油断と罠と失敗
前回のことも考えて、
いや嘘です。
分割をうまいことできなかったんです。
なので個人的にかなり長めです。
「ハア、ハア、ハア」
息を切らして逃げる。あいつらから逃げ続ける。もう、痛いという感覚すらない。身体のほとんどに切り傷、右足に一本、左足に三本、背中に何本も、「ドンッ」あ、また一本背中に当たっちまったか。これほどの傷を負ってるのに痛みがない。いや、これほどの傷だからか。
それでも身体は正直で血は意識が霞んでいくほど、時が経つほどにどんどんと流れ出ていく。
このまま死んでしまうのだろうか?
このままあいつらをノウノウトイカシタママ?
そんなの・・・・・
「絶対に嫌だ!こんなところで、死んでたまるか‼︎目的を達成するまで、俺は死ぬわけにはいかないんだ‼︎絶対に生き残るんだァ!」
そんな俺の言葉や思いなんか関係なくあいつらは笑って俺を追いかける無慈悲に冷徹に楽しみながら俺を狩ろうとする。
「「「「ギャギャギャギャギャ」」」」」
なんでこんなことになったのか何でこんな目にあったのか、それは、俺が俺が森に入ってしばらく経った頃まで遡る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はあ〜、今日はついてないな本当についてない。朝から嫌な気分になるわ、全く接敵しないは、どうなってんだよ」
『・・・・・・・・・』
「それにしても、今日の森の雰囲気おかしくないか。なんか殺伐してるっていうか?いや、それも違うな。なんか体にまとわりつく感じの気持ち悪さって言ったらいいのか?嫌な感じだよな」
『・・・・・・・・・』
「・・・なあ、いつまで黙ってんだよ。なんか反応ぐらいしろよ。ただでさえ暇なんだからさ」
『・・・・・・・・・』
「しゃべったらダメっての気にしてんならもういいからさ、なんか返事してくれよ〜」
『・・・・・・・・・』
「ハア、もういいよ。
本当につまんねーなー。
・・・・・なんか嫌な感じするし、今日はもう止めようかな。久しぶりに2日連続で休むことになるな。
ハア、ほんと憂鬱だ」
そんなことを一人でブツブツ言いながら歩いていた時だ。
ガサッ
と、音が聞こえてきた。
俺はとっさに腰を低く構えそして周りの気配や、音を捕らえるために意識を集中した。
ガサガサガサ
「右の方から聞こえてくるな。この音の大きさだと結構近いな!しかも、恐らくだけど数は一匹だな。く〜〜っやっと見つけられたか!
待っててくれよ〜!」
俺は今まで発見できなかった鬱憤もあってか意識を全部そいつに集中して右の方向に走り出した。
〜〜〜そう、周りのことに意識を傾けずに。
この時に少しでも慎重に行動していれば、周りにも意識を置いていれば何か変わっていたのかもしれない。まあ、すでに、たらればの話になってしまうので意味はないが。〜〜〜
そうして、すぐに目的の獲物を発見することができた。まあ、当然だ。周りのことを気にもせず一直線に向かって走って行ったのだから。
それはゴブリンだった。
とても貧弱という言葉が似合いそうなゴブリンだ。群れからはぐれてしまったのか、それとも追い出されたのか、そんな事をついつい考えてしまったが、どうせ殺すからと考えるのを止めた。
〜〜〜そうして俺は少し貧弱そうなゴブリンを見つけた。ただでさえ最低ランクのゴブリンで、さらに貧弱な奴などただの獲物だとこの時の俺は思っていた。いや、思わされてしまった。これによってさらに俺の意識はそいつにそいつだけに集中してしまったのだから。〜〜〜
「ラッキー。嫌なことってのは続くもんじゃねな。乗り切った後にはこんなご褒美があるんだから。どれどれステータスはっと」
名前/ゴブリン レベル6
種族 ゴブリン
アビリティ
空欄
スキル
パッシブ
空欄
アクティブ
空欄
「あんなのでレベル6もあんのかよ。さらにおいしすぎるだろ。この森のこの域ならもっと強そうに見えてもいいはずなんだけどな。もしかして上の域から流れてきたばっかなのか?生存競争に負けたのか、それとも、、、まあ、いっか。
それにしてもかわいそうにな。俺がちゃんと楽にしてお前をやく立ててあげるから安心しろよ」
言い終わると同時に俺は身を隠していた草むらから飛び出す。
「ギイッ⁉︎」
ゴブリンも気づいたようだが遅すぎる。すでに俺の攻撃の間合いに入っている。
俺は気づいたゴブリンがこちらを向くと同時に持っていた剣を振り下ろす。
ドッ
「ギィッギャ‼︎ギャ!」
一撃で決まると思っていた攻撃だったがそんなに甘くは行かないようでゴブリンもとっさにだが反応して、逃げ延びた。まあ、それでも腕一本という代償は払ったわけなのだが。
「ギィーギッギッ!」
このまま逃げるであろう背後からとどめを刺そうと考えた俺だったが一瞬で切り替えた。なぜならゴブリンが立ち向かってきたからだ。
「ふーん。このまま逃げようとしても死ぬって思ったのか?賢いな、正解だぞ。まあ、でもゴブリンだし頭使ってってより本能だろうな多分。それに結局のところ数秒命が長引くだけの違いだしな」
そして、向かってくるゴブリンに対して剣を振り下ろす。
「ギィァャーーーーーーーーー‼︎‼︎
ギャギャギィャギャ」
今度は、避けることもできずにゴブリンは息絶えた。
〜〜〜だが、この時こいつは今思えば笑っていたんだ。それに少しでも気づいていれば・・・いや、それでもやはり俺は同じ道をたどっていたんだろうな。〜〜〜
「うるさい奴だな。向かってくる時もギャーギャーうるさかったし死ぬ瞬間もすげ〜うるさい。叫びすぎだろこいつ。まあ、死ぬってわかってたんなら叫びたくもなるかもしれんしな。さあ、とっとと剝ぎ取りでもするか」
そう、モンスターからはそのモンスターの討伐証明、どうぐや、武器を作るための部位、そのモンスターの装備品などを剥ぎ取ることができる。
ただのゴブリンの場合討伐証明は、頭のてっぺんに生えたちっちゃなツノだ。これが大きくなればなるほど確か、強いゴブリンの証明だとか?になったはずだ。
そして、体で貧弱だとわかるほどのこのゴブリンはとゆうと、
「スッゲー小っちゃいな」
これを見るとツノの大小の話もうなづきたくなるというものだ。
そして次はゴブリンならば必ずと言っていいほど持っている装備品、底の抜けた靴を剥ぎ取る。
たまに片方ないゴブリンとか、履いてないゴブリンもいるがこれは稀だ。もし、会ったら、変なとこで運使ったなと他人言われるほどだ。話から分かる通り履いてないからといって強さには何もかわりはない。いや、弱い方に分類されるんだったか?まあ、どうでもいいか。
さて、なぜ冒険者ではない俺がこんなことしているのかとゆうともちろん理由はある。誰も好きでゴブリンの剝ぎ取りなどしない。
実は新しく発見したことなのだがモンスターから剥ぎ取ったものをイヴィル・ウインドウで悪貢と、交換することができるのだ。
これも、モンスターを倒し始めてからしばらく経った頃に俺が何気なくモンスターの装備品とか部位が勿体無いと悪神に言った時にあっさりとイヴィル・ウインドウで悪貢と交換できるぞと、言いやがったのだ。
・・・・・そろそろ俺、あいつへの恨みを紙に書いたほうがいいかもしれない。覚えきれなくなってきた。
まあ、交換できてもゴブリンみたいな低位のモンスターは、ツノと靴合わせて1ポイントなんだけどな。
まあ、でもされど1ポイントだからな!この1ポイントが俺の命を守ってくれるかもしれないし大事だよな。
俺はそんなことを考えながら剥ぎ取った装備品と部位を悪貢を交換した。
〜〜〜この時の俺は気が緩んでた、油断していたと言ってもいい。だが、ここはどこかとゆうことまで忘れるべきじゃなかった。忘れてること自体も油断と言ってしまえばそれで終わりだ。でも、違うと俺は思っている。ここがどうゆう場所かわかっていれば油断から立ち直るのはすぐだったろうから。落ち着いて行動できただろうから。
でも、俺は、忘れていた。ここが弱肉強食の世界だということを。隙を見せたら、そのまま呑み込まれてしまう場所なのだと。
それは、もしかしたらあのゴブリンのせいなのかもしれない。あのゴブリンが道化のように喚いて簡単に死んでいったから気が緩んでいたのかもしれない。
まあ、どっちだろうと俺は呑み込まれた。ここがどうゆう場所かも忘れて。〜〜〜
交換して直ぐだった。まるで見計らったように
ドスッ
背中に衝撃を感じた。しかも混乱している内に更に
ドスッ、ドスッドスッ
三回の衝撃を受ける。それぞれ背中、左脚、左腕。
ここまでくると、痛みを意識をするのは直ぐだった。
「うぁがぁぁぁー!」
叫んだと同時に背中側と左側から
ガサッサッ
という音と同時に
「「「「「「グギィーーーーーー」」」」」
叫びながら6体の剣を持ったゴブリン達が飛び出してきた。
飛び出してきたゴブリンが全てではないとかんじた。そしてそれを証明するかのように飛び出してきたゴブリン達の後方から矢が散発的に降ってくる。
流石に視認した矢は避けられた。だが、矢が突き刺さったままの体で無理に避けたせいで痛みが増加した。さらに酷いことに左腕の矢がくい込んだ。更にそこに飛び出してきたゴブリン達がやって来て俺に攻撃を仕掛けてくる。
ゴブリン達は各々木で作られた武器を持っていて三体が槍、二体が剣、一体が槌となっている。
連携は絶妙という訳ではないのだが上手く、槍が注意を引きつけつつ、一瞬の隙を剣が攻撃してくるというものだ。
そしてさらに、そこに矢が飛んでくる。
強い。率直にそう感じられた。
(ただのゴブリンができる攻撃じゃねえぞ!どうなってんだよこいつら⁉︎
どうにかして一体、いや出来るなら二体を倒したい。そうすれば連携が乱れて、反撃するなり逃げたりすることができるだろ)
と、考えてはいるが現実はやはりあまくなく防戦一方、攻撃を仕掛ける暇なんかどこにもない。
そして、時間が経つほどに不利になるのはどちらかといえば自明の理だ。
なので、こんなことになる。
敵の剣を弾いた直後左腕に激痛が走る。怪我をした左腕を酷使しすぎたのだろう。そして、数秒隙が生じる。そして、身を潜ませていた者にとっては、その数秒で十分で。
ドゴッッ
まるでそれが当たり前かのように、重力や空気など関係なしに、俺は、右方向に吹き飛ばされた。
そして、すぐに木に激突。
直後に襲ってくるのは木に当たり地に落ちた衝撃でさらに背中に食い込んだ矢での痛みではなく、
左腕からの、激、痛。
まるで左腕の中で炎を燃やしているのではというほどの熱、熱、熱。
「うがアアアアアアァァァァァ‼︎」
まるで獣のように、死に際の動物のような、叫び声をあげてしまう。ヨダレが飛び散ろうが涙が出ようが気にしていられないほどの痛みだ。
そんな痛みの中で、偶然か必然か飛ばされる前にいた方向を見てみるとそこには、振り向いた体勢のまま凶悪て、醜悪な笑顔を貼り付けた槌をもった。ゴブリンがいた。
そして、他のゴブリンどもも負けず劣らずの笑顔でこちらを見ていた。さらに、弓を持ったゴブリンが二体合流しようとして歩いていた。
そんな中で奇跡なのだろうか偶然なのだろうか、一体のゴブリンのステータスが読み取れた。
名前/《ダンジョン型》ゴブリン LV13
種族 小鬼
階級 低級(D)
アビリティ
スキル
パッシブ
槍術2▽
連携1▽
アクティブ
補助効果
意識同調(低)
見えた瞬間俺の思考は停止した。比喩でも何でもなく停止していた。考えることを止めていた。それも一瞬のことだったが。だがそれのおかげか、痛みなど感じなくなっていた。
次に起こした行動は、ほぼ反射の行動で脱兎の如く逃げ出した。負け犬のように。実際負け犬なのだが。
無様に恥も外聞もなく逃げた。逃げた。
当然奴らは追いかけてくるそれは、それは、楽しそうに。一体どこまで俺という獲物が逃げれるのかを遊戯をする感覚で追い詰める。
そして、現在に戻る。




