第39話 過去(24)-師匠として-
放たれた弾丸は真っ直ぐとスーツ姿の男の眉間へと向かう。
男は身を横にずらして躱すと眉間に皺を寄せた。
「あなたがたハンターの武器は刀しかないと聞いていましたが…?」
「悪いな、お前達のためのトクベツ製なんだよ。」
慶斗はにやりと笑みを浮かべる。
「だが、咄嗟に避けるとは入り口に居た奴等よりはやるらしいな?」
慶斗は銃を構えたまま続ける。
「それはどうも。その銃が気になるところですが、
考えている時間はありませんね。あなたを通すわけにはいきませんし。」
男は、両手を広げ、やれやれといったしぐさをする。
直後、
男は地面を蹴り高速で慶斗に近づくと右爪による斬撃を繰り出した。
キィイイイイイイイイン
慶斗は銃身を盾にして男の攻撃を受け止め、周囲に鋭い金属音が響き渡る。
「ほう。かなり硬くできてるんですね…?」
「まーな。」
慶斗はそう返すと同時に男の爪を弾き、銃による打撃を繰り出す。
男は、短く飛びのき隙のできた慶斗へと右爪での突きを繰り出した。
慶斗は上半身を仰け反らせ、攻撃をかわすと男の脇腹へと再び打撃を叩き込む。
ドン!!
鈍い音と共に男は後方へと吹っ飛ぶ。
「…っぐ…。 ずいぶん速いですね…。」
男は、口から血を吐きながら自分の腹部を抑えた。
-タァアアアアアン-
銃口から放たれた弾丸が男へと向かう。
男は身を屈め其れを躱すと、慶斗がいるであろう場所に目を向ける。
目が合うと同時に、慶斗は地面を蹴り一気に距離を詰める。
男は近づいてきた慶斗に右爪で突きを繰り出すが、慶斗はそれすらも軽く首を捻るだけで躱す。
そのまま、男の右肩へと銃を押し付け引き金を引いた。
-タァアアアアアン-
弾丸は、男の肩を貫通する。それと同時に男の右肩から先は崩れ落ち、緑色の炎に包まれた。
「ぐああああ…。」
男は、呻きよろめく
慶斗はそのまま男の腹部へと回し蹴りを叩き込んだ。
ドン!!
再び鈍い音と共に男は後方へと吹き飛び
男は後方の壁に衝突した後、床に倒れこんだ。
「これで、終わりだ。」
慶斗は、横たわる男へと歩き、銃口を頭部に向ける。
「…言ったはずですよ…。あなたを…通す訳にはいかないと…。」
男がそう言うと、先ほど黒坂が出て行った扉から5人の男達がその両手を漆黒に輝かせ、入ってきた。
「…。」
慶斗は黙ったまま男たちを見つめると、そのまま引き金を引いた。
-タァアアアアアン-
弾丸は、横たわる男の頭部を貫く。
緑色の炎を背にし、慶斗は呟く。
「…まったく…、こっちは師匠として大事な弟子のとこにさっさと行かせて欲しいんだが…。」
男達は次々に地面を蹴り慶斗に襲い掛かる。
慶斗はため息をつくと、銃を構えなおした。