくは知らないが何時からか気紛れでやるようになったらしい。」


「気紛れって。何だか師匠みたいですね。」


「ブッ。」



 飲めないと思っていたのだがそんなことは無くワインを飲んでいた師匠は私の何気ない一言で吹いた。



「汚なっ! 何してるんですかっ!」


「わ、悪い。」


「悪いじゃないですよ。全く何がツボだったんですか。」



 悪いと言いながらニヤニヤと笑みを浮かべながらいる師匠。よく見ると顔が若干赤いが。ん゛? そう言えば殆ど喋らなかったがまさか。



「師匠。まさかとは思いますがどれだけ飲んだんですか。」


「あー?」


「しっかりしている様に見えてその実かなり酔ってますよね?」


「あははー、どうだかな。」



 楽しそうに笑う師匠を見て私は頭を抱える。私に気を遣っているとは言え視線があるこの場で砕けた感じを見せるとは思えない。


 そんな感じでいるのにまだ飲もうとしているのを止めると不機嫌そうな表情を見せた。暫く続いた夕食会が終わると城で師匠の使っている部屋に戻った。



「全く飲み過ぎですよ。」


「んなこと無いって。」



 と言いながら楽しそうに笑っていながらアイテムボックスから更にお酒を取り出して飲み出すので注意する。



「今飲み過ぎって言ったばっかりですよ。今まで飲むのは見たこと無かったですけど程々にしてくださいよ。かなり酔ってる様ですし。」


「...ユリナも飲むか?」


「聞いてないし。てか私まだ未成年です。」


「こっちの世界じゃ成人は15だ。飲んでも大丈夫だぞ。果実酒位なら飲みやすいしちょっと位飲むと良いさ。よく眠れると思うぞ。」



 ニコニコしながらそんなことを言う師匠。グラスをもう一個取り出し注いで渡される。量は少ないが飲むのは気が引ける。



「うっ。本当に飲まなきゃ駄目ですか。」


「別にー。強制はしてないぞー。」



 そう言いながらも酒を煽っている。うーんと悩んでいたが気になってはいたので少し口を付けてしまった。



「ん! まろやかで飲みやすい。」


「始めて飲むなら一番飲みやすい奴だからなー。」



 驚いた表情でグラスを見て言葉を漏らした。が、その後の行動は失敗というか何を考えていたんだろうと後で猛烈に反省した。飲みやすいと思いジュースの様に注がれるまま飲んでしまっていた。日本で母に言われていた言葉が有った。「酎ハイとかはジュースの様に飲めるから気を付けるんだよ。酒は飲んでも飲まれるなってね。」未成年の私にまだ言う台詞じゃ無いよね。と当時は流して聞いていたがちゃんと聞いて覚えておくべき事だったと思う。失敗して覚えるとはこの事だろうか。









「ん゛ー? 頭が痛い....。」



 起きたらいつの間にか朝になっていた。日が眩しくて頭を抑える。重い体を起こそうとすると凄く温かい物に包まれている気がして動けなかった。そしてよくよく自分の姿を見て言葉を失い固まってしまった。



「.....昨日、昨日の事。思い出せ。」



 頭痛がする中で昨日の事を思い出そうとしても全く思い出せない。



「ん。」



 ぶつぶつと呟いていると師匠が小さく身動ぎして目をゆっくりと開けた。ボケーっとしている様でまだ状況がきちんと理解できていない様だ。そしてゆったりとしたまま何かに気付いた様で下へ視線を向けると目が合う。



「あ?」


「......。」



 しーんと静まり返る。



「......。」


「えっと、あの?」


「....最初に言うけど何もしてないからな。」


「この状況は。」


「途中で暑いって脱いだの自分だぞ。俺は止めたが。そのお陰で全裸は防げたが。」


「....その後は。」


「絡まれて強制的に飲むのを中断されて抱き付かれたまま寝かされた。」


「.....。」


「覚えてないようだな。俺は記憶は残っているけど若干ぽやーっとしていたからな。そんでこの状況。という訳だな。」


「.....。」


「飲ませ過ぎたか。」



 そう言うと師匠は状況をきちんと把握できた様で離れようとした。



「何故掴む。」


「.....元は師匠が悪いんですから、なんか上に羽織れるもの取ってください。」


「それじゃあその手を放せ。」



 何故かベッドから出ようとした師匠の服を掴んでしまったが直ぐに手を放す。



「服はバッグに入れてるだろ? 取り敢えず部屋の中なら俺のでも良いか。」



 そう言っていつも羽織ってるコートをベッドの方に投げる。私はそれを羽織ってベッドから出て裾を引き摺りながら自分のバッグから上着を取り出そうとしたが、



「あれ、何処に置いたっけ。」


「どうしたー?」


「バッグを何処に置いたか忘れました。ちゃんと持っては来てると思うんですけど。」


「あ? そこに有るじゃねえか。」



 指を指された方を見て床に無造作に置かれたバッグを拾い上げる。そして着るものを取り出してまだ頭痛がする頭でボーッと着替えを始める。



「....恥ずかしさ何処行ったんだ。ったく。」


「へ?」


「まあ、あんな格好見せた時点で消え去ったか。」



 気にせず着替えてしまった事実に気付くがそもそも薄着で寝ていた事も有ったので文句を言おうとした。けど頭痛のせいも有り大声を出せず頭を抱え顔を顰める。



「上着返せ。」


「部屋の中なら良いじゃないですか。それに暖かいんで借りときます。」


「裾引き摺られるからやめてほしいんだが。」


「身長高い師匠が悪い!」


「昨日以上に酷いな。」



 疲れた表情で溜め息を吐きながら何かをぶつぶつと呟いている。ふと呟きを止めて此方を見る。



「な、何ですか?」


「頭痛酷いか?」


「え、まあそこそこ?」


「今日魔術の訓練一緒にやるんだろ? そんなんで大丈夫か?」


「う゛っ。そう言えばそうだった。全然大丈夫じゃ無いです。」


「まだ中に酒が残ってるんだろ。仕方無い。」



 そう言って近付いて来たので何となく後ずさった。



「別に変な事はしねえって。どんだけ信用ねえんだよ。」


「今まで事考えたら信用しろってのが無理ですよ。」


「はあ、そうかい。別に俺は頭痛に苦しんでるの見るのも面白いからそのままでも良いんだぜ?」


「酷くないですかっ! うぅ、大声上げると頭痛いぃ。」



 思わず大きな声を上げてしまい頭に響いたため頭を抑えていると近くまで師匠が迫って来ていることに気付かず顎を上げられ人指し指が額に当てられ何かを言おうとする前に言葉を言われた。



「『−−−』。」


「......なんて?」


「やっぱ効力薄いな。ちょっと力戻ったし折角だから使うか。」



 私の疑問は無視され何かを呟くと右目がより紅く輝き漆黒の片羽を広げ魔力を少し放出するとそのまま顔を近付けていき額同士がくっつき合う。何やら聞き取れない言語で詠唱を唱えてる。



「?」


「成功だ。調子はどうだ? 今ので悪いのを取りきったと思うが。」


「.....大丈夫そうです。」


「ふむ。良かった。」



 話を聞くとスキル『邪王』の中に状態異常が無効化されるものが有るらしく勿論自分にも適用されるそれは魔王として慕われる配下にも効果が有るらしい。通常はスキル名を言えば発動するそれは配下であれば大丈夫なのだが私はそう言った立ち位置では無いので通常通り使ったら効果が薄かったらしい。最初の人差し指を向けた奴が該当する。じゃあどうやったら上手く発動されるか、試しにと思い先程の行動に出たとか。上手くいったらしい。



「そ、それじゃあなんで酔ってたんですか。」


「ああ、基本的に『邪王』スキルは発動型だからな。常時発動されてるスキルじゃ無いし封印した影響で上手く効果が出ない。まあ最近の諸々でかなり飲まないと酔わなくなったのは事実だけどな~。」



 笑いながら羽やらを解除しながら言う師匠を睨むが今は凄くスッキリしているので文句は言えなかった。



「そんじゃあ朝食にするか。」


「...はい。」



 私がふらふらしている間にささっと作っていた朝食を食べ、約束した時間よりも早めに訓練場に向かうと既に全員集まっていた。



「お、おはよう。皆早いね。」


「楽しみにしてたからね。どんな魔術を見せてくれるかって。」


「何だ。言ってないのか?」


「師匠が言わない方が良いって言ってたじゃないですか。」


「それはこっちの住人にはってことだ。別に同郷者だったら言っても喜んで目を輝かせると思うけどな。」


「見せるにしても威力高くてこんなところじゃ無理じゃないですか。それに今は騎士さん達もいますし。」


「あー、そんじゃあユリナが明かすってんならあの場所解放してやるぞ。今だけの限定で、だけどな。」


「えーっと、何の、話ですか?」



 私達の会話に首を傾げ聞いていたが話を遮って聞かれたので私は師匠を見ると頷かれた。



「ここじゃ何だから場所を変えよう。えっと、」


「俺が監督するから騎士は付いてくるな。こそこそしても無駄だからな。もし付いてこようとしたやつは上司、騎士団長に言い付けてやるから覚悟しとけ。」



 そう言って歩いていった師匠に付いてくるよう手招いてぞろぞろと移動していく。



「何処向かってるの?」


「それは着けば分かるよ。」



 途中で楠木さんに聞かれたので私はそう言葉を返す。そうして暫くぞろぞろと歩いていると到着したので師匠は中に入って何やら呟いているので私は皆に待ってるよう言って合図がされるまで待機していた。数十秒後、設定が終わった様で私を見たので入っていく。他の皆にも入るよう促す。



「何だ、この場所。」


「凄く暖かい感じがする。」



 とガヤガヤしてきたので師匠は手を打ち一瞬で黙らせる。微量に魔力を放出しているせいで威圧にもなっている。



「ここへは俺への許可無く入れない。今だけは許可しているから入れるがここでの騒音、威力の高い攻撃は外には一切漏れる事は無い。そんでここにわざわざ連れてきた理由に関して、だが。それはユリナから。」


「えっと何処から言えば言いか難しいけど。皆は私の職業は知ってるよね?」


「魔術師でしょ? それがどうかしたの。」



 私は無詠唱で氷の槍を複数生成する。そして壁に向かって打ち出す。勿論一切傷は付いていない。流石頑丈だなと思いながらいると私が取った行動にどよめく。



「む、無詠唱。いくら高位の魔術師でも無詠唱は出来ないって。」


「そう。魔術師は出来ない行為。」


「それじゃあ、一体。」


「私は魔術師ではなく魔法使い。かつて滅びたとされる職業だよ。」


「え、それじゃあそっちの先生も。」


「師匠も勿論そうだよ。魔術も扱えるってだけで魔法使い。」


「勝手に俺の事話すな。」


「痛っ! 別に良いじゃないですか。話す気なんて無いでしょう。」


「当たり前だ。」



 ふんと鼻を鳴らし風魔法を背後に発動させ竜巻を起こす。一様に驚く顔を見た後は一気に終息させ静寂に包まれる。



「す、すげー!」


「あ、ああ。威力が段違いだ。」



 歓声に変わり騒がしくなる。師匠は面倒そうにした後私に耳打ちするので頷く。一瞬近付かれて朝の事を思い出したのは秘密だ。



「何するの?」


「取っておき、かな?」



 誰もいない方に手を掲げ集中する。



「『業火よ、威力を増して、顕現、放射し、燃やし尽くせ』!!」



 幾重にも展開される魔方陣より生み出されるのは灼熱の蒼い焔。私が元より[青]魔法をよく使うせいか限界突破後の炎が蒼く変化していた。その焔が前方に放散される。



「今の実力だとこんな感じかな。やっぱり魔術は中々上手く出来ないけどね。あんまり才能は無いみたい。」


「いやいやいや、今ので才能無いとか基準がおかしい! なんでそんな申し訳なさそうな顔してるのっ!?」


「美奈はもう頭がパンクしてる~。」


「え、えー?」



 次々に言われる言葉に私は困惑した。だって、



「だって今のは師匠に比べたら威力が下がってるしなー。高位の魔術師はもっと詠唱して威力も高いじゃない?」


「うーん、そういう問題じゃないと思うんだけどなあ。」



 多分前の自分だったら規格外の威力だと言っていたかもしれないがいつの間にか突っ込んじゃいけない領域に突っ込んでしまったようです。なんか人に気付かされると悲しくなるね。



「ま、まあ。私はこんな感じだけど他の職について詳しく知りたいかな!」


「と言っても桜城さんに比べたら派手さはないし、別段変わった事は無いと思うけど。」


「模擬戦でもしたらどうだ? そうすりゃ体験できるだろ。」


「それで他の人が良いなら良いんですけどね。」



 ちらっと見ると首を振る人が何人か。ちょっと予想はしていたけどここまで同じ反応されると辛いものがある。



「.....ウケる。」



 誰が言ったか明白。瞬時に氷の槍を生成し一ヶ所に打ち出し続ける。そのすべてを同じ魔法を持って相殺され続ける。なので打ち出しながら近付き杖で殴りにかかる。それも避けられるので[白]魔法で目眩ましをして背後に回り込み気配を極限まで消して上段から打ち込む。がパシッと言う音が鳴り杖を動かすことが出来なかった。段々と光が晴れてきたので私は仕込み刀を抜き突きを放つ。



「まだ甘いなっ!」



 そう言われてすっと避けられながらくるっと回り込まれ後ろから右手を掴まれ体に抱き付かれ身動きが取れなくなった。



「俺の勝ちだ。」


「いいから放してくださいっ!! 皆いるんですからぁ!」



 パッとあっさり放され杖も取り上げられ刀が仕舞われる。そして渡される。



「まあ今のは模擬戦とは違うがこれくらいは動けないとまともに戦うなんて無理だな。」



 と師匠は言う。その言葉に息を飲む人が多い。



「私達には、」


「無理、じゃないかな。」








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