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僕と俺の選択道  作者: カタナナタカ
第1章 それは、人生の序章の序章それでも悩み生きていく
16/30

初めて狩り後編

「ナンデスト」


俺の前に猪が現れた。それはそれは大きな猪だ。

身長すら俺を超えている。横幅など言わずもがなである。二本の牙など俺の身長の半分くらいはありそうだ。ちなみに俺の身長は今で90cmくらいだ。


〔なあ、悪神。

あれ何?〕


『俺に聞かれてもわかるわけねえだろうがぁ。

ただあの目を見る限りたった今お前が殺っちまった小猪の親なんじゃねえの?』


(なるほどなぁ〜!

だからあの小猪は、あんなに油断してたのか。

こんな親が近くにいたから。

なるほどなるほど、スッキリしたなこれで!


・・・・・ってことで、逃げるか!)


『ブフフッ!』


ドガッ‼︎


「うお!」


俺が逃げようとしたのに反応したのか、なんの行動も起こしてなかった猪が俺に向かって突進してきた。


それを俺は華麗に・・・・・とはいかず思いっきり顔面から地面に飛び込んでしまった。

だが、かろうじてというべきか地面を滑ることには成功した。

ゆえにその結果は・・・・・


ドン‼︎


俺は猪の突進を避け、代わりに猪が木に激突するということになった。


「自爆したか⁉︎」


『ハアァ』


なぜか悪神からため息を出され、そして肝心の猪は、


『ブブブブフフフフッ!』


俺に避けられたということに更に腹を立てたのか、さっきよりも瞳に憎悪を宿して俺のことを睨んでいる。

そしてなぜか突進する前よりも更に元気になっている、ような気までする。


「くっそ、少しひるむぐらいしてもいいだろうが!」


と、そんなことを言った直後


「またかよ‼︎」


ドンッ‼︎


さっきと同じようにまたも突進をしてきた。

いや、さっきと同じじゃないさっきよりもわずかだけど確実に速くなってる。


「また、さっきよりも元気になってないか⁉︎

どうなってんだよあの猪!」


と言いながら俺は走って、猪と木を挟んでの対角線上に移動する。


「はあ、はあ、少しの間だけでも止まってくれたら一発食らう覚悟で()を使うのに。

あいつから逃げるにしても、倒すにしても、とりあえずあいつのスキルの情報がいる。

どう考えても突進するたびに元気になっていってやがる。なんでなのかわからないとそのうち俺が死ぬっ⁉︎」


俺がこれからすべき事を考えて(思わず言葉に出ていた)いた時に突然背後から


ドガァン‼︎


と音が俺の背中に衝撃が届いたのと同時にきた。


「ガハッ」


ズ、ズ、ズン!


「うっ、くっそなんでだ⁉︎

さっきまで木を折るような力はなかったはずだろうが!いくら周りの木より細いからって十分これも太いはずなのによ!なんで折ることができてんだよ‼︎ていうか、木に潰されて死ぬところだったじゃねーかあっぶねーな!」


『ブフフッ』


(クッソしょうがねえ。

今のままじゃあジリ貧だ。

やっぱり二発までは許すとするか!)




名前/猪(大)




ガッガッガッ!


動きを止めた俺に対して猪は、力をためるようにその場で身を構え始めた。そして、




名前/猪(大) LV13




ドッ!


やはりさっきよりも早くなっている突進を俺に向けてきた。まるで弓矢だな。気のせいか、風を切ってる音も耳に聞こえてくる。

これは、やっぱり避けるのは無理か。ダメージを受ける覚悟をするしかない。だけどこのまま受けたら踏み潰されそうなんだよな。

・・・・・よし、決めた。

もう、目前まで来ていたイノシシに対して俺は脚に力を込めるそして跳ねる。

と、同時に、



名前/猪(大) LV13

種族/豚科




ドガッ


衝撃は激烈だった。

今まで感じたこともないような、そう体を空気が貫通していったような衝撃。思わず一瞬目を閉じてしまいそう、いや意識を飛ばしてしまいそうな一撃。

俺は簡単に上に吹っ飛ばされた。まるで風に飛ばされる木の葉のように。

だが、上に飛ばされたのは狙い通りだ。


「ぐはっ‼︎」


くっそが痛え‼︎

だか目はそらさない。あいつがぶつかった衝撃を利用して、通り過ぎたあいつをそのまま見続ける。

俺は空中で体を制御して地面に背中を向ける。


ドシャッ‼︎


上手いこと背中から落ちることができた。

背中で受け身を取るために上に吹っ飛ばされたのだ。

だが予想していたよりも上に飛ばされたせいかうまく呼吸ができない。ちょっと、とびすぎたかもしれないな。


「ゴホッホッ、うぇっ」

だがもちろんあいつから目はそらしたりしない。ここまで来たら絶対に情報を手に入れてやる、そんな思いでいっぱいだった。


俺は、呼吸を落ち着けてから急いで反転してから地面に立つ。




名前/猪(大) LV13

種族/豚科


アビリティ

猪突猛撃▽




『ブフフッ!』

俺に対して初めてまともな攻撃が通ったことに満足してるのか、その鼻息は機嫌が良くなってるような気がした。だが、もちろん、それでも追撃の手は緩めるつもりはないらしく、


ガッガッガッ!


またも、突進の準備に入った。



名前/猪(大) LV13

種族/豚科


アビリティ

猪突猛撃▽


スキル

突進3▽




ドッ!


猪が5回目の突進を開始し始めるのと同時に、鑑定が終了した。俺は完了したのを確認すると一も二もなく、攻撃を受けないように最初の時と同じように横に飛び込む。


「こんちくしょー!」


ドンッ!


「はあはあ、やばかった。

ギリギリ二発目は受けずにすんだ。

チッ!一発と衝撃を二発受けただけで俺の体力が半分をきりやがった。

なんつー威力に上がってやがるんだ」


避けた俺に対してイノシシはとても忌々しそうな視線を向けてくる。くっそーイノシシに見下されるなんて屈辱すぎる。


『いちおう、聞いとくぞ。

あの猪は結局どうするんだぁ?』


こんな状況にもかかわらず気怠げなおいつの声を聞くと思わずカチンときてしまう。


「わかってるだろうが!

ここで倒す以外の道はねえだろ!」


『まあぁ、そうだよなぁ。

いやぁ、それにしても驚いたなぁ。

まさかぁ、アビリティ持ちの猪とはなぁ。

本当にお前も運がねえなぁ』


「ああ、俺も俺自身が恨めしいよ。

まさか二回目でこんな大物引き当てるとかありえないだろ。こいつ下手したら低級モンスターの中位ぐらいには入れそうだよな」


『まあなあぁ、アビリティ持ちの動物ってだけでも珍しいのに、まさかそいつにぴったしな能力を授かるだなんてなぁ。本当に珍しすぎるやつを引き当てたもんだなぁ』


そう、この猪のアビリティ、猪突猛撃は猪のような動物にはぴったりといえばピッタリすぎるくらいの能力なのだ。

どんな能力かとゆうと、




猪突猛撃

▽ただひたすら敵に向かうべし。

攻撃するたびに力と敏捷が上がり守と魔守が下がっていく。

突進攻撃の場合更に増減が大きくなる。

敵がいる限り興奮状態が続く。

興奮状態が終わるとステータスの増減がなくなる。




と、ゆう能力なわけだ。

ゆえにこれのせいで俺に逃げるという選択肢はなくなってしまった。

なぜなら敵がいる限り興奮状態が続くということは、俺が逃げてもずっと追いかけ続けてくるということだからだ。本当に地獄の果てまで。


「しかも、見事にスキルに〈突進〉がありやがった」


『そりゃあぁ、あるだろう。あんなアビリティを持ってんだぁ。〈突進〉がない方がおかしいだろう?』


「わかってんだよそんなこと。ただ愚痴を言ってるだけじゃねえか」


『で、そんなことよりだぁ。倒し方は決めたのかぁ?早く倒さないとどんどん強くなっていくぜ?絶望的な差が更に広がるわけだ。』


「ステータスが視れるんだったら守が俺の攻を下回るタイミングで攻撃をするんだが、残念ながら視えねえしな、それにずっとこの状態でいるのも無理だ。

予想以上に体力が減ってる。

疲労も半端ない。

先にダウンするのは言いたくねえが絶対俺だろう」


『で、結論はなんなんだ?』


「まだ、倒し方が思いつかねえだよ‼︎」


悪神と話してる間に体制を整えた猪がもう一度俺に突っ込んできたのを俺はまたも不恰好に避ける。


「ブガッ!」


(やばい、やばい、やばい。

本格的にやばすぎる。

避けきれなくなってきてやがる。

これはもう考えてる暇がねえ。すれ違いざまに攻撃を叩き込まないといけないな)


猪は何も考えることもなくまたも俺とゆう標的に向かって突進を開始する。


そんな猪に俺は剣を水平にし、横に構える。


「王国流剣術が斬撃の奥伝が一つ


"落花流垂(ウィークネスアクチュアリ)"」



猪が近くにくると同時に俺は少し突進の軌道上からずれた。そして片足を地面につけながら体半分を猪から隠すように回し攻撃の準備に入る。


そして猪の横を通りすぎると同時に俺は後ろ足めがけて筋肉の筋に合わせて剣を一閃させた。


バギャッ


と音が聞こえその結果は、


「ざ、斬皇丸が折れたーー!!」


俺の剣が見事に折れた。


肝心の猪の後ろ足は全くの無傷のようで痛がる素振りすら見せていない。


「斬皇丸を折っといて痛がりもしないとかなめてんのか、猪のくせに猪のくせに!」


『そもそもお前なんで、足狙ったんだぁ?

倒すんじゃなかったのかよ。

足狙うとか逃げる気満々じゃねえか』


「うるさい!

顔狙おうとしたけど怖くて足に変更した・・・・・怖くなんてない‼︎」


『お前、一人で何騒いでんだよ』


「そんなことよりどおすればいい⁉︎

武器は折れちまった。

武器が折れてまで叩き込んだ渾身の一撃は相手に痛がらせることすらできない。

詰んだ。詰んでしまった。

いやだ、いやだぞ!

猪に殺されて人生終わるとか、なんのために俺は転生したんだよ‼︎」


『まあぁ、ひとつ言わせてもらうならぁ、よく木刀であの猪に勝てるとか思ったよなぁ』


「そんなこと今どうでもいいわ!

くっそっ、こんなこと言ってる間にまた来やがった!」


どうやら、相手に考えさせてくれるという優しさはないようで休む間も無くまた突進をしてきた。


「この突進バカが、ちょっとは休憩したらどうなんだよ!」


と言いながら俺はなんとかもう一度避ける。


避け続けるしか道が無いのかと人生の終わりを考え始めた時、突然悪神が、


『いやぁ、あれは無理だなぁ。目が興奮しすぎてやばいことになってる。もう、思考力も落ちてんじゃねえかぁ?実際額に血が滲んでんのに、一向に木に突撃すんのをやめようとはしてねえもんなぁ』


と、さっきの俺の言葉に返答してきた。


「お、おい。悪神今なんて言った?」


『?目がヤバイことになってる』


「違う!その後だよ!

うお!また来た!」


なりふり構わず俺は飛び込むように突進を避ける。

そして、悪神の返答を待つ。


『額に血が滲んでるってところかぁ?それがどうしたんだぁ?』


「どうしたもこうしたもあるか!

額から血が滲んでんだな⁉︎

それが本当なら俺は賭けに出るぞ!

一か八かの賭けに出ちゃうぞ‼︎」


『安心しろよ。お前からじゃあ分かりにくいかもだけど上から見てるとうっすらとだが血が滲んでるのがわかるからよ』


「ふふっふふふふふ。

信じたからな⁉︎

これで嘘だったらまた転生させてもらうからな⁉︎」


『ああ安心しろ。これに関しては本当の本当だからなぁ』


そう悪神が返答すると同時に俺は走り出し見える範囲で一番大きな木に向かう。

その後を猪がまたも突進して追いかけてくる。


だが、距離的に俺が近かったというのと、先に走っていたというのが功を奏したのか、俺は猪よりも早く余裕を持って木に到着した。


そして、体を反転させ、


「自己流武器術剣の型十奥義が三


"他力(アザー)本願(カウンター)"」


と、言うと同時に飛び上がった。

その結果は、


猪に吹き飛ばされた。


そして、


グシャッ


という音を最後に俺は意識を暗闇に落とした。

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