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僕と俺の選択道  作者: カタナナタカ
第1章 それは、人生の序章の序章それでも悩み生きていく
21/30

冒険者とモンスターとランク

今回も長めです。

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア」


俺は今、地面と地面の間にいる。経緯を話すなら逃げている時に地面が崩れてコケて、盛大に転がっていった先に穴があったのでそこに逃げ込んだわけだ。


ほんと、神様の気まぐれってやつには困るよな。

それともこれも仕組まれてることなのかね?

ああ、そんなこと考えてたらまた痛みがやってきた。


「ああ、くそ刺さってた矢ほとんど全部食い込んじまってる。しかも中途半端に折れてるせいで抜けないやつが多いし・・・。ホント嫌になるな。

でも、最初ほど痛み感じないんだよなぁ。これは痛覚遮断とか耐性とか手に入ったからかね〜。


・・・そういや俺、スキルはウインドウでしか手に入らないんだったか。

ハハ、本格的にやばいなこれ。


悪神ポイントを使う。薬草(低)3と気付薬(低)1と包帯2本をくれ。なんか眠くなってきたから早めに頼む」


そう言った直後視界に文字が現れた。


【薬草(低)3と気付薬(低)1と包帯2本すべて合わせて19悪貢使います。よろしいですか?】


相変わらず、ボッタクリだな。まあ、文句も言ってらんないか。ああ、それで頼む。


【悪貢19と引き換えに物質の生成を開始します。

生成・・・・・成功です。

そう悪貢ポイントは42→23となりました。

それでは、またのご利用お待ちしております】


という文字が消えた後俺の目の前に薬草と気付薬と包帯が出てきた。

出てきてすぐに俺は気付薬を飲みほす。

効果はすぐに実感できた。


「グウウウウウゥゥゥゥゥ!!」


おもわず叫びそうになったのを唇を噛んでさらに口を手で押さえることで耐えた。まるで獣の唸り声みたいだ。

それにしても、痛みを感じることに安心するなんて俺はそういう性癖ではなかったはずなんだけどな。命の危機で目覚めたってんなら笑い話なんだけどな。


ああ、さっきまで命の危機にいたとは思えないぜ。そんぐらい俺の顔笑ってるってのが自分で分かる。


「ヘヘッハハッハハッハッァ・・・・・・・手当てするか」


そこから俺は無心で手当てをした。いや、無心でいようとしてだな。こんなこと考えてる時点で無心じゃねえや。

・・・・・やっぱ無心じゃねえな。


ちなみにさっきの薬草とかを出した時のシステムは悪神(分身)がものを出すのまでやるのは面倒くさいとか本体に泣きついた結果だ。

ちなみに音声は無い。だが俺は頭の中で美少女が言ってるのを想像しながら聞いている。

これは悪神にはさすがに言えないけどな。


「考えるのやめるのやめるか。

悪神、いるんだろ?」


『ああ、いるぞ』


「どうしたんだ?いつものけだるい感じの喋り方じゃないぞ。珍しいこともあるもんだな」


『ああぁ、おかしかったかぁ?確かにちょっとおかしかったかもしれねえなぁ』


「ああ、そうだよ可笑しいよ。全くもって可笑しい。で、だ。さっきの可笑しいことはなんなんだよ悪神』


『・・・・・・・』


「だんまり、か。今日は多いな。・・・悪神頼む正直に話してくれ俺は見限られたのか?」


『それは違う』


その言葉を聞いた瞬間俺は気が抜けたような気がした。思っていたよりも緊張していたようだ。未だ命の危機にあるというのに、倦怠感と、安堵が濁流のごとく押し寄せてくる。それでも、やはり嬉しい気持ちに変わりは無い。

次の悪神の言葉を聞くまでは。


『半々て感じだからなぁ。今回のお前の結果次第ってことだぁ』


冷水を浴びせられたようだった。

一気に意識は覚醒し、次に来るのはかすかな動悸、息切れ。


「フッフッフウ、それはどういうことなんだ。半々ってなんなんだよ。それは見限ったっていうのと何が違うっていうんだ⁉︎」


『見限ってはねえ。秤にかけてんだよ。だがぁ、確かに半分は見限ってるって言えるかもなぁ』


「認めるのかよ。見限っていたってことを。そんな簡単に、なんでも無いことのように。ハッハハッ、ハハハハハハッ!」


ガッ!ガッ!ガッ!


俺は半ば無意識に壁に拳を叩きつけていた。何度も何度も。ゴブリンが外で俺を探しているだろうに、音がなることも気にせず俺はただひたすら殴り続けていた。

そうして、手の皮がめくれて血が滲み出した頃悪神が話しかけてきた。


『落ち着けよ。見限ったとは言ったがぁ、完全にとは言ってねえだろ?半々って言ったし秤にかけてるとも言ったよなぁ?』


俺は、拳を叩きつけるのを止めた。

無気力な状態は変わりそうに無いけれども、とりあえず話を聞こうと思ったのだ。


『今日のことは全部試練なんだよ。試練だぁ。お前が契約者にふさわしいかどうかのなぁ。「契約者の証はすでに持って」るじゃないかぁ、とかは無しだぜ』


「・・・・・・・・」


『とりあえず、お前を見直す必要が出てくる事件があってなぁ。それで本体が今回のことを仕組んだってわけだぁ』


「いつからだ?いつからそう思い始めた?いつからそんなことを考えていたんだ?」


『いつからぁ、かぁ。俺は事件としかゆってないのになぁ。お前にも心当たりはちゃんとあるようだなぁ。そこは安心したぜ。まあぁ、事件の内容は2つあってなぁ、1つはお前も思い至っている精神面。もう1つはぁ、才能面だなぁ。詳しく言うならぁ、スキル選択の時だぁ』


「そんな序盤の時から今回のことを考えていたのかよ」


考えつくのはお詫びとか言って渡してきた選択式のスキルプレゼント。あれが試練の1つになってたとか全然気づかなかったよ。

プレゼントを試練にするとか本当に性格が悪すぎる。ウンザリするな。


『だがなぁ、よく考えてみろよ。もしお前があの選択の時に悪神ノ言語を取っていたとしたらここまで追い詰められることはなかったんだぜ?』


「そんなこと起こった今じゃあどうとでも言えるし、もし取っていたとしても変わらない結果だったかもしれないじゃないか」

悪神の言っていることはどこまでも結果論でしかない。そう思えたのだが。


『いいやぁ、絶対に結果は変わってたさぁ。なんせ悪神ノ言語を取っていればあのお前が殺したゴブリンが何を喋っていたか分かっていたんだからなぁ。あのゴブリンは思いっきり罠に嵌めたことを喜んでたからなぁ』


ドガッ!

その言葉を聞いた瞬間今までで一番強く壁を殴ってしまった。拳に巻いた包帯もみるみると赤くなっていく。

「悪神、お前は罠だってことを、俺が罠に嵌ったってことを黙ってたのか⁉︎そういうんだな⁉︎」


その言葉を言った後の俺に襲いかかったのは強烈な冷気、いやこれは身体があまりの恐怖に寒いと認識してしまっているのか?と、するとこれの元凶わ?


『甘えんなよ。それは筋違いってもんだろう?これは、試練、だって、さっきから、言ってんだろう?』


一言、一言ゆっくりとそして芯にまで響く声を出している。これは、本当にあの悪神なのか?違う分身が送られてきているのか?分からないけれど、ただ一つ言えるのは、この強烈に恐怖を刺激しているのはこいつだってことだ。


『もう一度言っといてやる。これはお前にとっては試練なんだよ。お前自身がお前自身の手で抜け出すんだ。分かったな?

余談をするなら悪神ノ言語に関してはそれだけじゃねえ。悪神ノ言語は最初に説明した通り他の生命を持つものと話すことができるようになる。これは他種族は勿論モンスター、そして、妖精、精霊果ては神獣までもだぁ。何が言いたいかってゆうとだなぁ、お前の復讐にとってここまで役に立つスキルはないってことだぁ。妖精とか精霊とか神獣とかは別にするとしてもだぁ、このスキルがあれば他種族を唆して争いを起こさせることができるし、直接的に言えばモンスターをけしかけて大量虐殺をすることもできるようになる。分かるかぁ、だから才能面でぎもんをおぼえたってゆってんだぁ』


あの一瞬でそこまで思い至れと?

ほんと無茶がすぎるだろう。

ただ、同時に納得してしまった。なるほど確かにそこまで俺の復讐に適したスキルだったとは思いもよらなかった。これじゃあ疑問に思われても仕方ないか。


『まあぁ、それ1つだけなら恐らく今回のことはしていなかっただろうなぁ。やっぱり決め手は精神面の事件だろうなぁ。まあぁ、それには自分でも気づいているようだしまだ再考の余地はありってところかぁ?まあぁ、認められたければ生き残ることだなぁ。結果を示せばいい。というより、今回は結果が全てだぁ」


全くもって簡単に言ってくれるものだ、今回の敵はただのゴブリンじゃ無い。


《ダンジョン型》だ。


この《ダンジョン型》の説明をするにはまず冒険者の説明にはいったほうがわかりやすいだろう。



冒険者、それは広く一般的に言えば何でも屋だ。ただし悪事をすれば冒険者の組合から罰を受けるが。逆に言えば悪事以外なら何でもやっていいということだ。(悪事の意義も広すぎるとは思うが)


組合からクエストを受注し、それを解決して金銭をもらうものやまだ見ぬ土地を探索して色々なものを発見するもの、そしてダンジョンに挑むものなど本当にいろいろいる。


さて、冒険者をやる上で絶対知っておくべきことはとりあえず3個ある。(俺が知ってる限りではという注釈がつくが)

1つ目は言わずもがなルールだ。規則とも言うが、これは知っておかなければならない。まあ、冒険者になるやつは、文字が読めないやつや、考え無し(曰く、バカとか、アホ)みたいなやつがいるからとてつもないやつじゃない限り分かるようにできているらしい。

2つ目は自分のランク。そして、これにつながるのが3つ目のモンスターの強さとなる。


なぜ、自分のランクとモンスターがつながるのかといえばそれは自分のランクがモンスターを討伐目安となっているからだ。

以前、モンスターの強さは初級、中級、上級などで分けると言ったが実はこの分け方は昔から続く分け方なのだ。

冒険者組合が出来た当初はランクの分け方はそのままを採用していたのだが、入ってきたばかりのバカどもが1つ上ぐらいなら大丈夫と勘違いして返り討ちにあい死んでしまうということがあった。バカどもだけが死ぬのならばそれはそれで良かったのだろうが、モンスターを刺激してしまい付近の村や都市に甚大な被害を与えてしまい大問題となったわけだ。


これを重く見た当時の首脳部は考えに考えた末当時、賢人と呼ばれた人に知恵を求めたらしい。(首脳部も自分達で考えつかないバカだったということだ)

そして、賢人はモンスターの強さを上〜低級に割り振る形でS〜E級という制度を作った。それにプラスして特別なランクも作ったようだ。

S〜E級はそれぞれ上級がS,A、中級がB,C、低級がD,Eとそれぞれなっている。

そして、ランクにはこのほかに番外、規格外、逸脱者を表すSS(二つ名)を授けられるものや、保留者、強制脱退危機者を表すFがいる。


そして、突然だがダンジョンの話をしようと思う。ダンジョンには、実は二種類あることが現在確認されている。1つ目は高濃度の魔素だまりに何らかの要因が加わることでできると言われているダンジョンコアが作るダンジョン、これを《コア型》ダンジョンという。2つ目は高濃度の魔素だまりにモンスター達が集まってできる《自然型》ダンジョン。

この《コア型》と《自然型》には違いがいくつも確認されている。《コア型》には色々な種類があり、様々なダンジョンがあり、普通のダンジョンと観点や出来方が違う異様なものがある一方で意義は一部を除きどれも同じなのに対し、《自然型》は全てがバラバラだ。それは《自然型》がそこに住むモンスターによって特色が変わってしまうからだ。


そんな《コア型》と《自然型》だが一番違うのはモンスターのレベルだろう。《コア型》は、一部のダンジョンを除き一つの層でのレベルはどれもほとんど同じだ。これはコアがモンスターを生み出しているからに他ならない。つまり同じようなやつばかり生産されるわけだ。ただし、強さやレベルが違うやつがいないわけではない。その理由は時たまレアなモンスターが生まれるということやその層のボスモンスター、グループのリーダー的モンスターが生まれる場合があるからだ。ただそれでもモンスターのレベルが上がることはない。

対して《自然型》は、モンスターのレベルは様々だ。当然だろう。普通に生まれてきたモンスターが集まっているに過ぎないんだから、レベルも上がる。生産されているわけではないのだからばらつきも出る。ゆえに強さも異なる。そして、なぜなのか、何時を境になのかは、わかっていないのだが《自然型》のダンジョンに住んでいるモンスターは《ダンジョン型》というものが名前につくようになる。そしてこれがついたモンスターは強さが付いていないやつと比べて段違いに強くなる。わかりやすくゆうなら、さっき説明した冒険者とモンスターのランク、S〜E級において、通常の場合の級から一つ上の強さになる。


説明が長くなったが、現状に戻ろうか。

つまりだ今回、通常E級に相当するゴブリン達だが《ダンジョン型》とついたことで、全てD級になる。これは一般的なオークとほとんど同じ強さを持っている。

オーク一体で大体ゴブリン10数体分らしい。


俺の過去の最高討伐数はゴブリン14体だ。その時は少し前の俺だったとはいえかなりしんどかったレベルの消耗をした。


今回、《ダンジョン型》のゴブリンの数は槍3、剣2、槌1、弓が恐らく3(これは、見えた数は2だったが最大発射数が3だったため。恐らくもう一体は隠れていたんだろうと予測して)の合計9体。通常のゴブリンに計算し直すと100体を超える。


さて、この試練、俺は生き残れるのだろうかね?



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