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僕と俺の選択道  作者: カタナナタカ
第1章 それは、人生の序章の序章それでも悩み生きていく
23/30

窮鼠と猫と逆襲

危なかった。

ギリギリ間に合った。

俺は遊びのための準備に取り掛かり始める。

リミットは同じく当事者(プレイヤー)のゴブリン共にこの場所が見つかるまで正直そんなに時間はないだろう。

ゆえに優先順位を決める。先ずは今の俺の現状つまりどこまでの力があるか、そしてどこまで戦えるかだ。

ゆえにまず、するべきことは生死ノ境の説明を見ること。




生死ノ境

▽あなたの考えに幸あれ。

保持者に生命の危機が訪れそれに保持者が対処できないと判断された場合自動発動する。ただし発動しない場合もあるので後述参考。

発動後、保持者に敵意を持つもの又はそのものが行った攻撃そして、保持者の生命が脅かされるであろうものの時が遅くなる。この遅延はほとんど時が止まっていることと遜色ない。発動時間は保持者のレベル依存で保持者のレベルの半分が発動時間となる。(小数点以下は切り捨てである)

保持者が任意で発動することも可能だがその場合、発動時間は通常の半分となる。

そして、発動しない場合であるがこのスキルがなんらかの理由により使用不可になっている場合と連続発動になってしまう場合である。連続発動に関しては使用後1日経過する自然回復かレベルの半分の悪貢を払うことによる強制回復により枷を解くことが可能になる。ただしーーーー。




うん。長い。時間がないって言ったとこなのにいきなり長い。時を止めるでは無くてそのようなものってのは分かったからいいけど、まあ、長くなるのも仕方ないか。この能力だったら。デメリットはほとんどないって言っていいな。正直これのおかげでかなり勝率が上がる。

現状把握はこんなもんでいいだろ。よく考えたら身体は、傷だらけってことが分かっているしな。やる気に関しては満ち足りている。これだけで十分だろう。


次はこのことを踏まえての準備だな。新しく手に入れた能力を効率よく使うために必要なこと。それは、


表示(アナウンス)発動」

それと同時にまたあの文字が出てくる。


表示(アナウンス)の言葉を確認しました。現在の使用者のレベルは8、です。故に使用者は使用後1日以内に4つの命を捧げなければなりません。できなかった場合、16悪貢を支払わなければならなくなります。それでも発動を、いたしますか?】


ほんとどうしても美女の声が聞こえる。まあ、脳内で置き換えてるって自分自身で分かってるんだけどさ。

「発動する」


【使用者の最終確認が取れました。発動を開始します。現在より24時間の発動となります。ご存分にお使い下さいませ】


やっぱり美女が声を発しているように思えてしまうな。何とかならんのかねこれ。気になってしょうがない。まあ、変なことされるより断然いいんだが。

まあ、次の準備に『ギギギャギギギーッ!』・・・は無理か。まあ、遅かった方かな。あんなに喋ってたんだからな。それとも思っていたほどに時間は経っていなかったんだろうか?まあ、今となってはどうでもいいことだよな。


『ギィギイー!』『ギャギャッ』『ギギギギッ』


不快な音が何度も聞こえてくる。おそらく仲間を呼びあっているのだろう。獲物(ネズミ)を見つけたと。ここに隠れているぞと。そんなことを言ったりしているんだろう。不快だな。俺にとってこの音等は不興和音ってとこだな。


・・・そういや、もう悪神は喋ってこないんだったな。『それを言うなら不協和音じゃあねえのかぁ』って突っ込んでくるのを待っていたんだがな。そしたら俺は面白くない音の集合で、不興な音の集合で不興和音なんだよとか、勿論不協和音にかけてもいるんだぞとか言って、『全然上手くねえ』みたいなツッコミとか、それにまた俺が反発して・・・そうだな俺は知らないうちにあいつとのしょうもない会話が楽しくなってたんだな。


また一つ死ねない理由ができた。

おい、捕食者(ゴブリン)ども|獲物(俺)という存在をここまで追い詰めたこと後悔させてやる。欠片ですら負けると思っていないお前達に教えてやる。獲物(ネズミ)の、捕食者(ネコ)に対する逆襲を。



音が近づいてくる。わざと音を大きくたてて、何体がこちらに向かっているのかを悟らせないようにしているのだろう。それともただ単純に獲物に恐怖を与えるのを楽しみにしているのか。まるでキツネ狩りのようだ。まあ、関係ない。俺にとっては4体とりあえず殺すのが最優先だから何体でこようともどうでもいい。


足に力を込める。足を肩幅に開き、体とそして、水平に構えた剣を洞窟の入り口の方に向ける。身体はしなやかに保つ。ゴブリンが近づいてくるたびに弓のように引き絞っていく。筋肉がギチギチと音を立てる。引き絞れば引きしぼるほど立てる音も大きくなる。


《ダンジョン型》ゴブリンとオークは同じDランクだというのは言ったと思う。強さはあまり変わらないのは確かだが、実は今の俺にとって《ダンジョン型》ゴブリンの方がオークよりも戦いやすい。理由は今の所二つほどある。一つ目は筋肉とそれに付随する力の高さだ。オークは一見脂肪がたくさん付いていて柔らかそうな感じではあるが実は脂肪の下には筋肉が結構付いている。今の俺の筋肉量でこれを突破することや、力で渡り合うことは非常に難しい。

最も大きな要因となる二つ目は身長だ。まだ子供の俺にとって大きい敵というのはそれだけで厄介なものだ。それに比べてゴブリンは《ダンジョン型》とつこうが身長などの大まかなことはそれほど変わらない。つまり俺とあまり変わらない身長というわけだ。そして、勿論ゴブリンはオークのように筋肉がついてるわけでもない。


ゆえに俺はこの攻撃を選択することができる。それは直線上にいる敵ならば最小の動作で故に最速の攻撃ができ一見簡単なように見えるが実戦で扱おうと思えば実はとてつもない技術がいる、高い威力を持つ攻撃。

その技の名は“刺突”。ただの刺突である。



『ギギーー?』そんな、こちらをおちょくってくるような声を出したゴブリンが、洞窟の入り口に姿を現す。こちらをとことんなめているのだろう。その纏う空気はどこか弛緩していて遊びにでも来たかのような感じだ。だが俺はそんなことは気にしない。気にする暇もなかった。そのゴブリンが入り口に現れた瞬間俺は足の力を一気に解放する。同時に限界まで引き絞った身体を解き放つ。


結果はあっけないものだった。入り口に現れたゴブリンはその緩みきった雰囲気のまま、俺に喉を貫かれて絶命した。


表示(アナウンス)の効果が発動します。(これより24時間、この文は省かせていただきます)

レベル9、の《ダンジョン型》ゴブリンを葬りました。取得能力なども計算に入れ、経験値が430、ほど入ります。次のレベルまで920、程です。悪貢がレベル×1より9、ポイント入ります。只今の合計32、です】


表示(アナウンス)指示(オーダー)する。内容は悪貢と体力、魔力の変動だけにしろ」

経験値とか何を倒したとか今必要なことではないからな。無駄は省くべきだ。


表示(アナウンス)指示(オーダー)承りました。次の内容よりそう致します】


突然だがもう一つ話をしよう。オークはその筋肉と力でDランクの強さだ。ならそのオークと同じランクにいる《ダンジョン型》ゴブリンはどのような強さを持っているのか、ということだ。それは知力と器用、敏捷で、だ。オークに力と守で圧倒的に負けていても。その3つが上であるために、《ダンジョン型》ゴブリンはオークと同じランクにいられる。

ただ今回の俺にとってその3つは何の障害にもなり得ない。なぜなら、どんな悪知恵を働かせようとも、どんなに器用でもそして、どれほどの速さを持とうともそれが悪意を害意を敵意を持っているのであれば止まるからだ。


表示(アナウンス)の文字が見えた瞬間、時が止まる。景色の色が消える。なぜならば、入り口の横手から槍が突き出されていたからだ。このまま進めば確実に俺の命を刈り取ることのできる攻撃だったろう。それゆえに、俺の命を取ることはできない。命を取ることのできる攻撃が最も命を取る行為から遠いなどまったく皮肉なものだな。同情を禁じ得ない。


勿論俺はこの槍を避ける。そして洞窟をぬける。ぬけけながらゴブリンに刺さっている剣を抜き取る。と、同時に時が動き出す。景色が色づく。洞窟を抜けて、槍を突き出しているゴブリンを見てみれば、何が起こったのかわからず呆然としていた。それはそうだろうな。槍を突き出して会心の一撃が決まったかと思えば、攻撃したはずの対象は既に横側にいて剣を横薙ぎして、自分を攻撃しようとしているもんな。だから分かる。そんなに目を丸くする理由も、口を開けてしまっているのも。そして、そのまま喉を切り裂かれて絶命するのも。やった当人である俺が一番分かってやれる。

【悪貢が10、ポイント入りました。合計42、です】

後ろと前で喉を貫かれたり切り裂かれたりしたせいで血が噴水のように出る。そんなゴブリンたちを一瞥しながら俺は次の行動に入る。


装填(チャージ)


装填(チャージ)により4、ポイント消費します。合計38、です】


それと同時にまた、時が止まる。色が消失する。

今度は、矢が降ってきていた。何本も飛んできたうちの数本がおそらく発動の引き金になったのだろう。俺はこの間に落ちた穴を脱出する。その間に時がまた進みだす。


そしてまた、この言葉を唱える。

装填(チャージ)


【先ほどと同じ内容により4、ポイント消費します。合計34、です】


そうこうすればまた、接敵する。本当にお前ら一体一体に会うたびに懐かしく感じる。何でだろうな。まあ、どうでもいいことだなこれも。


流石にもう驚いてくれないのか、目の前にいるゴブリンどもは全員戦闘態勢に入っている。真剣な表情で、こちらの一挙手一投足をも、見逃さないようにしている。

ようやくだな。これでようやく狩りではなくなった。ここからは本当の戦闘だ。


そう、ここからは|ネズミ(俺)と、ネコ(ゴブリン)によるネズミの逆襲劇が始まるってことだ。




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