第40話 過去(25)-謎-
「ところで、黒坂君。あの教室のことを覚えているかな?」
近藤は黒坂から少し距離をとり話しかける。
「教室…。」
黒坂は、近藤と初めて対峙した時のことを思い出していた。
「不思議なことが起こっただろう?」
近藤はにやりと笑うと右爪を掲げ、指を鳴らした。
パチン
音が響き渡ると共に近藤が消えた。
「…!?」
黒坂が音もなく驚いていると、近藤の声が響き渡る。
「さあ、ショーの始まりだ。君はいつまで耐えられるかなかな?」
その声と共に突然、メナスが現れた。
「くそ…どうなってる…。」
黒坂は刀を握り直すと向かってくるメナスと対峙した。
「黒坂君…?」
誄は目を覚ますと、そこには何もない空間に必死で刀を振っている黒坂が映った。
「目が覚めたようですね?」
近藤はにこりと笑い誄に話しかけた。
「黒坂君に何をしたの?」
「彼は、闘っているんですよ。あなたを助けるためにね。」
そう言うと近藤は自身の爪を黒坂に向け、力を込めた。
-ヒュン-
という微かな音の後、放たれた爪は真っ直ぐと黒坂へと飛んでいき
その右肩に刺さった。
「ぐ…。」
突然の攻撃に刀を落とした黒坂にメナスが襲い掛かる。
間一髪のところでそれを避けると、後方に距離を取った。
「一体どこから…。」
右肩の詰めを確認した後、メナスの爪を見るが、その爪は減っていなかった。
「もう一体いるのか…? 近藤はどこに…?」
様々な疑問が渦巻き、黒坂は身を隠す。
「黒坂君!!」
誄は叫ぶが、黒坂には届かなかった。
「無駄ですよ、今の彼にはこっちの様子は分かりませんから。」
近藤はにやりと笑うと黒坂の隠れた方へと視線を移した。
「それではもう少し難易度を上げましょうか。」
近藤がそう言うとまた新たにメナスが現れた。
「どうなってるんだよ…。」
黒坂は二人になったメナスに動揺が隠せない。
-ヒュン-
微かに聞こえた音に黒坂は隠れていた場所から躍り出る。
先ほどまでいた場所には爪が刺さっていた。
「くそ…。」
黒坂を確認した二人のメナスは再び黒坂に襲い掛かる。
黒坂は、覚悟を決め刀を構えなおした。