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Bullet of defense  作者: もやし好き
第2章 Before Night
24/42

第24話 過去(9)-恐怖-

「そんな事急に言われても…訳分かんないよ…。」

病院の一室、検査入院という名目で誄はベッドの上に居た。

「その気持ちは分かるよ…。」

誄への説明は一通り終わり、黒坂は呟いた。

自分の存在、メナスの存在を教えられた過去を振り返りながら。

「莉子は大丈夫なんだよね?」

心配そうな顔のまま誄は問いかけた。

「うん。すぐに退院できるよ。」

黒坂は微笑みながら言った。

「これからも…襲われ続けるんだ…。いっそ前みたいに記憶消してもらった方がいいのに…。」

誄は呟いた。それと同時に涙が頬を伝う。

「…。」

黒坂はなにも答えられなかった。

「怖い…。」

そう言うと誄はついに泣き出した。

黒坂はただ黙ってそこに居た。

「ごめんね。」

しばらくすると泣き止んだ誄は黒坂に話しかけた。

「転入生なんだよね?黒坂君。」

「うん。明日から僕も同じ学校に。」

「じゃあ、よろしくね。明日は学校案内してあげる。」

そう言って笑顔を作る誄を見て、誄に分からないように黒坂はこぶしを握り締めた。

その笑顔には、悲しみしか写っていなかったから。


「転入生を紹介するぞ~。」

間延びした声で無精ひげを生やした男性教師は教室に入ってきた。

「黒坂信二です。よろしくお願いします。」

「俺は、ここの担任の木下正義きしたまさよしだ。そうだな、席は…窓際の一番後ろだな。」

そう言うと正義はあいている席を指した。

「はい。」

黒坂はそう言うと割り当てられた席に向かい座った。

「よ!黒坂だったな。よろしく。」

横の席に座っている茶髪の少年が話しかけてきた。

「こちらこそ。えっと…。」

「ああ。拓馬だ。横山拓馬よこやまたくま。」

そう言うと拓馬は笑った。

「じゃあ授業入るぞ~。」

正義はそう言うと授業へと入っていった。


「よ~し、昼休みな~。」

正義がチョークを置くと生徒達は立ち上がり、それぞれの行動をし始めた。

「誄。案内してやってくれ~。」

正義に言われた誄は席を立つと黒坂の下へと歩いていった。

「黒坂君。山神誄です。学級委員長をしています。よろしくね。」

「うん。よろしく。」

「じゃあ行こうか。」

黒坂は立ち上がり誄と共に歩き出す。

「ここが、体育館で……ここが、図書室で……。」

一通り案内が終わると

「私、怖いの。メナスっていうのは人間と区別できないんでしょ?だから…みんな怖くて…。」

誄は俯いたまま話し出した。

黒坂は周りに人が居ないのを確認すると

「分かるよ。僕だってすごく怖いんだ。でも、僕は君の味方だよ。」

黒坂の言葉に誄は顔をあげる。

「言ったでしょ?君は僕が守るって。」

そう言って微笑むと

「うん。分かった。」

誄も笑顔になった。

「るい~!!」

遠くから誄を呼ぶ声がする。二人が振り返るとそこには莉子が居た。

「誄!!今日は英語!早く~。」

そう言って誄の肩を掴む。

「あ!転入生の…。」

黒坂の存在に気づいた莉子は黒坂に話しかけた。

「黒坂信二です。よろしく。」

「あたしは、桜井莉子さくらいりこよろしく!もしかしてなんか用事ある?」

「今学校の中案内してもらってたとこ。でももう終わったよ。」

「いいタイミングじゃん!じゃあ誄は借りてくからね!」

そう言うと莉子は誄の肩を掴んだまま走っていった。


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