第37話 過去(22)-作戦開始-
「突入を開始する。」
刀を持つハンター五人が廃工場へと忍び込んで行った。
その様子を黒坂と慶斗は少し後方で見ていた。
この廃工場は、慶斗からの指示により、誄の護衛任務開始からずっとひそかに着けておいた発信機により割り出した今現在、誄がいると思われる場所だった。
「師匠…。僕たちは行かなくていいんですか?」
黒坂は刀を握り直し慶斗を見る。
「大勢で動くと狙われやすい。俺たちは裏から入るぞ。」
慶斗はホルスターから銃を取り出すとマガジンを装填した。
ドン!!!
慶斗は裏口の扉を蹴破る。
「師匠!? そんな大きな音立てたら見つかりますよ…!」
黒坂は慶斗の背中に声を抑えて叫ぶ。
「潜入とか向いてないんだよ俺。」
「……。」
そのままスタスタと先に進む慶斗に黒坂は何も言えなかった。
様々な重機の置かれている広場に出ると
そこには二人の男が立っていた。
「お?お客さん?」
先にそう言った男は椅子から立ち上がると慶斗と黒坂の方を見た。
「ハンターだよね?楽しもう?」
その男はニコリと笑い腕をメナスのものへと変化させた。
-タァアアアアアアアアン-
直後銃声が鳴り響き男の右肩に命中した。
「ぐあああああああああ。」
先ほどまで笑っていた男の顔が苦痛にゆがみ右腕は地面に落ちた後緑色の炎に包まれ灰と化した。
「てめぇえええええええええ!!」
横にいたもう一人の男は駆け出し慶斗へと距離を詰める。
-タァアアアアアアアアン-
-タァアアアアアアアアン-
-タァアアアアアアアアン-
慶斗の銃から放たれた三発の弾丸は向かってくる男の右肩、左もも、そして額へと命中した。
男はその場に倒れ込み緑色の炎を出しながら灰と化す。
「悪いな。今の俺は機嫌が悪い。」
慶斗は地面に積もった灰に声をかけると前方に居る男に銃を向けた。
「や…やめてくれ…。」
男は右肩を抑えながら後ろへと下がる。
慶斗は銃を構えたまま近づく
「僕はに、人間の血は飲んでない!!ハンターは殺しちゃいけないんだろ!!?」
男は恐怖に顔を強張らせながら慶斗に言った。
「お前からは、何人もの人間の血の匂いがする。嘘をつくならもっとましな物にするんだったな。」
そう言うと慶斗は引き金を引いた。
-タァアアアアアアアアン-
直後男の体は緑色の炎に包まれ灰と化した。
「行くぞ?」
慶斗は自分の背後で動けずにいる黒坂に声をかける。
「…え?……はい!!」
黒坂は慌てて返事をすると慶斗を追いかけ走り出した。