第34話 過去(19)-戦闘(1)-
「どこか…誄を隠せる場所は…。」
黒坂は辺りを見回しながら呟く。
「誄。僕が良いって言うまで。あの中で隠れてて。」
黒坂は自分の右側にあった古い倉庫を指さし誄に言った。
「でも…黒坂君は…?」
誄は心配そうに聞く
「大丈夫。誄は絶対僕が守るから。だから、行って!」
誄は黒坂のその言葉に少し不安がりながらもその場を後にした。
「彼女は渡さない。」
黒坂はそう言うと袋から刀を取出し構えた。
「さすがに三対一は気が引ける。」
黒坂の前にいる男の一人はそう言うと煙草に火をつけた。
「先に二人を相手して貰おうか。」
そう言うと同時に煙草をくわえる男とは別の男性と後ろにいた女性が黒坂に飛び掛かる。
キイィイイイイイイン
前から来た斬撃を右手に持つ刀で、後ろからの斬撃をメナスの物に変えた左手で防いだ。
前の男性の爪を刀で弾き懐に右肘で打撃を与える。
「っぐ…。」
一瞬の隙ができた男性から目線を離し左手を緩め右周りに体を翻し女性に斬撃を与える。
キイィイイイイイイン
間一髪のところで女性は自らの爪で防ぐが衝撃は受けきれず怯む
その隙に黒坂は一気に間合いを詰め刀を振りかぶる。
黒坂の動作になんとか反応した女性は前から来るであろう斬撃を防ぐために爪を構えた。
しかし、
斬撃は来ないそれどころか、黒坂は居なかった。
「こっちだ!!」
不意に聞こえた声に女性が振り向いた瞬間 黒坂は刀を振り下ろし
女性の体は緑色の炎に包まれ、灰と化した。
「ほう…。」
それを見た煙草をふかす男性は関心したかのように頷く
炎を確認した黒坂はもう一人の男性へと目線を移す。
男性は一気に黒坂との距離を詰め突きの一撃を繰り出す。
黒坂はその一撃を身を屈めて避け伸びた腕に斬撃を繰り出す。
キイィイイイイイイン
斬撃は男性のもう片方の手で防がれ伸ばした腕で再び斬撃を繰り出す。
黒坂は後ろに飛びのき距離をとった。
しかし、着地したと同時に男性は距離を詰め連撃を繰り出す。
キイィイイイイイイン
キイィイイイイイイン
キイィイイイイイイン
キイィイイイイイイン
一つ一つの斬撃を黒坂は受け流す
しかし
「ぐぁ…。」
よけきれなかった斬撃が黒坂の右肩へとめり込んだ。
男性はにやりと笑い爪を振りかぶる。
黒坂は右手に持っていた刀を左手へと投げ右肩に刺さっている男の手を切り落とした。
「ぐあああああああああああ。」
男の叫び声と同時に黒坂は右肩から男の腕を抜き地面に捨てる。
腕は緑色の炎に包まれ灰と化す。
黒坂は一気に間合いを詰め男の首をはねた。
叫び声もなく崩れ去った男の体もまた緑色の炎に包まれ灰と化した。
「メナス…。なぜ我々がそんな呼ばれ方をしなければならない。」
近藤は首をひねり言った。
「君たちにわかりやすいように私も自分のことをそう言うが…。 私は…この呼び名が大嫌いでね!!」
近藤は怒りをあらわにし続ける
「すまない。取り乱した。何か言ったらどうかね?」
そう言って目線を下に向けると、そこには
何度も切り裂かれ動かなくなった二人のハンターが居た。