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プロローグ
24さい、フリーター。
あたしの人生なんて、こんなもん。
コンビニでレジしながら、思う。
早朝、唯一の客はよぼよぼ爺さん。
ワンカップをひとつ、買っていく。
存外、あたしはこの常連さんが嫌いじゃない。なにせ、あたしの勤務中で少ない客さま。
爺さんのよろよろした背中を見送ると、時計を見た。午前、6時、ちょっと前。
「あの、あのあのー?」
声がした。可愛らしい、子どもの声だ。
「は、い」
驚いて声の方を見る。小学校低学年ほどの少女がいた。左右の色が違う、髪の毛と瞳。
右がピンク、左が青。長い睫毛、真っ白な肌、紅い着物……なんとも奇怪な子ども。
「いらっしゃいませ」
「おはようございますっ!」
「はい、えっと、いかがなさいました?」
正直、子どもは苦手だ。少女は、にぱーっと笑うと、飛び上がった。……ほんとうに浮かんで、あたしに飛びついてきた。
「ヒラリアちゃんと結婚してくださいっ」